FAKE TYPE.「真FAKE STYLE」インタビュー|「ONE PIECE」への楽曲提供で夢を叶えた2人が音楽界のラーメン二郎を目指す

FAKE TYPE.が8月5日にメジャー2ndシングル「真FAKE STYLE」を配信リリースした。

MC / トラックメイカーのトップハムハット狂とトラックメイカーのDYES IWASAKIからなるFAKE TYPE.は、7月に配信シングル「Knickknack Kingdom」でメジャーデビューしたばかり。メジャー進出だけでも大きなトピックだが、現在公開中の映画「ONE PIECE FILM RED」では中田ヤスタカ、Mrs. GREEN APPLE、Vaundy、澤野弘之、折坂悠太、秦基博と並び、Adoが劇中キャラクター・ウタとして歌唱する楽曲を提供したことでも話題を集めている。

音楽ナタリーではFAKE TYPE.のトップハムハット狂とDYES IWASAKIにインタビューを行い、メジャーデビューに至った経緯から、夢だったという「ONE PIECE」への楽曲提供、そして2013年の楽曲「FAKE STYLE」を進化させた新曲「真FAKE STYLE」に込めた思いなどをじっくりと聞いた。

取材・文 / 真貝聡撮影 / 曽我美芽

活動休止中、尾田栄一郎先生の推し曲に

──FAKE TYPE.は今年7月にメジャーデビューされました。まずは、これまでにどんな活動をしてきたのか経歴を聞かせてください。

トップハムハット狂 僕もダイス(DYES IWASAKI)も学生時代から自主制作したラップを同じサイトに投稿していて、そこでお互いの存在は知っていたんです。2人とも二十歳そこそこのタイミングで上京して、そのときに初めて会いました。とはいえ、最初は一緒に曲を作ることもなく、各々が好きなように音楽をやっていたんです。

DYES IWASAKI 「トラックメイカーとして食っていこう」と思って上京したんですけど、当時の主な収入源はお酒を宅配するアルバイトでした。それでも自分には音楽以外で生きていく道がないと思っていたので、なんとか食らい付いていたという感じですね。

トップハムハット狂 僕も当時は音楽で得られる収入が少なかったので「こんなことを続けていてもな」という考えになり、23、4歳のタイミングで「もう音楽の道はあきらめて、普通に働こう」と就職することにしたんです。そしたらダイスが「辞めるのはもったいないから、試しに俺と組んでみないか?」と誘ってくれて。僕はダイスの音楽がすごく好きだったので、「この人とならやってもいいかな」と思ってFAKE TYPE.を始めました。

トップハムハット狂

トップハムハット狂

DYES それが2013年だね。ただ、最初に誘ったときはなかなか「一緒にやる」と言ってくれなくて。就職先も決まっていたし、そもそも音楽を辞める意思が固かったんです。だから1カ月くらいかけて口説いて、やっと一緒にやると言ってくれました。

──以前、別のインタビュー記事でFAKE TYPE.が「うまくいくかも」と最初に手応えを感じた曲は「文」だとおっしゃっていましたね。

トップハムハット狂 そうですね。ダイスが楽曲提供用に作っていたトラックがめちゃくちゃよくて、自分のソロ用にぶん取ったんですよ(笑)。それにラップを乗せて作った「文」をネット上で公開したらすごく評判がよくて。そのときに「これはうまくいく!」と確信しました。

DYES 俺ら的には原点の曲だよね。

──FAKE TYPE.のターニングポイントとなったような出来事はありますか?

DYES 2017年の活動休止中に、急に火がついた感じはあるよね(笑)。

トップハムハット狂 うん。なぜかわからないけど、活動休止してからFAKE TYPE.の曲が勝手にひとり歩きしだして。YouTubeに上げたミュージックビデオの視聴回数や、チャンネル登録者数が伸びる現象が起きた。

DYES 活動休止前はYouTubeのチャンネル登録者が2万人弱だったんですけど、休止してる間に10万人ぐらいになって。

──活動休止中の2019年にトップハムハット狂名義で発表された「Princess♂」が「ONE PIECE」の作者である尾田栄一郎先生の目に留まり、「週刊少年ジャンプ」の推し曲を紹介するコーナーで取り上げられましたね。

トップハムハット狂 反響はとてつもなかったですね。友達から「『ジャンプ』に名前が載ってるぞ」と連絡が来たんですけど、「そんなわけないでしょ」と思って初めは信じていなかったんです。だけど半信半疑で「ジャンプ」を買ってみたら本当に載っていて(笑)。

DYES こんなことがあるんだ!って思ったよね。当時はYouTubeのコメント欄でも「尾田先生きっかけで聴きに来ました」という人がすごく多くて。

──「Princess♂」はトップハムハット狂名義ではありますけど、作曲がDYESさんで作詞がトップハムハット狂さんだから、実質FAKE TYPE.の楽曲とも言えますね。

トップハムハット狂 そうですそうです。

DYES 「Princess♂」を作っているときには、また一緒にやろうと決めていたので、FAKE TYPE.再始動に向けての第1弾という気持ちでしたね。

──活動休止前と後で音楽性は変化しましたか?

