ナタリー PowerPush - FLOW

合い言葉は“MAX!!!”5人が語る10年の軌跡

アクシデントがFLOWを変えた

──アニメとの親和性の高まりやバンドとしての新たなサウンドへのトライなど、順調に活動を展開していく中、2005年の年末に大きなアクシデントが起こってしまいます。

TAKE(G)

TAKE ありましたねえ。KEIGOが万引きで捕まっちゃって。

GOT'S 消しゴムを盗っちゃったっていう。

KOHSHI 新聞にもちっちゃーく載って。

──自称ミュージシャン逮捕、みたいな。

KEIGO 「俺は今、全国ツアー中だ!」とわけのわからないこと言っている、みたいな(笑)。

──いやいや(笑)。思わず話に乗ってしまいましたけど、実際はKEIGOさんがケガをされて。

KEIGO そうでしたね。事故に遭っちゃいまして。

TAKE 今でこそ笑ってふざけながら話せますけど、あれはバンドにとって大きなターニングポイントになりましたよね、間違いなく。

IWASAKI いろんなことが一気にバンッと止まっちゃったので、どうしたらいいのかがわからなかった。しばらく本気でみんなヘコんでたもんね。

TAKE うん。活動再開するときのために曲作りをしてはいたんだけど、しょうもない曲しか書けないんですよ。無駄に禁煙とかもしてたなあ。自分に何かを課さないと落ち着かなかったというか。

KOHSHI わかるわかる。俺も歌詞書いてたけど「HELP!」って曲しかできなかった。誰か助けてくれー!っていう(笑)。

──KEIGOさんもつらかったでしょうね。

KEIGO そうっすね。俺は俺で焦りしかなかった。事故に遭ってしまったことで、ライブを2本飛ばしちゃったんで、ファンの人に対しての申し訳ない気持ちも強かったし。

TAKE そう。そこでね、俺らはファンの人や、いつも周りで支えてくれてるスタッフさんたちに対してのありがたさを痛感したんです。それまではライブにしろ制作にしろ、できることが当たり前だと思っていたところがあったと思うんですよ。

IWASAKI たぶんKEIGOの事故がなかったら、そういうことに気づけなかっただろうし、もしかしたらバンド自体ここまで続いてなかったかもしれない。

GOT'S(B)

GOT'S いつまでたってもお祭り野郎で終わってたかもしれないよね。

──あの出来事を乗り越えてからのFLOWには深みが出たと思うんですよ。それはサウンド的にも、メッセージ的にも、人間的にも。

KEIGO うん。すべての物事に対して、向き合い方が劇的に変わったと思う。

KOHSHI 復活後のプロモーションのとき、ラジオ局のスタッフさんなんかに「FLOW変わりましたね」ってリアルに言われたりしましたからね。ちゃんと話できるようになりましたねってことだと思うんですけど。その前はたぶん、「イエーイ! FLOWッス!」みたいな感じだったと思う(笑)。

KEIGO ノリ一発でね。「どんな曲なんですか?」「楽しいッス!」みたいな(笑)。

TAKE で、そういった変化を経ての最初のシングル「Re:member」が奇しくも「NARUTO」と2度目のコラボ作になったっていうのも、すごく運命的な気がしますね。

初海外は「うわ、アメリカすげえ」

──復活後、2006年にはアメリカのダラスで開催されたイベントで初海外ライブも経験しましたね。

TAKE もう7年前かあ。今でこそ海外でたくさんライブをやらせてもらえるようになりましたけど、当時はまだそういう経験をしてるバンド自体少なかったので、俺らも単純にノリで行ったところはありましたね。

IWASAKI せやな。「行かせてくれるっていうから行ってきまーす」みたいな(笑)。

KEIGO 最初はね、「俺らのライブに誰が来んの?」って思ってたんだけど、実際行ったら超満員ですっごい盛り上がってくれたんですよ。

KOHSHI 超気持ちよくて病みつきになる感じでしたね。

TAKE デビューして3、4年経ってたけど、まだまだ自分たちの音楽を通して新しいところに行けるんだなっていうのを実感しましたよね。それがすごくうれしかった。まあでも、あの盛り上がり方は、もうちょっと俺らが若かったら勘違いしてたと思いますね(笑)。

