「ヒプマイ」新作EP特集|木島隆一&キスマイ宮田俊哉インタビュー、EPの楽曲提供者コメントも

音楽原作キャラクターラッププロジェクト「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」のEP「The Block Party -HOODs-」が8月23日にリリースされた。

「The Block Party -HOODs-」は「The Block Party -HOMIEs-」とともに2作同時リリースされた「ヒプノシスマイク」初のEP。それぞれ2枚組の構成で、DISC 1にはソロやディビジョンの垣根を越えた組み合わせで歌われる新録曲が7曲、DISC 2には新録ドラマトラックが収録されている。

音楽ナタリーでは「HOODs」の発売を記念して、収録曲「ポジティブ my life」を歌唱しているシンジュク・ディビジョン麻天狼の伊弉冉いざなみ一二三ひふみ役の木島隆一、作詞を担当している宮田俊哉(Kis-My-Ft2)にそれぞれインタビュー。「ポジティブ my life」の制作エピソードについて語ってもらった。また特集の後半には「HOODs」の収録曲制作に携わっている志磨遼平(ドレスコーズ)、HAKUEI(PENICILLIN、The Brow Beat、machine、ライチ☆光クラブ)、TOPHAMHAT-KYO(FAKE TYPE.)、小出祐介(Base Ball Bear)、石崎ひゅーいのコメントを掲載する。

取材・文 / 高木“JET”晋一郎撮影 / つぼいひろこ

木島隆一インタビュー

シンジュク・ディビジョン麻天狼 伊弉冉一二三役

一二三と一緒に成長してきた

──インタビュー前に行われたこの特集の撮影、盛り上がってましたね。

6年間、「ヒプマイ」に関わって(伊弉冉)一二三を演じさせていただいてますが、ここまでギラギラした撮影は初めてだと思います(笑)。一二三をイメージしていただいたんだと思いますが、そう思うと彼ってやっぱり面白いキャラクターですよね。

木島隆一

──そこに木島さんがノれるというのも、それだけ一二三というキャラクター像が確立されているということかもしれませんね。

当初のキャラクター設定に加えて、この6年間の中で育て上げてきた一二三像は確かにあるのかなと思いますね。そして、それは僕だけじゃなくて、ほかの声優陣やスタッフさん、そしてお客様と、みんなで育んできたという感覚があって。これだけ声優が前に出てるキャラクターコンテンツは珍しいし、楽曲はもちろん、ライブも重要なコンテンツなので、そういった中で一二三らしい所作や表現ができるようになっていればうれしいです。そして僕も彼と一緒に成長してきたという感覚がありますね。一二三とともに表現力が上がってきてるというか。

──木島さんが考える一二三らしさとはどんな部分ですか?

ホストとして、常にどうやったらお客様に喜んでもらえるのかと考えているところが、彼らしいかなと思います。

──ある種のもてなす心というか。

一二三はサービスすることに喜びを感じている人。だから、彼を演じるうえではお客様を第一に思っているキャラクターということを念頭に置いているし、その影響か、僕自身もリスナーの皆さんに喜んでもらいたいと強く思っていますね。

──昨年11月に東京・片柳アリーナで行われたシンジュク・ディビジョン麻天狼の初単独ライブ「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- 8th LIVE CONNECT THE LINE to 麻天狼」でも、そのサービス精神を強く感じました。そしてあの日は速水奨(麻天狼の神宮寺じんぐうじ寂雷じゃくらい役)さんのダジャレと小ボケが冴えわたっていましたね。

速水さんのダジャレを1週間以上聞かないと、ちょっと物足りなくなる体になってますね。早く速水さんに会ってダジャレが聞きたいし、その気持ちを伊東健人(麻天狼の観音坂かんのんざか独歩どっぽ役)くんとわかち合いたい!というように。

──癖になってますね。

完全に(笑)。速水さんがどっしりと真ん中で構えてくださってるおかげで、我々2人にも遊びの部分が生まれていると思います。だからあれだけ自由なライブができたんだと思います。ライブが決まったときから「シンジュクのことを応援してくださってる皆さんと一緒に、素敵な時間が作れるだろうな」と本当に楽しみで、当日は3人ともテンションが高かったし、伊東くんなんていつも能面な感じなんですけど、開演前からニコニコしてましたよ(笑)。楽しくて2日間があっという間に感じましたね。

