私立恵比寿中学「中吉」インタビュー|9人体制の確立、柏木ひなたの“転校”……変化を重ねながら継承する「エビ中らしさ」 (2/3)

9人での残りわずかな時間

──今の9人のバランスがすごくよいだけに……柏木さんの年内での“転校”(卒業)は決まっているし、さらなる新メンバーを決めるオーディションの結果発表を控えている今、「この9人のエビ中をもっと見ていたかった」というファミリーの声が多いのもうなずけます。それは転校を決意した柏木さんも思わないですか?

柏木 ……正直思ってます(笑)。客観的にも「この9人ならどういうことができるかな、もうちょい見ていたいな」と思う。ライブ映像を観ると「ああ、今はこんな雰囲気になっているんだ」「どんどんよくなっているな」とわかるから、もうちょい続ければもっとよくなるんだろうなと思うけど、転校を決断したのは自分だし……あと残り4カ月もないのかな? 9人でステージに立つ機会はもう本当に限られているんだなと感じているので、残りの時間でしっかりと見せていけたらなと思います。

──もちろん柏木さんの決断があって、次に向かっての流れを作っている段階なのは重々承知ですが、虹のコンキスタドールに卒業した的場華鈴さんや大塚望由さんが戻ってきたような前例(参照:虹のコンキスタドール予科生として的場華鈴、石浜芽衣、尾林結花、原田珠々華が活動開始 / 虹コンに新メンバー2人!大塚望由が復帰し、元WILL-O'桐乃みゆもアイドルとして再出発)もあって。

安本 それ、私もめっちゃ思いました。ひなたに直接言うと惑わせちゃうけど「虹コンみたいになんないかな……」って(笑)。

──それもまた相当な覚悟が必要だとは思うんですけどね……。とはいえ、先日は新たなエビ中メンバーを募集するオーディションが終了を迎えて、改めて新たな形に向けて動き出しているんだなと実感しました。3人の加入は大きな成功例になったと思うので、期待もプレッシャーもさらに上がっているんじゃないかと。

安本 はい。9人になったエビ中がすごくパワーアップしたと感じるのは自信にもつながっているんですけど……今回はひなたが転校するというところから始まっているオーディションだから、やっぱり自分の中の基準値もかなり上がっているんですよ。まあ、でも9人で力を合わせてがんばれたという自信があるので、どんな子が入ってもその子をサポートできるんじゃないかと思います。

──具体的に「いいな」と思った子はいましたか?

柏木 そうですね。「この子がエビ中に入ったら面白くなるだろうな」とか「即戦力だろうな」とか。

──「エビ中に合うかどうか」というのは1つの基準でしょうけど、それもまた、少し前の「エビ中らしさ」と今現在のそれとはまた少し違っているでしょうし。

安本 それに関しては校長(エビ中のチーフマネージャー・藤井ユーイチ氏)も含めてみんなで会議したいところなんですけど、それぞれに「今のエビ中はこうだ」という思いを持っていて、それがきっとそれぞれ少しずつ違ったりもすると思うんです。

「ファミリーがイメージするエビ中」が真のエビ中

──「エビ中らしさ」の話をすると、音楽的な面での「エビ中らしさ」の広がり方もまた注目すべきポイントで。音楽的な面白さ、幅広さもエビ中の特徴と言えますが、2022年に配信リリースされた楽曲でその幅にもさらなる広がりが見られます。新作「中吉」はファン投票で選ばれたDISC 1と、9人で録り直した既発曲に2022年の新曲を加えたDISC 2という構成で、前者はファミリーが考えるエビ中らしさ、後者はエビ中サイドが打ち出す今現在のエビ中らしさが表現されているとも言えるのかなと。DISC 1の選曲についてはどう思いますか?

安本 「ファミリーがイメージするエビ中」が、きっと真のエビ中だと思うんですよ。だからこの選曲には私たちもすごく「エビ中らしさ」を感じます。

柏木 そこまですっごいアゲ曲ばかりが集まっているわけでもないし、シングルの表題曲だけじゃないってところが、すごくエビ中っぽい。

安本 やっぱりライブが基準で選ばれている曲が多い気がする。

柏木 ライブのセットリストみたいだもんね。

安本 そう、セトリみたい。

──10年分の楽曲なので当然、桜木さん小久保さん風見さんが参加していない曲がほとんどですが、3人が特に思い入れのある曲、気に入っている曲は?

桜木 うーん、いっぱいあるな。

小久保 オーディションの課題曲だった「ハイタテキ!」や「誘惑したいや」はやっぱり思い入れが強いです。

風見 「仮契約のシンデレラ」は最初のパートが歌穂ちゃんと(中山)莉子ちゃんだったのが私たちに代わって。大事なパートを3人に任せられて「よし、がんばろう!」と気合いが入った曲ですね。でも今度また新メンバーが入ったら代わるかもしれない。

小久保 そうか……3人で絡むところはすごく好きなので、代わるのはちょっと寂しいかも。

桜木 私は「ラブリースマイリーベイビー」ですね。「ラブスマ」は初めてのライブだった「@JAM」で最初に歌ったのも印象深いし(参照:私立恵比寿中学の安本彩花が323日ぶりにステージ復帰!新メンバー3人も初パフォーマンス披露)、初めてレコーディングに挑戦したのも「ラブスマ」だったんです。レコーディングのときに「世界だって救って行けるはずだから」のフレーズを「もっと明るく歌うように」と言われても、なかなかできなかった悔しい思い出があって……。でも、ひなちゃんから教えてもらった発声法で練習したらだんだん出るようになってきて。ライブで歌うと自分の成長を感じます。

──桜木さん、加入当初は「ダンスは得意だけど歌には苦手意識がある」と言ってましたけど、1年でずいぶん意識が変わったんじゃないでしょうか。

柏木 うんうん、すごく変わったと思う。

安本 歌が好きになってくれたのかなって。

柏木 真山と小林がお休みして7人でライブをやったとき、2人のパートを3人にもけっこう割り振ったんですよ。そこの心菜のパートを聴いて「すっごい歌えるようになったな」と思いました。普段のパート分けは音域に合ったところが選ばれているから、心菜は基本低めのパートが割り振られることが多いんですよ。だから最近のライブで普段と違う高い声のパートを歌う心菜の歌声を聴いて「えっ、心菜めっちゃ歌えてる」って。すごく努力を感じました。

桜木 ……エヘッ……。

安本 ニヤニヤしてる(笑)。

桜木 ありがとうございます(笑)。