ナタリー SUPER PowerPush - ドレスコーズ

甲本ヒロト(ザ・クロマニヨンズ)×志磨遼平(ドレスコーズ)対談

「消去法で嫌々やってるんだよ」って

志磨 僕は「なんでロックンロールをやることに決めたんですか?」って聞かれたら、いつも「消去法です」って言ってるんですけど。

左から甲本ヒロト、志磨遼平。

ヒロト ふふふ(笑)。

志磨 そんなこと言いながら、ロックンロールが一番正しいんだってことは知ってて。でもそれがバレたらみんな始めちゃうと思うから、みんなには「消去法で嫌々やってるんだよ、こんなの」って言うようにしてるんです(笑)。でも本当はこれしかなくて。いろんな可能性があったのを1つひとつわざわざ削っていってロックンロールに絞ったんです。

ヒロト これに比べられるものはないね。

志磨 そう、たぶんロックンロールをやってる自分がすごい幸せだっていうのを人に言っちゃうのが怖かったんですね。今気付きました。やっぱり苦労してるって思われたいのかも。

ヒロト 僕は「お前はいいよな、好きなことだけやってて」って言われたら「そうだよ、俺はいいよ」って言うことにしてるの。「うらやましい」って言われたら「うらやましがってくれよ。その代わり妬んだり足引っ張ったりしないで。死ぬまでうらやましがっててくれよ」って。「俺は死ぬまでお前らがうらやましがるようなことしかしねえからな」って思う。

志磨 サイコー!

ヒロト 若い頃はやっぱりそこまで割り切れなかった。どっかで申し訳ないなっていう感覚もあったんだ。好きなことだけやって生きていけるなんてね、そんなことあるわけねえじゃんってどっかで思ってたんだよね。でもさすがにもう、これ何十年かやってると「あれ? できてる!」みたいな(笑)。そうするとなんかもっとわがままでいいやって思うし、もっと頑固になっていくと思うんだ。「ジジイが頑固なのはそういうことか!」って思うんだよね。それはきっと純化されたってことなんだよ。ガキって不純じゃん?

志磨 はい。

ヒロト それがどんどん純化してさ、もうこのままいくしかないってことになる。いいのか悪いのかわかんないけど(笑)。

志磨 うん、でも僕はまだ迷いますね。今日だってすっごい早起きしたのに、なんのTシャツ着ていこうって死ぬほど悩んで。悩みすぎてもうダメだと思って、結局なんにも柄の入ってないのにしました。

ヒロト 俺このTシャツは昨日の晩決めたよ。特にデヴィッド・ボウイがとびきり好きなわけでもないけど。

志磨 ははは!(笑)

ヒロト 色がきれいだから(笑)。

欲望にまだ答えを出せてない

ヒロト でも日々そうやっていろいろ悩んでると退屈しないよね。

志磨 そうですね。

ヒロト あれだよ、いろんなこと考えるだろうし、思うだろうし、それでわからなくなるんだ。でもほんとに一生懸命考えたり思ったりしてわからなくなって、最後の最後のところで逃げ場のないところまで追い詰められて、だからロックンロールをやってる気がするんだよ。突破口は1つしかないんだ。ほかにもう道はないんだ。ロックンロールしかないんだよ。それがわかったときにさ、そこにやっぱり全身全霊を傾けるしかないじゃん。

左から甲本ヒロト、志磨遼平。

志磨 はい。

ヒロト それしかないんだから。腹をくくって、あきらめて。そこに行き着くまでにいっぱい考えればいいと思うし、失敗もすればいいと思うんだよ。

志磨 そうですね。いつもいっぱい考えてます。もっとロックンロールしたいけど、まだまだわかんないことばっかりで。「有名になるってどういうこと?」「お金持ちはどんな気分?」「それで悲しいこと減るかな?」とか、いろんな欲望にまだ僕は答えを出せてないから。だから片手間で演奏しながら(笑)、そういうことをずっと考えてます。

ヒロト よくさ、「ロックンロールを聴いて勇気が出ました。元気になりました」って言う人がいるでしょ。それから例えばロックンロールでほんの少しでも世の中が変わったとか。

志磨 ロックンロールの効能ですよね。

ヒロト それはその通りだと思うの。ロックンロールが人を楽しませたり、ロックンロールが人を元気にしたり、ロックンロールが世の中をよくするっていうことを僕は絶対に信じてる。でも僕自身はロックンロールで人を楽しませようとか、誰かを元気にしようとか、世の中をよくしようとか、そういう発想はないんだよね。ただロックンロールを一生懸命やるだけ。ロックンロールが目的なんだよ、手段じゃない。

志磨 はい。

ヒロト ロックンロールの効能は信じてる。だけど俺がロックンロールをやるときに、その効能は知ったこっちゃない。わかる?

志磨 すっごくわかります。

ヒロト 自分が一生懸命ロックンロールをやったなら、人は勝手に楽しんでくれるだろうって思う。そこはもう俺の領域じゃないんだよね。

どこにも行かないのがロックンロール

志磨 こういう対談やインタビューの最後に、今後の夢とか野望とか聞かれることも多いんですけど、いつも悩むんですよ。なんて答えればいいかわかんなくて。

ヒロト 日清パワーステーションワンマンじゃない?

