Dizzy Sunfistの楽曲「Diamonds Shine」がエンディングテーマのテレビアニメ「EX-ARMエクスアーム」が、1月10日(日)深夜よりTOKYO MX、サンテレビ、BSフジ、Amazon Prime Videoで順次放送および配信される。
「Diamonds Shine」は昨年7月に通販およびライブ会場限定でリリースされたディジーの新作音源「EPISODE II」の収録曲で、バンドにとって初のテレビアニメとのタイアップ曲。「EPISODE II」はあやぺた(Vo, G)の結婚、出産を経てリリースされた、Dizzy Sunfist“第2章”の開幕を告げる1枚と位置付けられており、アニメの放送および配信開始日に合わせて1月10日に配信リリースされる。
音楽ナタリーでは「EPISODE II」の配信リリースを記念してDizzy Sunfistにインタビュー。3人に「Diamonds Shine」の制作エピソードやバンドの“第1章”、“第2章”への思い、あやぺたの結婚と出産について語ってもらった。
取材・文 / 小林千絵 撮影 / 伊藤元気
アニメとの化学反応が楽しみ
──「Diamonds Shine」はDizzy Sunfistにとって初のアニメタイアップですね。
あやぺた(Vo, G) はい。自分たちの曲が普段とは違う形で聴いてもらえるのがうれしいです。
moAi(Dr, Cho) 正直、3人ともアニメにすごく詳しいというわけでもないので、話を聞いたときは驚きましたが、うれしかったです。
いやま(B, Cho) 「Diamonds Shine」が「EX-ARMエクスアーム」とどんな化学反応を起こすのか楽しみですね。
──アニメの映像などはもうご覧になりましたか?
あやぺた 自分たちの曲が使われている映像はまだですが、AIRFLIPのオープニングテーマが使われているプロモーションビデオは観ました。普段あまりアニメを観ないので「アニメってこんな進化したんや」って思いました。
moAi いつから止まってんの!?(笑)
あやぺた (笑)。でもうちらのことももちろんですけど、メロディックパンクを普段聴かない人にも聴いてもらえるチャンスだと思うので、少しでも何かが広がるキッカケになればいいなと思います。
──それこそ「Diamonds Shine」は、すごくキャッチーで間口の広い楽曲ですよね。
あやぺた はい。メロディからできた曲なんですけど、いまだにどこがAメロで、どこがサビかわからなくなるくらい、全編通して強いメロディやなと思います。この曲はライブ会場でリリースしたCD「EPISODE II」に収録されていて、ライブに来て初めて聴いた人もいると思うんですけど、初めて聴いた人もすぐノッてくれている印象があるので、アニメを観ている人の印象にも残ればいいなと思います。
いやま 「EPISODE II」の曲の中で、デモ音源を聞かせてもらって最初に「いいね」と言ったのがこの曲でした。あやぺたの得意な明るい曲で率直にいいなと思ったし、ビートの感じもいろんな人に受け入れてもらえそうやなと思いました。
moAi いつも僕らはあやぺたが持ってきた鼻歌をもとに曲を作っていくんですが、この曲は完成まですごくスムーズでした。鼻歌を聴いた時点で全体的な構成がバババッと浮かんで。そういう曲ってだいたい自分たちでもすごくしっくりくる、「いいね」って思える曲になることが多いんですけど、この曲もそうでした。
──歌詞はどのようなイメージで書いたんですか?
あやぺた 星がダイヤモンドに見えるくらいきれいな心になれたときの歌というか……とりあえずブチ上げ前向きな歌詞。スーパー前向きな歌詞です!
──メロディが美しいから、引っ張られるように明るい歌詞になった?
あやぺた そうですね。でも、うちは基本的にみんなの前で前向きなことを歌いたいので。もちろん暗いことを歌うよさもあると思います。でもうちはそういうのを聴いて、暗い気持ちが伝染しちゃうタイプなんです。あと自分ではそういうのが似合わへんとも思っていて。やから、うちらは明るいことを明るく歌っていけたらと思っています。
子供にもいつかライブを見せたい
──Dizzy Sunfistはあやぺたさんの妊娠・出産に伴い、2019年夏からライブ活動を休止しました。今年の4月に再開予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、その後もなかなかライブが再開できないという状況が続きましたね。約1年間、表立った活動を休止していたことになりますが、この休止期間はどのようなことを考えて過ごしていましたか?
