ナタリー PowerPush - FLOW

合い言葉は“MAX!!!”5人が語る10年の軌跡

今年の7月2日でメジャーデビュー満10年を迎えるFLOW。昨年から「FLOW THE MAX!!!」なるアニバーサリープロジェクトとしてさまざまな企画を打ち出してきた彼らが、そのクライマックスとしてニューシングル&ニューアルバムの連続リリース、そして47都道府県を巡る全国ツアーをスタートさせる。

シングルは劇場版「ドラゴンボールZ 神と神」(3月30日より全国公開)の劇中歌&主題歌を収録した「HERO ~希望の歌~ / CHA-LA HEAD-CHA-LA」。そこではアニメとの高い親和性を持つFLOWだからこそできる奇跡のコラボレーションが実現した。また、彼らの幅広い音楽性を全方位的に網羅したアルバム「FLOW THE MAX !!!」は、10年の歴史を実感させる、まさに“MAX!!!”な仕上がりとなった。

今回ナタリーでは大きな節目を前に勢いを加速させているFLOWにインタビューを実施。メジャーデビューからの活動の軌跡を振り返ってもらいつつ、今の彼らのすべてが詰まった最新作と未来に向けたツアーの展望をたっぷりと語ってもらった。

取材・文 / もりひでゆき インタビュー撮影 / 佐藤類

デビュー当時は「右も左もわからへん」

──FLOWは10年前の2003年7月2日、シングル「ブラスター」でメジャーデビューしたわけですが、当時のバンドはどんな状態でした?

GOT'S(B) 2003年はインディーズで「贈る言葉」と「メロス」を出して、だいぶ世間に認知されるようになってきた時期ではあったよね。

KEIGO(Vo) インディーズ時代を総括するアルバム「SPLASH!!!~遥かなる自主制作BEST~」も出したし。

GOT'S うん。だからわりといい状態でのメジャーデビューだったとは思うんですよ。

KOHSHI(Vo) 満を持してのメジャーデビューみたいな。

TAKE(G) ただ、当時はまったくと言っていいほどメジャーデビューしたっていう自覚はなかったですけど。

IWASAKI(Dr) 右も左もわからへん、みたいな感じやったよね。

TAKE 俺らはバンド結成してからずっと、音楽を作ってライブをやることがただ楽しくて日々を過ごしてましたから。だから正直、セールス的なことはまったくわからなかった。

──インディーズでの活動があっても、そういうものなんですかね。

KOHSHI(Vo)

KOHSHI 俺らはそうでしたね。オリコンの左ページだ、右ページだとかいろいろ言われるんですけど、まったく実感はなくて。とりあえず大人に怒られないようにがんばろうっていう(笑)。

KEIGO 先のことを考えたりなんてこともまったくなかったですからね。目の前の一点しか見てない状態で。

TAKE まあでも初めてづくしの毎日は非常に楽しかったですよね。期待されてないからこそ「やってやるぜ!」みたいな。根拠のない変な自信もあったし。

──いやいや期待はされていたはずですよね。メジャーデビューしたわけですから。

TAKE でもね、当時は俺らのことなんて誰も知らなかったですよ。

KOHSHI 誰が期待するんですか? むしろ(笑)。

KEIGO いたんっすか? 期待してる人?(笑)

──そんな自虐的な(笑)。

IWASAKI もちろんレーベルのスタッフさんとかインディーズ時代からのファンとかね、期待してくれる人たちは確実にいたとは思うんですけど、当時はそういうとこすら見えてなかったんでしょうね。自分たちのことだけで精一杯というか。

TAKE でもそんな中で、どうすればより多くの人に聴いてもらえるかっていうのはけっこう模索してはいましたけど。

GOT'S そうだね。「SPLASH!!!~遥かなる自主制作BEST~」はそこそこ売れたんだけど、メジャーになって全国をライブで回ったときに地方の会場にはあまり人が入らなかったこともあって。だから、どうすればいいんだろうっていうことは常に考えてたかな。

TAKE いかにして曲を聴いてもらって、いかにして現場に足を運んでもらうかっていうことを考えてた日々だよね。それは今もまったく変わらないんですけど。

「NARUTO」「エウレカセブン」との幸福な出会い

──メジャーデビューの翌年には、テレビアニメ「NARUTO-ナルト- 疾風伝」とのタイアップでシングル「GO!!!」がリリースされました。FLOWとアニメとの関わりはここからスタートしましたね。

IWASAKI(Dr)

IWASAKI 正直、当時はアニメのタイアップが爆発的に盛り上がるなんてことはまったく想像もしてなかったんですよね。でも結果として、それはFLOWにとって大きなステップアップになったことは確かで。

TAKE 「GO!!!」という楽曲のポテンシャルは制作の段階から非常に感じていたので、それを「NARUTO」が大きく広めてくれたことがすごくうれしかったですね。

KEIGO リリースからしばらくすると「NARUTO」効果を実感するようにもなって。ライブに親子連れで来てくれる方が増えて、NARUTOの額当てしてるちっちゃい男の子がいたりとかしてね。

KOHSHI そういう光景を見て、「NARUTO」すげえなって改めて思った。そこである程度いい結果が残せたからこそ、その後にいろんなアニメのお話をいただく流れもできたわけだし。

TAKE で、まさか「GO!!!」の9年後に「CHA-LA HEAD-CHA-LA」へつながるとは!