KEIGO 天狗になってたよね、きっと(笑)。「俺らめっちゃ人気あんなー!」って。

KOHSHI 海外の解放感も手伝って、ずっと泥酔してた人もいたけどね(笑)。

KEIGO IWASAKIさんね。俺、ダラスの空港で蹴られたもん。「IWASAKIさん、飲みすぎですよ」「うるせえ!」みたいな(笑)。

IWASAKI …………。

TAKE いやでもね、やっぱりうれしかったんだと思うよ。IWAちゃんは最年長者で、いろんなバンドをやってきたけどどれも思うようにいかなくて、FLOWが最後のバンドっていう気持ちで加入したわけだから。

IWASAKI(Dr)

IWASAKI そうね。バンドでアメリカ行けるなんて思ってなかったですもん。

TAKE アメリカンドリームの世代だもんね、IWASAKIさんは。

KOHSHI ゴールドラッシュの世代だもんね。

KEIGO 開拓時代!?(笑)

──いくつなんですか、IWASAKIさんは(笑)。

KEIGO あははは。でも今思うと最初にダラスでライブをやったときは、ほんとにその瞬間しか見れていなかったと思いますね。「うわ、アメリカすげえ」みたいな気持ちだけで帰って来ちゃったというか。その後、何度も海外へ行かせてもらうようになって、より真剣にいろんなことを考えられるようになったところもあって。そういう意味ではすごくいい経験をさせてもらいながらここまで来ているなっていうのは改めて感じますね。

ニューアルバム「FLOW THE MAX!!!」 / 2013年3月27日発売 / Ki/oon Music
初回限定盤 [CD+DVD] / 3200円 / KSCL-2217~8
通常盤 [CD] / 3059円 / KSCL-2219
CD収録曲
  1. HERO ~希望の歌~
  2. ブラックマーケット
  3. 君自身BAND
  4. ブレイブルー
  5. Red Hot Riot
  6. TOY MACHINE
  7. Won't you stay
  8. UMBRELLA
  9. On my way
  10. 乾杯アワー
  11. 休日 ~連休ver.~
  12. Celebration
  13. NAME
  14. CHA-LA HEAD-CHA-LA
初回限定盤DVD収録内容
  • ブレイブルー(Music Video)
  • HERO ~希望の歌~(Music Video)
  • CHA-LA HEAD-CHA-LA(Music Video)
  • GO!!!(Live)2012.4.14 Ki/oon20Years and days at LIQUIDROOM ebisu
ニューシングル「HERO ~希望の歌~ / CHA-LA HEAD-CHA-LA」 / 2013年3月20日発売 / 1350円 / Ki/oon Music / KSCL-2209
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CD収録曲
  1. HERO ~希望の歌~
  2. CHA-LA HEAD-CHA-LA
  3. RISING DRAGON -DJ DRAGON Remix-
  4. CHA-LA HEAD-CHA-LA -Official English Ver.-
  5. HERO ~希望の歌~-Instrumental-
  6. CHA-LA HEAD-CHA-LA -Instrumental-
FLOW(ふろう)

1998年に兄弟であるKOHSHI(Vo)とTAKE(G)が結成したミクスチャーロックバンド。1999年にKEIGO(Vo)とGOT'S(B)、2000年にIWASAKI(Dr)が加入し、現在の編成となる。2003年7月にシングル「ブラスター」でメジャーデビュー。2005年6月にリリースしたシングル「DAYS」がテレビアニメ「交響詩篇エウレカセブン」のオープニングテーマに起用されて大ヒットし、一躍人気を高める。2008年9月には初の日本武道館ワンマンライブを開催し、大成功を収めた。数々のアニメ主題歌を担当したことから海外でも注目を集め、2010年6月リリースのアルバム「MICROCOSM」は欧米44カ国で発売される。また、2011年7月にフランスで行われた「2011 JAPAN EXPO AWARD」ではアルバム「MICROCOSM」で「最優秀J-MUSICアルバム賞」を受賞した。メジャーデビュー10周年に突入する2012年7月からは「FLOW THE MAX!!!」と銘打ちさまざまな活動を展開。2013年3月にシングル「HERO ~希望の歌~ / CHA-LA HEAD-CHA-LA」とアルバム「FLOW THE MAX !!!」を発表した。同年4月より47都道府県を回る全国ツアー「FLOW LIVE TOUR 2013 『ツアー THE MAX!!!』」を開催する。