夏芽と航一朗のために歌った「コミック・ジェネレイション」

──「溺れるナイフ」の主題歌は毛皮のマリーズ時代の曲「コミック・ジェネレイション」で、それをドレスコーズとして再レコーディングしているわけですが。これは、どういった経緯だったんですか？

志磨　山戸監督が「『コミック・ジェネレイション』を主題歌にしたい」と言ってくれまして。僕も改めてこの曲を聴いてみたら、まるでこの映画のために書いたんじゃないかっていうくらい、歌詞の内容も作品の世界にピッタリで、山戸監督がこの曲を選んだ理由はよくわかったんです。ただ最初に自分が試写で観たときは、毛皮のマリーズ時代の音源がそのままエンドロールで使われていたんですね。それを観て、そんなことを思うのは世界で僕だけだってことは頭ではわかっていたんですけど、やっぱりすごく違和感があって。あのときの「コミック・ジェネレイション」は、本当に自分が、自分のためだけに作って、自分のためだけに歌ったものだったから、この素晴らしい映画の大切な最後に、夏芽と航一朗、2人の主人公の邪魔をすごくしているように思えたんですよ。で、山戸監督に「今度は夏芽と航一朗のために歌うから、もう1回レコーディングさせてください」って頼んだんです。

──解散させたバンドの楽曲を再レコーディングするというのも、これが初めてですよね？ そこには抵抗はなかったんですか？

志磨　そんなに抵抗感は感じてなくて。でもそれは山戸さんが必要としてくれたからだと思います。ある意味、この作品のキャストとして演奏して歌ったような気がしますし。「音楽？ あ、音楽は演技よりも得意ですよ」って感じで（笑）。

小松　私、これまであまり音楽を聴いてこなくて。ただ毛皮のマリーズのことは知ってたんですけど……。

志磨　何っ！（笑）

小松　あ、でも、ちゃんと音楽を聴いたことはなくって（笑）、名前しか知らなかったんです。

志磨　それだけで十分ですよ！

小松　（笑）。今回の「コミック・ジェネレイション」を聴いて最初に思ったのは、普段の声と歌ってる声が全然違うなってことでした。で、歌詞までちゃんと読むと、本当にこの「溺れるナイフ」の世界にピッタリの曲なんですよね。再レコーディングされた音源をいただいたんですけど、本当に何回も何回も繰り返し聴いていて。聴いているときだけあの作品の世界に戻っていくことができて、大好きな曲です。

──この曲のタイトルは「コミック・ジェネレイション」で、小松さんは、本作だけではなく、これまで公開された作品でも少女コミック原作の映画化作品にいくつも出演していますが、マンガをよく読む方なんですか？

小松　私、マンガをあまり読まないんです。お兄ちゃんが2人いるんですけど、その2人がすごくマンガ好きで、いつも私に「これ読め」って薦めてくるんです。それがもう、本当にうるさくて（笑）。だから、コミック原作の作品を演じるときは、いつも撮影の前にその作品を初めて読むことが多いですね。

志磨　音楽を聴かない。マンガも読まない。一体、学生時代は何をやってたんですか!?

──志磨さんからしてみれば、「その2つ以外、学生時代に何をすることがあるのか？」と（笑）。

小松　部活ばかりやってました（笑）。

志磨　何部？

小松　チアリーディング部。

志磨　最高やん！

──小松さんがチアリーディングをしてたなら、さぞかし応援される同じ学校の運動部の男子は強かったんでしょうね（笑）。

志磨　強豪校ですよ！ 強豪校にならなきゃ、おかしい！

小松　それは……（笑）。

──志磨さんは今作の撮影のあとにもドラマ（WOWOW「グーグーだって猫である2」）に出てましたし、役者仕事に開眼したんじゃないですか？

志磨　いやあ（笑）。

小松　素敵だと思います！ これからも、演技の仕事もやってください！