ナタリー SUPER PowerPush - ドレスコーズ
甲本ヒロト(ザ・クロマニヨンズ)×志磨遼平(ドレスコーズ)対談
ドレスコーズ特集の第2弾コンテンツは対談企画。志磨遼平に一番会いたい人は誰かと尋ねてみたところ、彼は迷うことなく甲本ヒロトの名前を挙げた。ドレスコーズとザ・クロマニヨンズ。最高のロックンロールバンド2組のフロントマンは、何を思って日々を過ごしているのか。2人の熱のこもった会話をじっくりと味わってほしい。
取材・文 / 大山卓也 撮影 / 宮腰まみこ
ロックンロールに出会うまでは漠然としていた
志磨 今日はヒロトさんに会えて、なんだかすごい汗かいてます(笑)。
ヒロト あはは(笑)。最初に音楽を聴き始めたのって何歳くらい?
志磨 僕はちゃんと意識して音楽を聴き始めたのはたぶん中学生のときで、The Beatlesでした。初めて聴いたのは編集盤っていうか企画盤みたいなレコードで「ビートルズ バラード・ベスト20」っていうやつ。
ヒロト ああ、あったあった。
志磨 そのときはそれがロックかどうかもわかってなくて「バラード・ベスト」って書いてるから、こういう音楽はバラードっていうんだと思って(笑)。だから僕は自分が好きなのは“ロック”じゃなくて“バラード”なんだって思ってました。
ヒロト うん、ロック聴き始めた頃って、何がなんだかよくわからんもんな。僕も最初はラジオで聴いてとにかく感動して、それがロックンロールというものだって気付くまでには時間がかかった。
志磨 最初にラジオで聴くよりも前は、「ロックってこういうもの」みたいな認識ってありました?
ヒロト なんかこう不良がやってる感じとか、そんなイメージが漠然とあっただけ。なにしろ音楽に興味がなかったから。
志磨 あ、僕もです。
ヒロト 音楽を好きになるんじゃなくて、ロックンロールを好きになるんだよな。そしてそれをきっかけに本や映画や絵や落語や、いろんなものを好きになる。
志磨 わかります。ロックンロールが自分の人生にボーンって出てくるまでは全部が漠然としてました。
ヒロト そうそう。
志磨 他人がいいって言うことがいいことで、みんなが怒ることは悪いことだって思ってた。
ヒロト 同じだね。
いつでもロックの話がしたい
志磨 僕は今日の対談が実現してすごくうれしいんですけど、ヒロトさんが今まで会った中で一番うれしかった相手は誰ですか?
ヒロト いや、今日もうれしいよ。
志磨 ギャー!(笑)
ヒロト 本当にそう。ロックが好きな人に会うのがうれしいんだよ。いつでもこういうふうにロックの話がしたくてしたくて。なかなかできるもんじゃない。
志磨 わかります。
ヒロト そういう意味で言えば、すごく美談に聞こえるかもしれないけど、僕は真島昌利くんという人と会ったことの喜びは大きかったな。とことんロックの話ができる仲間に出会えた。ちょっとできすぎた話って言われるかもしれないけど。
志磨 真島さんはヒロトさんから見てどういう方ですか?
ヒロト 普通の人。よく世間では普通の人がいっぱいいると思ってるけどそうじゃないんだよ。普通の人は少ない。ロックが好きなのが当たり前だと僕は思ってるから。ロックンロール好き!っていう人に会うと、ああ普通の人だって思うの。
ステージアクションの上手な説明
ヒロト ところでボーカルを選んだことは後悔してない?
志磨 僕は楽器ができないから。
ヒロト 僕もそうなんだよ。怠け者なんだよな。楽器って訓練しなきゃなんないから。
志磨 そう! そうなんです(笑)。荷物も軽いし。
ヒロト あと手ぶらでステージに立ってることのマヌケさ?