──2005年には再びアニメとのコラボ作となる「交響詩篇エウレカセブン」のオープニングテーマ「DAYS」のリリースもありました。初めて4つ打ちのダンスビートを取り入れるなど、この曲にはサウンド的な革新が詰まっていましたね。

TAKE 流れとしては「GO!!!」のあとの「Life is beautiful」で、デビュー以来着てたバスケとかサッカーのゲームシャツを脱いでビジュアルを含めたバンドのイメージをガラッと変えたのがデカかったんですよ。

KOHSHI そうそう。バンドとしていろいろ変化をしないといけないっていう話になって。サウンド的にもノリだけではない部分で自分たちをアピールするっていう。ある種、得意技を封じられた感じはありましたよね(笑)。

──デビュー2年目で丸裸にされたみたいな。

KEIGO うん。「はいはい、ここの部分はもうわかったから、ほかのところ伸ばしてみよっかあ」みたいな感じでね(笑)。

GOT'S(B)

KOHSHI そこでまた試行錯誤したことで「DAYS」にたどり着いた感じはありましたね。

TAKE 「DAYS」は「エウレカ」との出会いがなかったら世に出ていなかったんじゃないかっていうくらい、当時のFLOWとしては新しいサウンドでしたからね。あのタイミングでリリースできたことはのちの自分たちにとっても大きな意味があったと思います。

GOT'S 息の長い曲にもなったしね。リリースから8年くらい経つのに、いまだにイベントでイントロが流れると、みんなワーッと盛り上がってくれる。だからこそ自分たちとしても楽曲に対して新鮮な気持ちでいられますし。

ニューアルバム「FLOW THE MAX!!!」 / 2013年3月27日発売 / Ki/oon Music
初回限定盤 [CD+DVD] / 3200円 / KSCL-2217~8
通常盤 [CD] / 3059円 / KSCL-2219
CD収録曲
  1. HERO ~希望の歌~
  2. ブラックマーケット
  3. 君自身BAND
  4. ブレイブルー
  5. Red Hot Riot
  6. TOY MACHINE
  7. Won't you stay
  8. UMBRELLA
  9. On my way
  10. 乾杯アワー
  11. 休日 ~連休ver.~
  12. Celebration
  13. NAME
  14. CHA-LA HEAD-CHA-LA
初回限定盤DVD収録内容
  • ブレイブルー(Music Video)
  • HERO ~希望の歌~(Music Video)
  • CHA-LA HEAD-CHA-LA(Music Video)
  • GO!!!(Live)2012.4.14 Ki/oon20Years and days at LIQUIDROOM ebisu
ニューシングル「HERO ~希望の歌~ / CHA-LA HEAD-CHA-LA」 / 2013年3月20日発売 / 1350円 / Ki/oon Music / KSCL-2209
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CD収録曲
  1. HERO ~希望の歌~
  2. CHA-LA HEAD-CHA-LA
  3. RISING DRAGON -DJ DRAGON Remix-
  4. CHA-LA HEAD-CHA-LA -Official English Ver.-
  5. HERO ~希望の歌~-Instrumental-
  6. CHA-LA HEAD-CHA-LA -Instrumental-
FLOW(ふろう)

1998年に兄弟であるKOHSHI(Vo)とTAKE(G)が結成したミクスチャーロックバンド。1999年にKEIGO(Vo)とGOT'S(B)、2000年にIWASAKI(Dr)が加入し、現在の編成となる。2003年7月にシングル「ブラスター」でメジャーデビュー。2005年6月にリリースしたシングル「DAYS」がテレビアニメ「交響詩篇エウレカセブン」のオープニングテーマに起用されて大ヒットし、一躍人気を高める。2008年9月には初の日本武道館ワンマンライブを開催し、大成功を収めた。数々のアニメ主題歌を担当したことから海外でも注目を集め、2010年6月リリースのアルバム「MICROCOSM」は欧米44カ国で発売される。また、2011年7月にフランスで行われた「2011 JAPAN EXPO AWARD」ではアルバム「MICROCOSM」で「最優秀J-MUSICアルバム賞」を受賞した。メジャーデビュー10周年に突入する2012年7月からは「FLOW THE MAX!!!」と銘打ちさまざまな活動を展開。2013年3月にシングル「HERO ~希望の歌~ / CHA-LA HEAD-CHA-LA」とアルバム「FLOW THE MAX !!!」を発表した。同年4月より47都道府県を回る全国ツアー「FLOW LIVE TOUR 2013 『ツアー THE MAX!!!』」を開催する。