私立恵比寿中学|10年経っても中学生

私立恵比寿中学がこの夏、開校(結成)10周年を迎える。ナタリーではアニバーサリーイヤーを共に盛り上げるべく「EBI10」(えびてん)と題した周年企画を展開。企画展「エビ展 ~永遠に中学生の彼女たち~」とその“前夜祭”イベント「エビ展の前夜祭 ~開校10周年をお祝いする夜~」を開催する。

この特集では「EBI10」開催に先立ち、その概要を紹介。またエビ中メンバーがこの10年を振り返るインタビューも併せて掲載する。

取材・文 / 臼杵成晃 撮影 / 中野修也

とある中学生たちの成長記録

2009年8月、スターダストプロモーションからももいろクローバー(現ももいろクローバーZ)に続くアイドルグループとして歩みを始めた私立恵比寿中学は、幾度かの転入(加入)と転校(脱退)を繰り返しながら活動を続け、最年少メンバーが高校を卒業した現在も“中学生”として独自の活動を続けている。音楽ナタリーに初めて「私立恵比寿中学」の名が掲載されたのは2010年6月、のちに国内最大級のアイドルイベントとして定着する「TOKYO IDOL FESTIVAL」初回の開催決定を報じた記事(参照:注目アイドルが品川に集結!日本最大のアイドルフェス開催)。それから現在まで、エビ中について触れたニュースの総数はナタリーの全ジャンルを合わせると約1400本におよぶ。

毎年恒例の夏ライブ「エビ中 夏のファミリー遠足 略してファミえん」(参照:エビ中、夏の河口湖ファミリー遠足で噴水&打ち上げ花火)や年末の「大学芸会」(参照:エビ中「アイドル原始時代」でKing of 学芸会の本領発揮)といった大きなライブはもちろん、メジャーデビュー前のフリーライブ(参照:エビ中が連休のお台場でフリーライブ、新曲&ネコ耳初披露)やメジャーデビュー決定時の調印式(参照:「ケン・ヒライの妹分に」エビ中デビュー“仮”契約調印式)、さらには地方でのフリーライブ(参照:「ひさしぶりの名古屋だぎゃー!」エビ中晴天の野外ライブ)やテレビ番組の収録現場(参照:松野莉奈の念願叶う!「エビ中++」屋外ロケでバーベキュー満喫)など、音楽ナタリーではエビ中のさまざまな場面を取り上げてきた。そこには図らずも、少女たちの成長記録とも言える膨大なアーカイブが形成されている。

EBI10 ロゴ

そこでナタリーでは、エビ中の歴史とその進化が体感できる企画展「エビ展 ~永遠に中学生の彼女たち~」を行うことに。4月17日から5月6日まで東京・タワーレコード渋谷店 8F SpaceHACHIKAIで開催する企画展では、これまで音楽ナタリーの記事に掲載した写真やメンバーが着用した歴代衣装、エビ中ファミリー(私立恵比寿中学ファンの呼称)から寄せられた公募作品などを展示する。また4月16日にはその“前夜祭”として「エビ展の前夜祭 ~開校10周年をお祝いする夜~」を東京・ヒューリックホール東京にて開催。こちらは彼女たちと親交の深いお笑いコンビ・流れ星をMCに迎えたトーク&ライブとなる。

私立恵比寿中学 インタビュー メンバーが振り返る10年

それぞれの変化

出席番号3番:真山りか

星名美怜 服がおしゃれになった!

真山りか それは自分でもそう思う(笑)。

星名 最初の頃、レッスン着はお父さんからもらったという赤いTシャツをいつも着ていて……。

安本彩花 ……懐かしいー!

星名 大きいサイズの赤いTシャツをいつも着ていて、そのイメージが強かった。

真山 あまりにもおしゃれに興味を持ってなかったから、お母さんが「お金をあげるから、お店で店員さんに言ってマネキン買いをしてきなさい」ってよく言われてました。自分に合う合わないは関係なしに着てたんですけど、年相応の服を着るという感覚が身に付きました(笑)。昔の写真の着ていた服を見るだけでエビ中での歴史がわかる。これは何年ぐらいだなって。

星名 でもホント、そこが一番変わったよね。

安本 昔は今ほど素直じゃなかった気がします。強がりさんな部分が小っちゃい頃はすごく強くて。でも歳を重ねるごとに素直な真山ちゃんを見せてくれるようになった。たまにどっちがお姉さんかわかんないぐらい。

真山 いやいやいや。

星名 赤ちゃん化してきたよね?

出席番号5番:安本彩花

真山 彩ちゃんは変わりまくったよ。

星名 最初は全然しゃべんなかったし、列からは下がってるし、円には入らないし、どんな子なんだろ?と思ってた。

真山 自我がなかったんだよね(笑)。

星名 自我が芽生えてからは暴走してるし(笑)。まだまだ変化しますよ。

安本 うん。まだまだコロコロ変わっていきそう。最初が真っ白だったから。

真山 真っ白なキャンバスにどんどん色が足されてる。油絵みたい。

安本 でも多分、エビ中に入ってなかったら一生白いままだったと思う。無の子だったと思うんですよ。エビ中に入って、いろんな色を足されて……ありがとうって感じです。もう人生の半分がエビ中なんですよ。最初の半分はお父さんとお母さん、それからの半分はエビ中に育てられたと言っても過言ではない。こないだお父さんも言ってたんですよ。「お前はエビ中に育てられたなあー」って。

真山 そうかもね。それはメンバーみんなそうかも。

安本 最近思うんだけどさ、小っちゃい頃からアイドルをやってると、子育てをさらされてるみたいな気持ちになるよね(笑)。

真山 ようやくわかったよね。なんでアイドル好きな人たちが小さい頃から応援してくれるのか。成長していく姿を見届けるのが楽しいんだよ。でもすごく照れる(笑)。恥ずかしいけど、わかる。メンバーでも見ていて楽しいもん。

出席番号7番:星名美怜

真山 美怜ちゃんは一貫してるよね。一番ブレてない。変わった部分は……キャッチコピー?