──充実したライブだったことが伝わってきました。

あと自分としては、ゲストで来てくださったSANABAGUN.さんとステージ上で握手して、「SUMMIT OF DIVISIONS」でコラボしたときに、10年来の友達のような感覚を覚えたんです。音が鳴れば関係性がフラットになるのが音楽の力であり、偉大さだし、それは「ヒプマイ」を6年間やってきて感じたことで、それはこれからも変わらないと思います。

木島隆一

一二三は音楽面でもいろんなアプローチができるキャラクター

──一二三のソロ曲についてさかのぼると、第1弾「シャンパンゴールド」はオリエンタルラジオの藤森慎吾さん、そして第2弾の「パーティーを止めないで」はゴールデンボンバーの鬼龍院翔さんと、非常に個性のある、もっと言えばクセが強い作家陣が制作に参加されましたね。

一二三のソロ曲はとにかく制作に参加していただく方が豪華ですよね。そして今回の「ポジティブ my life」は作詞がKis-My-Ft2の宮田俊哉さんという……。一二三が派手であれば派手であるほど、お客様に喜んでいただけるので、煌びやかさが必要なキャラクターなんだろうなと思います。また、彼が人のことを楽しませようとする心が、自然とエンタテインメント性の強い方とご一緒できる機会を引き寄せてるのかなと思います。楽曲に携わってくださる方は、一二三と親和性がある方が多い気がするし、それがいい曲が生まれることにも結び付いているのかもしれないですね。

──伸びしろならぬ“遊びしろ”があるというか。

そうですね。一二三ってホストの部分、女性恐怖症の部分、チャラい部分、友情に厚い部分など、多面性のあるキャラクターで。そういう意味で言うと、音楽面でもいろんなアプローチができるキャラクターだと思いますね。

──過去のソロ曲の話に戻りますが、「シャンパンゴールド」は「ヒプマイ」が発足した2017年にリリースされた曲ですね。

「ヒプマイ」自体がこれからどう展開されていくのだろうかという状態で、藤森さんもそんな状況の中で歌詞を書いてくださって。だから僕自身、お客様からどういう反応が返ってくるか正直想像できていなかったんですが、「ヒプマイ」というプロジェクトが大きくなっていく中で、「シャンパンゴールド」という曲自体の人気が徐々に大きくなっていったという感触がありますね。そして「パーティーを止めないで」で、さらに一二三への注目が集まったんじゃないかと。

──YouTubeではフルサイズ音源の前に「パーティーを止めないで」のトレイラーが公開され、その動画が800万回再生近くをカウントしました。

「パーティーを止めないで」は、鬼龍院さんの仮歌をいただいた段階で、とんでもない反響があるだろうなと思いました。この曲をきっかけに「ヒプマイ」に興味を持ちましたという話もよく聞きます。鬼龍院さんをリスペクトしているので、この曲に込められた鬼龍院さんらしさをしっかり受け止めながら、そのうえで一二三らしさをどう表現するかを試行錯誤しましたね。いつかは金爆の皆さんと一緒にライブができるような機会が実現したらうれしいです。もっと言えば、「ヒプマイ」のキャスト18人と金爆さんで「パーティーを止めないで」をパフォーマンスできたら超面白いだろうなっていうのは、速水さんと常々話しております(笑)。

──ド派手なステージになりそうですね(笑)。

会場の“子猫ちゃん”……一二三としてあえて子猫ちゃんという表現をしますが……とんでもないことになるんじゃないでしょうか。本当に盛り上がる曲だし、子猫ちゃんたちが飛び跳ねてる姿を見たら、僕もさらにノッて楽しくなるだろうなと思います。あと後半の転調パートが歌っていて気持ちよくて。

──「シャンパンゴールド」も「パーティーを止めないで」も、どちらもキャッチーなメロディが印象的ですね。

一二三の親しみやすさを作家の皆さんが汲んでくれているのかなと思います。

──シンジュク・ディビジョンとしては「Shinjuku Style ~笑わすな~」や「TOMOSHIBI」「The Champion」などハードな側面が表現された楽曲が多いので、一二三のソロがさらに明るく感じる部分もあって。

「人間ってそうだよな」と思うんです。誰しもいろんな気分の日があるというか。落ち込む日もあれば、楽しくなる日も、凪のような心の日もある。一二三はホストという職業柄、マインドの振れ幅のある人に日々接していると思うし、そういう人間の感情の豊かさに対して、さまざまなことを考えているはずなんですよ。そういう思いが彼の表現の幅につながっているのかなと。本当に、どの曲も歌えば歌うほど、味が変わっていくような印象があって、いつも新鮮な気持ちで歌えています。