トップハムハット狂 大きな変化はないと思います。お互いに「今やりたい衝動を音楽にぶつけよう」という思いが根底にあって、今も変わらないスタンスでやれています。自分たちが好きな音楽を作り続けられる環境ある限りは、ずっとこのスタンスでやるんじゃないかな。

──一時期はエレクトロスウィングだけを求められて苦しかったと話していましたよね。

DYES そうなんです。なので活動休止中にエレクトロスウィングの曲を作る修業をしていたんですよ。そのおかげで再開後に「よし! 前よりも作れるぞ」というモードになれて、今では作るのがめちゃくちゃ好きになりました。

DYES IWASAKI

DYES IWASAKI

“新生FAKE TYPE.”として全部書き換えたかった

──そして、今年7月に配信曲「Knickknack Kingdom」でメジャーデビューを果たしました。メジャーへ行くことを決めた理由は?

トップハムハット狂 かなり悩んだよね。メジャーへ行くことによって、自分たちが今までやれていたことがやれなくなるのは嫌だったので。

DYES 去年の夏前ぐらいにお話をいただいて、そこから水面下でずっと話し合いをしていました。「メジャーで何ができるのか?」をすり合わせたうえで、じゃあ挑戦してみようかということになって。

──メジャー2ndシングル「真FAKE STYLE」は、2013年にリリースされた「FAKE STYLE」の“真バージョン”ということですが。

DYES そうです。FAKE TYPE.が活動休止前に作っていた曲を、“新生FAKE TYPE.”として全部書き換えたかったんです。「FAKE STYLE」もその中の1つですね。

トップハムハット狂 「FAKE STYLE」をパワーアップさせることを念頭に置いて制作しました。MVを担当してくれた方にも高評価を得られたので、「これは間違いなく自信作になる」と確信しました。

──原曲の「FAKE STYLE」は、お二人の中でどういう位置付けの楽曲ですか?

DYES それまでのFAKE TYPE.ではきれいめな曲が多かった中、初めて変わった声色で早口なラップを詰め込むクレイジーな曲を作ったのが「FAKE STYLE」なので、僕らの軸になっている曲だと思います。それこそエレクトロスウィングを見よう見まねで初めて作ったのが「FAKE STYLE」だったんです。

──それから9年の時を経て作られた「真FAKE STYLE」は、「FAKE STYLE」のニュアンスを踏襲しながら、さらにブラッシュアップされていますね。

トップハムハット狂 そうなんです。サビに「Swing Swing Shock!」「Swing Swing Bop!」という歌詞がありますけど、そもそも「Swing Swing Shock!」は「FAKE STYLE」のサビの歌詞なんですよ。「真FAKE STYLE」では「Shock!」のところで韻を踏んで「Bop!」にしたりしました。あと「FAKE STYLE」と「真FAKE STYLE」は曲の構成がほぼ一緒。バース3でベースがガーンと唸るようなパートが入ってるんですけど、それはまさに「FAKE STYLE」にあるものを踏襲しているんです。

DYES 作曲で意識したポイントは、「FAKE STYLE」を現在の僕の技術で「よりカッコいいものにしよう」「今まで培ってきた物をぶつけよう」ということ。これまでの集大成になればいいなと思って作りました。

──DYESさんの作ったファンタジー感の強いトラックに合わせた、トップハムハット狂さんの突き刺すような速射的なラップがオリジナリティを生んでいますね。

DYES  AO(トップハムハット狂)がRainyBlueBellというラップグループをやっていたとき、AOだけクレイジーなラップをやっていたんですよ(笑)。奇声をあげたり、ラップなのにラップじゃないような表現というか。クレイジーなラップをするAOもすごくいいし、きれいに歌うAOもすごくよくて、どっちもFAKE TYPE.でやれたらいいなと思いました。

トップハムハット狂 わかりやすく言えば、インターネット文化でMADってあるじゃないですか。僕らの音楽は「MADっぽい」とか「合成音を貼り付けたように聞こえる」と言われることが多くて。ふざけた声色とか、そういうのをふんだんにちりばめているので、普通のラッパーとは全然違う作り方をしていると思います。

──DYESさんが出会ったときから、トップハムハット狂さんは今のラップスタイルだったんですか?

DYES 根本の部分は変わっていないと思います。ただ技術が上がって、より洗練されていっていますね。「こんな聴かせ方もあるんだ!」と毎回驚かされています。