星名 つい最近じゃん(笑)。

真山 でもキャッチコピーが変わったのは大きいと思うよ。美怜ちゃんと言えばエビ中の中でも一番女の子らしいイメージを持っている人が多いと思うんですよ。でも楽屋ではけっこうおっさんっぽい部分とか、おおざっぱな部分があって。

星名 うん。めちゃくちゃ几帳面だと思われてると思う。

真山 いや、それはないと思うよ(笑)。

星名 それはないか。

柏木ひなた 返し早いな(笑)。

小林歌穂 でも確かに、初めて会ったときは清楚でちゃんとした人なんだろうなというイメージしかなかったけど……。

真山 けっこうブッ飛んでるんですよ。ブッ飛びガールだから、そのブッ飛んでる感じが「360°どこから見てもアイドル」から「エビ中のイマドキ革命ガール」に変わったこの1年ちょっとでわかってもらえたと思うんです。その変化はグループにとっても大きかったと思うんですよ。

出席番号10番:柏木ひなた

星名 ひなたは……戻った。最初の頃は人見知りもあったからか、めちゃくちゃ大人っぽく対応されてびっくりしたんです。それがだんだん解き放たれて、すごく元気な赤ちゃんみたいになって、最近はまた年齢を重ねて大人っぽくなった。

真山 でもいまだに子供っぽい部分もあって。よくわかんないんですよ、ひなたは。本当に謎。しかも年々その謎が深まっていく(笑)。

星名 日頃何してるのかわかんないもん。

柏木 隠してるわけじゃないんですよ。みんなみたいにプライベートがあまり充実してないというか……話すこともないんです。特に話して面白いことがない。

中山莉子 1日密着してほしい。ひなたちゃんの1日。

柏木 「どんな人ですか?」って聞かれて一番言葉にしづらいと思うの。

安本 なんだろうな、最近は包み込むような包容力が出てきた。

真山 そうそう、母性を感じるよね。

柏木 何? 私お母さん?(笑)

中山 お母さんありがとう。

安本 子供のときは怪獣みたいだったのに、かほりこが入ってからは、子供を何匹も抱えたお母さんみたいに。5人の怪獣を育てるお母さん。

出席番号11番:小林歌穂

星名 変わった。

安本 変わってない。

小林 えっ!?

柏木 同時に別の意見が出てきた。

星名 変わったのは、入ったばかりの頃はホントに遠慮しがちで、お弁当が人数分あるのに「これ食べていいの……?」みたいな。

真山 遠慮は今でもしてるよね。でもプレゼントをせびるようになった(笑)。

小林 「誕生日に何が欲しい?」って聞かれて、私はレッスン靴に穴が空いてたから靴が欲しかったんです。だけど靴は破れてるから早く欲しかったのね。誕生日まで待てなくて。だから「早くちょうだい」って(笑)。

安本 まだエビ中に入る前、3B juniorの集まりで「あの子、エビ中に入るよ」って聞いて遠くから見ていたら、ずっと隣の子に変顔をしてたんですよ。「あの子はかまってちゃんだな」という第一印象だったんですけど、今も変わらずかまってちゃん。

小林 あのときはまだ中学1年生で、自分が何をしに集まっているのかよくわかってなかったんですよ。私も彩花ちゃんと同じで、エビ中に入るまでは真っ白で何もなくて、エビ中に入らなかったら人間になれてなかったと思うんですよ。最近やっと人間っぽくなった気がする。自分では。

安本 あ、変わったとこあった。ツッコミがうまくなった。ツッコミができる子だなんて最初は思わなかったけど、芸人さんが好きになってから、しゃべり方が芸人っぽくなってきた(笑)。

小林 あはははは(笑)。でも怖いんですよ。楽屋ではツッコめるけど、ライブとかだとスベるのが怖くて……。

真山星名 芸人か!

出席番号12番:中山莉子

星名 だいぶ怯えなくなったよね。

小林 でもまだ怯えてるよ? 顔がプルプルしてる(笑)。

中山 今でも初対面の人はそんな感じです。

真山 最初の頃は怯えてるのに強がって「違います」みたいな感じだったけど、最近は怯えてると「怖い」と普通に言うようになった。それはすごくうれしい変化ですね。

柏木 うん、オープンになった。

中山 自分では覚えてないんだよね。「緊張してる?」って言われて「してない」って答えてたって。

星名 最初の頃からは考えられない。莉子ちゃん意外とモンスターだったんだなって。

安本 最初の頃はツンと突いたら砕けちゃいそうだったけど、今は逆にツンツンツン!ってやってくる(笑)。

柏木 倍返しされるもんね(笑)。強くなったのかな。

真山 もともと芯は強い子だと思うんですけど、肉付けのされ方が異常というか怖い(笑)。着々とモンスターが育てられてる。