いやま シンプルなことですけど、「待ってます」と言ってくれる人がいること、実際にライブを再開させたら会いに来てくれる人がいることのありがたみを感じました。お客さんがいつもライブを観に来てくれることは当たり前のことじゃないんだなって。コロナ禍でさらに実感しました。
──今もまだ、ライブの開催が不確定な日々が続いていますしね。
いやま 10月からツアー(「Dizzy Sunfist『EPISODE II』 ONEMAN TOUR -Go To New World-」)を始めたんですけど、お客さんの立ち位置が決まっていたり、声を出しちゃいけなかったり、いろいろ制約があって。でもお客さんが「こんな状況の中でもツアーをやってくれてありがとうございます」とか「僕たちもライブ観たいからお互い気を付けましょう」と言ってくれるんですよね。その言葉や気持ちが胸に沁みますね。ありがたいです。
──ちなみに、コロナ禍になる前のライブ活動休止期間はどうやって過ごしていたんですか?
いやま 私たちはずっと走り続けていてまとまった休みがなかったので、せっかくなので今までできなかったことをしようと思って、海外旅行に行きました。海外ではミュージカルとかショーを観て。舞台上のエネルギーもすごかったですが、驚いたのはお客さんのエネルギー。ライブ再開に向けてすごく刺激になりました。
moAi 僕はほかのバンドのライブサポートやレコーディングなど、ドラマーとしてのお仕事をしていたこともあって、あまり大きな変化はそこまでなかったですね。Dizzy Sunfistも再開後に音源を出すことは決まっていたので、そのことも頭にあったし、考えていることは今までとあんまり変わらなかったです。ただ、それは自分たちが復活する日が決まっていて、安心感があったから。コロナの影響で開催予定だったライブができなくなって、復活の目処が立たなくなって。そうなってからは、いやまが言ってたように、ライブハウスに行ってライブをしてという、どこか流れ作業的になっていたものを、1つひとつを大切に思うようになりましたね。
──妊娠、出産を経たあやぺたさんは、生活も含めて変わったことだらけだとは思いますが、バンド活動においてはどんな変化がありましたか?
あやぺた 大きく変わったのは時間の使い方。例えば今までやったらいつでもギターを弾けたけど、今やと子供が寝てからしか弾けない。そういう意味で、ルーン……ティーン?
moAi ルーティーン!(笑)
あやぺた ルーティーン化! されるようになりました(笑)。あと、みんなには変わってないって思われるかもしれないけど、慌てない心が身に付いたかなとは思ってます。「どっしりしなアカンな」っていう気持ちになりました。いろいろな面で責任感を意識することが増えたからかな。
──バンドや音楽に対する気持ちに変化はありますか?
あやぺた 続ける理由がまた1つ増えたって感じですかね。子供にもいつかライブを見せたいし。
──いやまさん、moAiさんはあやぺたさんの変化、何か感じますか?
いやま いい意味で変わってない気がします。
moAi バンド活動に関しては、“子供がいる感”がまったくないんですよ。もちろん活動するうえで時間に制限があったり、「早く帰らせてあげたい」と思ったりはしますけど……スタジオに入っているときとか、作業をしているときには、周りに気にさせないというか。
いやま うんうん。練習しているときも、今までと何も変わらないですね。
──曲作りをするうえでの変化はありますか? 歌いたいことが変わったり。
あやぺた さっき言った通り、明るいことを歌っていたいというのはずっと変わらないし……作る曲に関しては何も変わってないと思います。ただ最近、子供向けの歌ばっかり聴いてるから、これからはちょっとキャッチーになっちゃうかもしれない(笑)。
──確かにインプットは大きく変化しそうですよね。子供向けの曲を聴いていて、気付くことはありますか?
あやぺた めっちゃいい曲が多いです。これまでは全然聴いてこなかった音楽なんですけど、「NHK みんなのうた」の曲で、スカの曲があったり、有名な人が作ってる曲があったりして、勉強になります。
いやま 「この曲ヤバい!」って薦められたりするんですよ。
──先ほどあやぺたさんが「どっしりしなアカンな」と思うようになったとおっしゃっていましたが、ツアーの初日公演を拝見させてもらったとき、どっしりしてるなと感じました。
あやぺた ほんまですか!? でもそれは子供が産まれたからというよりも、コロナ禍でのライブやからな気もします。こんな状況、みんな初めてじゃないですか。だから「みんなでがんばっていこう」という気持ちがすごくあって。ここでくじけちゃったらすべてが終わっちゃう気がするんで、お互いくじけないようにがんばっていこうというメッセージを持ってやっているんですよね。
いやま その気持ちは3人ともたぶん持っていると思います。4月に予定していたライブがなくなり、その後のスケジュールも次々となくなり、「いつできるんや」と思ってたので、今ライブができていることが本当にうれしくて。そういう意味で今までとはまた違う気持ちでライブに挑んでいる気はしますね。
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とにかく走り抜けてきた10年