DOPING PANDA「Doping Panda」インタビュー|10年の時を経て、再び集った3人が向かう新しい未来 (3/3)

アルバムは“DOPING PANDA”にしようと思っていました

──3人が離れて制作する時間も多かったけれど、10年前までの蓄積があったからこそ、DOPING PANDAらしい作品になったのかなって。かつ、ここ10年の各々の蓄積が、DOPING PANDAそのものを進化に導いたという。それが歌詞や曲ににじみ出ていますよね。

Furukawa Hayatoのドラムにも、タロティのベースにも、全部に出ていると思いますけど、歌詞には一番わかりやすく出ていますよね。「Imagine」のミュージックビデオを先行公開して、SNSのコメントでいちばんうれしかったのは、「ドーパンのまんま進化している」みたいな内容のもので。再結成はそうあるべきだし、なかなかそういう再結成は多くないけれど、僕らはできたんだなとこの1曲だけでも思えました。

──DOPING PANDAは、ハイブリッドとか、ダンサブルとか、世界基準とか、時期によって常になんらかのテーマに向かっていた印象がありますが、今回のアルバムにはそういったものはありましたか?

Furukawa それで言うと、今回のアルバムは“DOPING PANDA”にしようと思っていました。

──おお。

Furukawa 勝手になってはいくんですけど。あと、今回のアルバムは、あれとあれを足して2で割るとかじゃなく、今までのすべての要素が入っている気がして。たとえば「BS」には「Performation」(2001年7月発売の1stアルバム)とか、インディー時代のサウンドが入っている気がするし。最後の「Hello」には「decadence」(2009年6月発売のアルバム)の要素が入っている気がする。「Imagine」は「YELLOW FUNK」(2011年4月発売のアルバム)的に感じるし、「WE IN MUSIC」(2004年5月発売のアルバム)な要素を感じる曲もある。それで言うと、「Silhouette」はどこにも当てはまらないと思ったので、また1つ違うところが出たのかもしれないけれど。そこが、さっきおっしゃっていただいた、名刺代わりになるというところにもつながっているのかもしれないですね。

──ちなみにHayatoさんからは10年前とは心境が違うという話が出てきましたけど、Furukawaさんもそういうところはありますか?

Furukawa まず、ソロ・フルカワユタカという存在がありますからね。当時は1人でやるのは違うと思っていたし、弾き語りとかも断ってました。下手くそでもあったし。解散して1人になって、いいことも悪いこともいっぱいありましたけど、再結成するとなると、その10年に対する責任もあると思っているので。その時期に支えてくれた仲間やスタッフもいるし、中途半端なことはできないなって。Hayatoにもタロティにも、この10年で出会った人たちに対するいろいろがあると思いますけど。そこが全然違いますよね。その前の、なんとなくタロティと学校の先輩と始めたバンドにHayatoが入ってくれて、CDが出て、っていうときとは全然違う、でかすぎる10年があって。そして、でかすぎるDOPING PANDAがあって。一番違うのはそこじゃないですかね。

レコーディング中の様子。

レコーディング中の様子。

この先にも未来があったらいいな

──今回の発表に対する各方面からのリアクションがすごく大きくて、本当に愛されているバンドなんだなと改めて感じたんですが、皆さんはどう受け止めていらっしゃいますか?

Taro うれしかったですね。SNSを見ていてもジーンとくるような。

Furukawa 嘘つけ!(笑) そんな人じゃないでしょ?

Hayato ははははは! いや、もしかしたらジーンとくるような人に、この10年でなったのかもよ?

Furukawa そうなの? 泣いているところとか見たことないよ、あなたが。

Taro (笑)。

──最後に、再結成を発表したときのFurukawaさんのコメントに「これから向かうのはあの時失った未来とは違う場所」とあって、つまり今、DOPING PANDAの未来について見えているもの、見たいものがあるのかなと思ったんですけど……。

Furukawa (首を横に振る)

──違う、と(笑)。

Furukawa ないですよ。この先は未知数ですし、ツアーの先の話は3人でもまだ始めていないですし。ただ、10年前に、世界標準で行くんだ、本物になるんだって、全員が全員ドーパンのためだけにやっていたときに目指していた未来が正しいか間違っているかは別として、あそこには絶対に行かないです。それとは違うんだけど、っていうことですよね。まあ、そこに行っているドーパンも見たいですけどね、パラレルワールドがあるんだったら。どんな音を鳴らしているか聴いてみたいけど、たぶん3人の仲はすげえ悪いだろうし。

TaroHayato (笑)。

Furukawa いろいろ犠牲にしないと、すごいものは作れなかったりするので。でも、僕らにはその代わりの10年があって。こうやって集まったドーパンが、いい音源を作れたのであったら、この先にも未来があったらいいなって思います。

──まずは4月からのツアーですよね。DOPING PANDAのライブというと、ダンスタイムとか、おなじみのいろいろがあるのかもしれないですけど、このアルバムを引っさげて行うとなると、以前の再現だけには留まらないアップデートも期待できますよね。

Furukawa またー、そういうことを言う! 案外、ライブは昔のものをやるかもしれないから、ハードルを上げないで(笑)。でも、新曲をゆっくり聴いてもらって、新しいDOPING PANDAを見せるのは、もうちょっとあとでもいいのかなと。なんて言うのかな、みんなで懐かしむ実感が1回あってもいいんじゃないかなって。みんな聴きたい曲がいっぱいあると思うし、見たい景色もあると思うし。今回は、それをやるのが最優先ですね。

DOPING PANDA

DOPING PANDA

ツアー情報

∞ THE REUNION TOUR

  • 2022年4月23日(土)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
  • 2022年5月7日(土)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2022年5月8日(日)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2022年5月22日(日)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)

プロフィール

DOPING PANDA(ドーピングパンダ)

Yutaka Furukawa(Vo, G)、Taro Houjou(B, Cho)、Hayato Beat(Dr, Cho)からなる3ピースバンド。1997年の結成当初は主にパンク / メロコアシーン界隈で活動していたが、ダンスミュージックの要素を大胆に取り入れ、エレクトロとロックのハイブリッドな融合を担う存在に。インディーズでのブレイクを受けて、2005年にミニアルバム「High Fidelity」でメジャーデビュー。時代の空気を反映させたサウンドとエンタテインメント性抜群のライブパフォーマンスで、幅広いリスナーから支持を得る。2012年4月に東京・TOKYO DOME CITY HALLで行ったワンマンライブ「DOPING PANDA 2012/4/19」をもって惜しまれつつ解散した。2018年に東京・新木場STUDIO COASTで行われたフルカワユタカのアニバーサリーイベント「フルカワユタカ presents『5×20』」にTaro、Hayatoがシークレットゲストとして登場し、一夜限りの復活を果たす。そして2022年1月に再結成を発表し、3月2日にオリジナルアルバム「Doping Panda」をリリースした。4月より東名阪ツアー「∞ THE REUNION TOUR」を開催する。