志磨 わかります(笑)。
ヒロト ちょっと気を抜くとマヌケになるから気が抜けないんだよ。
志磨 でも集中し過ぎると歌詞忘れちゃったり。
ヒロト そうそう、まあでも熱狂第一だから。あのさ、よくステージで暴れたりしてると「普段から練習してるんですか」みたいな質問されることあるじゃん? でも別にスポーツじゃないからしないよね。で、僕たちがステージでやってることの、上手な説明法を最近編み出したの。
志磨 ほうほう。
ヒロト 引きこもりの子供がブチ切れてる感じ?(笑)
志磨 あはは(笑)。
ヒロト お母さんのことを「クソババア!」って言いながら壁蹴飛ばしたり。あれと同じだよね。
志磨 その通りだと思います!
- ドレスコーズ ニューアルバム「バンド・デシネ」/ 2013年11月6日発売 / 日本コロムビア
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3465円 / COZP-808~9
- 通常盤 [CD] 2940円 / COCP-38213
CD収録曲
- ゴッホ
- どろぼう
- Zombie(Original Ver.)
- ハーベスト
- トートロジー
- シネマ・シネマ・シネマ
- Silly song, Million lights
- Eureka
- (She gets)the coat.
- Teddy Boy
- We are
- バンド・デシネ
初回限定盤DVD収録内容
Live at 日本青年館(2013.3.8)
- 誰も知らない
- TANGO, JAJ
- Puritan Dub
- ストレンジピクチャー
- レモンツリー
- Automatic Punk
- ベルエポックマン
- Trash
- ザ・クロマニヨンズ ライブアルバム「ザ・クロマニヨンズ ツアー 2013 イエティ 対 クロマニヨン」/ 2013年12月25日発売 / アリオラジャパン
- 「ザ・クロマニヨンズ ツアー 2013 イエティ 対 クロマニヨン」
- 初回限定仕様盤[CD] 3059円 / BVCL-568
- 完全生産限定アナログ盤[アナログ2枚組] 4200円 / BVJL-7/8
収録曲
- Opening(イエティ 対 クロマニヨン 愛のテーマ)
- 突撃ロック
- 黄金時代
- 人間マッハ
- 涙の俺1号
- チェリーとラバーソール
- 欲望ジャック
- ゴー ゲバ ゴー
- 他には何も
- 団地の子供
- ホッテンダー
- 恋に落ちたら
- とがってる
- 日本の夏ロックンロール
- 炎
- ヘッドバンガー
- グリセリン・クイーン
- 底なしブルー
- 鉄カブト
- エイトビート
- 紙飛行機
- 燃えあがる情熱
- 南から来たジョニー
- 雷雨決行
- ナンバーワン野郎!
- 初回限定仕様:紙ジャケット仕様
- 完全生産限定アナログ盤 24ページ写真集付き
ドレスコーズ
志磨遼平(Vo)、丸山康太(G)、菅大智(Dr)、山中治雄(B)による4人組ロックバンド。2012年1月1日に山中を除く3名で初ライブを実施。同年2月に山中が加入し、現在の編成となる。6月には大阪、名古屋、横須賀で「Before The Beginning」と題したツアーを突如開催。7月に1stシングル「Trash」をリリースし、タイトル曲は映画「苦役列車」主題歌に採用され話題を集めた。12月に1stフルアルバム「the dresscodes」を発売し、2013年3月には本作を携えた全11公演の全国ツアー「the dresscodes TOUR」を成功に収める。同年8月、フジテレビ系アニメ「トリコ」のエンディングテーマに採用された「トートロジー」を2ndシングルとしてリリース。11月6日には2ndフルアルバム「バンド・デシネ」を発表する。
ザ・クロマニヨンズ
1980年代からTHE BLUE HEARTSとTHE HIGH-LOWSで活動をともにしてきた甲本ヒロト(Vo)と真島昌利(G)を中心に、2006年夏より始動。甲本と真島に小林勝(B)と桐田勝治(Dr)を加えた4人組で、2006年9月にデビューシングル「タリホー」を発表する。その後もリリースを重ねながら年間を通してコンスタントにツアーを敢行。数々の夏フェスにも出演し、ロックファンを熱狂させ続けている。2013年2月には通算7枚目となるアルバム「YETI vs CROMAGNON」をリリース。本作を携えた全国ツアーの模様を収録したライブアルバム「ザ・クロマニヨンズ ツアー 2013 イエティ 対 クロマニヨン」を12月25日に発売する。
2013年10月29日更新