“知らないエビ中”すぎて戸惑った新曲「ヘロー」

──DISC 2は昨年夏リリースの「#FAMIEN28h」（参照：私立恵比寿中学「#FAMIEN28h」インタビュー）に引き続き、現在の9人バージョンにアップデートされた既発曲が収録されています。今回は9曲が新しくなりましたが、「エビ中出席番号の歌 その3」は3人の自己紹介が追加されているのみならず、6人の紹介もアップデートされていて、「ファミえん」での初披露時にはファミリーの皆さんが思わずどよめいていました。

安本　前山田（健一 / ヒャダイン）さんとの打ち合わせで自分たちの意見も入れてディスカッションしたので、メンバーみんなすごく気に入っています。

──柏木さんが「転校いたします」と宣言していて、それがレコーディング音源になっているというのは斬新ですよね（笑）。全員のキャラクターがよく表れていますが、小久保さんのパートは歌詞の一部が空欄になっていて、ライブのたびに即興を求められるという。

小久保　毎回何を言うか決めておかないといけない……。

桜木　この前リハのときに「まだ何言うか全然決まってない」って言ってたよね。

柏木　で、怒られてたよね（笑）。

──DISC 2はさらに、メジャーデビュー10周年記念日の5月5日からコンスタントにリリースされている配信シングル4曲が収められています。「青春ゾンビィィズ」「新未来センセーション」「Bang Bang Beat」は「ファミえん」に向けたライブの盛り上がりを想定した曲という印象でしたが、8月リリースの最新曲「ヘロー」はこれまでのエビ中になかった、新しい一面が感じられる曲ですね。個人的には「歴代のエビ中楽曲で一番好きかも」と思うほど気に入っています。

安本　ホントですか!? でも、私はレコーディングの段階では正直すごく不安で……本当に今までのエビ中にありそうでなかった曲だから、歌うのにすごく苦戦したし、なかなか自分に馴染ませることができなくて。聴いた皆さんがどう感じるか、リリースされるまで不安で仕方なかったんです。

──レコーディングが終わって、完成版を聴いてもなお？

安本　なお、本当に知らないエビ中すぎて。今までも知らないエビ中にいっぱい出会ってきたはずだけど、「ヘロー」は一番反応が予想できなかった。

柏木　同じく。レコーディングは「本当に大丈夫かな……？」「何が正解!?」って。

──そうだったんですね。9人体制の第1弾楽曲「Anytime, Anywhere」もエビ中の音楽的な振れ幅を大きく広げた1曲でしたが、「ヘロー」はその道をさらに押し進めたような感覚があって。ほかのアイドルには似合わない、エビ中が歌うからこそサマになる楽曲だなと思ったのですが。

柏木　今は確かにそう思いますけど……自分の中で「あっ、これでよかったんだ」と安心できたのは、ミュージックビデオが出たときです。

安本　わかるわかる！

柏木　MVを観てようやくイメージができた。本当の「ヘロー」を知ったのはファミリーの皆さんと同じタイミングです（笑）。

──作詞作曲を担当したharhaはまだ20代前半の若い作家チームだと聞きました。

安本　「青春ゾンビィィズ」は「ハイタテキ！」や「紅の詩」などを書いてくださったTAKUYAさんが提供してくださったんですけど、ほかの3つの新曲は若いクリエイターさんが書いてくださってるんですよ。私たちはアイドルの中ではけっこうベテランになっちゃったけど、時代によって新しい人と交流していけるのはすごくいいですよね。グループが変化していく中で、そうやって音楽の面でも新しいエビ中を伝えられているのはいい流れだなって。

桜木　「Bang Bang Beat」はいろんなジャンルが1曲の中に入っていて、この曲も「どう受け止めてもらえるんだろう」と思っていましたけど、「ファミえん」で披露したとき、最後に手を上げたらファミリーの皆さんも一斉に手を上げてくれて。初めてライブで歌う曲なのに一体感が生まれる曲なんだなと思ったし、ライブで歌って大好きになりました。

風見　「新未来センセーション」は「君の隣に恵比中♡」ってすごくかわいいなと思っていて、仮歌を聴いたときからすぐ好きになりました。でも「ファミえん」は歌穂ちゃんがお休みだったから、まだ9人全員でライブで歌えてないんですよ。早く全員そろって歌いたいです。

ひなちゃんが安心して転校できるようなエビ中に

──先ほど少し話に挙がりましたが、今の9人で活動する時間はもう限られています。今はどのような心構えでいますか？

桜木　ひなちゃんが安心して転校できるようなエビ中になっていたいし、私自身もそうありたいです。年末のライブはちゃんと未来が見えるようなものにしたい。もっと上を目指していけられるレベルになれれ……。

柏木　らりるれろ（笑）。

桜木　（笑）。いけるレベルになれるように努力します！

──ドラえもんが未来に帰るときののび太みたいなことを言いますね。柏木さん、そんなふうに言われていますが？

柏木　いや、でもすでにもうなんの不安もなくて。ここまでの3人の成長を見てきたから、前ほど注意することもなくなったし、「こうしたほうがいいんじゃない？」みたいなことは言いますけど、そんなにもうね。3人もそうだけど、姉メン5人についても……いや、姉メンのほうが不安かも（笑）。

安本　それは感じる！ いろいろ心配してくれてるんだろうなって。

柏木　あははは（笑）。やっぱね、長い時間一緒に過ごしてきたからこそ。今度のオーディションについても、美怜ちゃんとか「こうだよね、こうだよね」って私に話してくるけど「いや、新メンバーが入ってくるときには私はもういないんだよね」って（笑）。まだ実感がないから。

風見　私たちはひなちゃんに頼っているところがたくさんあるんです。ライブの進行を考えたりとか、リハーサルがうまくやれなかったときとかにみんなを集めて話をするきっかけを作ってくれたりとか。私にできることなんてまだまだ少ないけど、新メンバーが入ってきたときは、ひなちゃんが教えてくれたことを、今度は私たちココユノノカが伝えていかなくちゃって思ってます。

──頼もしいですね。では小久保さんに今日のお話を総括してもらいましょう。

小久保　今の9人のエビ中も年末までしっかりやらなくちゃいけないし、新しい子が入ったエビ中もがんばらなくちゃいけないから、あの……（不思議なジェスチャーを交えながら）。

安本　踊り出しちゃった（笑）。

柏木　ちょっと変わったWinkさんみたいな（笑）。

小久保　だからもう……あーん。

安本　がんばれ！

小久保　あと1年2年はがんばらなきゃいけないなと思います。

風見　え？ あと1年2年？

──新しい形を見つけ出すまでは模索し続けるということでしょうか。

安本　もっとかかるんですよ？ ここまで10年以上かかったんですよ？（笑）

小久保　がんばります！