志磨 あはは(笑)。パワステを埋めたいです!(笑)

ヒロト ふふふ(笑)。

志磨 実際は「正しいことだけしたいです」とか言ったりするんですけど。

ヒロト 面白いね(笑)。

志磨 でもなんか人生、進んでる感じがしないっていう。

ヒロト それはね、進んでないんだよ、きっと。僕が思ってるロックンロールっていうのは目的地に向かって進んでる感じじゃなくてさ、この1カ所をずっと掘ってる感じ。

志磨 あー、なるほど。

ヒロト だからどこにも行かないんだよ。

志磨 どんどん深くなってる。

ヒロト うん、ロックンロールと付き合うっていうのは僕の場合はそういう感覚なんだ。

左から甲本ヒロト、志磨遼平。
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志磨遼平ソロインタビュー
甲本ヒロト×志磨遼平対談
ドレスコーズ ニューアルバム「バンド・デシネ」/ 2013年11月6日発売 / 日本コロムビア
初回限定盤 [CD+DVD] 3465円 / COZP-808~9
通常盤 [CD] 2940円 / COCP-38213
CD収録曲
  1. ゴッホ
  2. どろぼう
  3. Zombie(Original Ver.)
  4. ハーベスト
  5. トートロジー
  6. シネマ・シネマ・シネマ
  7. Silly song, Million lights
  8. Eureka
  9. (She gets)the coat.
  10. Teddy Boy
  11. We are
  12. バンド・デシネ
初回限定盤DVD収録内容
Live at 日本青年館(2013.3.8)
  1. 誰も知らない
  2. TANGO, JAJ
  3. Puritan Dub
  4. ストレンジピクチャー
  5. レモンツリー
  6. Automatic Punk
  7. ベルエポックマン
  8. Trash
ザ・クロマニヨンズ ライブアルバム「ザ・クロマニヨンズ ツアー 2013 イエティ 対 クロマニヨン」/ 2013年12月25日発売 / アリオラジャパン
「ザ・クロマニヨンズ ツアー 2013 イエティ 対 クロマニヨン」
初回限定仕様盤[CD] 3059円 / BVCL-568
完全生産限定アナログ盤[アナログ2枚組] 4200円 / BVJL-7/8
収録曲
  1. Opening(イエティ 対 クロマニヨン 愛のテーマ)
  2. 突撃ロック
  3. 黄金時代
  4. 人間マッハ
  5. 涙の俺1号
  6. チェリーとラバーソール
  7. 欲望ジャック
  8. ゴー ゲバ ゴー
  9. 他には何も
  10. 団地の子供
  11. ホッテンダー
  12. 恋に落ちたら
  13. とがってる
  14. 日本の夏ロックンロール
  15. ヘッドバンガー
  16. グリセリン・クイーン
  17. 底なしブルー
  18. 鉄カブト
  19. エイトビート
  20. 紙飛行機
  21. 燃えあがる情熱
  22. 南から来たジョニー
  23. 雷雨決行
  24. ナンバーワン野郎!
  • 初回限定仕様:紙ジャケット仕様
  • 完全生産限定アナログ盤 24ページ写真集付き
ドレスコーズ
ドレスコーズ

志磨遼平(Vo)、丸山康太(G)、菅大智(Dr)、山中治雄(B)による4人組ロックバンド。2012年1月1日に山中を除く3名で初ライブを実施。同年2月に山中が加入し、現在の編成となる。6月には大阪、名古屋、横須賀で「Before The Beginning」と題したツアーを突如開催。7月に1stシングル「Trash」をリリースし、タイトル曲は映画「苦役列車」主題歌に採用され話題を集めた。12月に1stフルアルバム「the dresscodes」を発売し、2013年3月には本作を携えた全11公演の全国ツアー「the dresscodes TOUR」を成功に収める。同年8月、フジテレビ系アニメ「トリコ」のエンディングテーマに採用された「トートロジー」を2ndシングルとしてリリース。11月6日には2ndフルアルバム「バンド・デシネ」を発表する。

ザ・クロマニヨンズ

1980年代からTHE BLUE HEARTSとTHE HIGH-LOWSで活動をともにしてきた甲本ヒロト(Vo)と真島昌利(G)を中心に、2006年夏より始動。甲本と真島に小林勝(B)と桐田勝治(Dr)を加えた4人組で、2006年9月にデビューシングル「タリホー」を発表する。その後もリリースを重ねながら年間を通してコンスタントにツアーを敢行。数々の夏フェスにも出演し、ロックファンを熱狂させ続けている。2013年2月には通算7枚目となるアルバム「YETI vs CROMAGNON」をリリース。本作を携えた全国ツアーの模様を収録したライブアルバム「ザ・クロマニヨンズ ツアー 2013 イエティ 対 クロマニヨン」を12月25日に発売する。