「A.I.M.$」(エイムズ)蔦谷好位置×SKY-HI対談|豪華アーティスト書き下ろしのキャラクターソングで盛り上がれ!5分で遊べる“現金強奪バトル”

スマートフォン向け新作対戦ゲーム「A.I.M.$ -All you need Is Money-」(以下、エイムズ)は、悪徳企業が支配する「極天シティ」を舞台に、ギャングたちが制限時間内に一番多くの現金を強奪することを目指して戦うゲーム。音楽監修を音楽プロデューサーの蔦谷好位置が担当し、主題歌「All You Need」を手がけたMAN WITH A MISSIONのほか、SKY-HI、Creepy Nuts、ROTTENGRAFFTY、Fear, and Loathing in Las Vegas、BAD HOP、ポルカドットスティングレイ、渡辺直美、Dizzy Sunfist、Vaundyという豪華なアーティストが参加していることも話題を集めている。

音楽ナタリーでは蔦谷と、“炎を操るナルシスト消防士”マーベラス・ホット(CV:中村悠一)のキャラクターソング「Mr.Psycho」を手がけたSKY-HIの対談をセッティング。ゲームの面白さはもちろん、音楽ファンからも注目されている「エイムズ」の魅力について語ってもらった。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 星野耕作

「これはSKY-HIだな」とすぐに決めました

──“5分で遊べる現金強奪バトル”をテーマにした「エイムズ」は、豪華なアーティストたちによる楽曲も大きな魅力です。

左からSKY-HI、蔦谷好位置。

蔦谷好位置 51人のキャラクターがいて、アーティストがそれぞれの曲を作るというコンセプトがまず面白いですよね。僕自身もゲームが好きで、FPS(ファーストパーソンシューティングゲーム / 主人公とプレイヤーが同じ視点で操作するタイプのシューティング・ゲーム)もよくやるんですけど、「エイムズ」はまたタイプが違って。プレイ時間が5分で、スピード感もすごくあるので、音楽と親和性が高いんですよ。キャラクターとアーティストの組み合わせはスタッフと話し合いながら進めたんですが、マーベラス・ホットに関しては、「これはSKY-HIだな」とすぐに決めました。ナルシスティックなキャラだし、SKY-HIにピッタリだなと(笑)。

SKY-HI 蔦谷さんから連絡をもらって、ちょっと説明を聞いた段階で「なるほど、そういうことですね」と納得しました(笑)。これまでにもゲームやアニメの主題歌を担当したことはあったけど、キャラクターのテーマソングを作らせてもらったのは初めてで。作品全体ではなく、キャラクターの主観を入れて書けるので、やりやすかったですね。しかもマーベラス・ホットは、ほぼ自分みたいなキャラだし(笑)。

蔦谷 どっちも腹筋バキバキだしね(笑)。曲の制作については、もちろんキャラクターの説明をして、こちらからも曲のイメージを伝えたんですが、基本的には自由に作ってもらいました。それぞれのアーティストのライブでもやってほしいし、キャラクターに寄せすぎず、アーティストが感じるままに作ってほしかったので。実際、どの曲も個性が際立っているし、いい結果を生んでいると思います。SKY-HIの「Mr.Psycho」もめちゃくちゃカッコいいしね。

SKY-HI

SKY-HI うれしいです。ホットの妖しさ、激しさがビートからも感じられるような曲にしたくて。イントロは炎が見えるようなイメージですね。ギターのフレーズを逆再生させてるんですけど。

蔦谷 いいよね、あのイントロ。「燃やせ」というフレーズも出てくるけど、すべて“炎”で押してないところもいいと思う。SKY-HIの美学もちゃんと出ているし、こちらからは何も言うことなく、一発OKでした。

SKY-HI サビが(歌がない)ダンスフックだから、「もっと歌ってください」って言われるかと思ったけど、何も言われませんでしたね(笑)。マーベラス・ホットのPVも曲と映像がバッチリ合ってて。もちろんキャラクターの雰囲気を意識しながら作ったんだけど、視覚的な要素が加わったことで「よし!」という達成感がありました。映像のクオリティも高いですからね、「エイムズ」は。

蔦谷 映像とのマッチングもすごくいいし、ユーザーの皆さんも「Mr.Psycho」を聴くと「ホットだ!」と思うんじゃないかな。ほかのアーティストの曲もいい曲がそろっていて、僕もゲームやってて楽しいです。

渡辺直美の表情にデスチャが浮かぶ

──“冷徹で狡猾な市長”マジェスティック・ローズのキャラクターソング「Venus」は蔦谷さんのプロデュースで、ボーカルはなんと渡辺直美さんです。

SKY-HI いい曲ですよね。CMに登場する渡辺さんの表情にもデスチャ(Destiny's Child)が浮かびます。

蔦谷 ビヨンセのイメージもあったからね。ラップのパートはチャイルディッシュ・ガンビーノのイメージだったり、いろいろな要素を組み合わせていて。もちろんローズのキャラも強く出てるし、作詞家と細かく打ち合わせしながら作る作業も楽しかったです。渡辺さんのボーカルも素晴らしかったですね。彼女は歌のプロではないし、ラップもほぼやったことがなくて。最初は「まさかラップから始まるとは思いませんでした」って言ってたんだけど、こちらから「こういう感じで歌ってみてください」とディレクションさせてもらうと、すぐにできるんですよ。「ここは上から見下す感じで」みたいな注文にもバッチリ応えてくれたし、勘のよさ、タレントとしての身体能力がすごくよくて。リズム感もすごいし、ご一緒できてうれしかったです。

蔦谷好位置

SKY-HI 本当にいい曲だし、“ローズのキャラクターソングを直美さんが歌う”ということの正解を突き付けられた感じがありました。キャラに当て書きするのって、どうでした?

蔦谷 すごく楽しかった。オペラにもキャラクターに合わせた歌があって。ワーグナーが始めたライトモチーフという手法なんだけど、キャラクターソングもそれに近いんだよね。以前からやってみたかったし、制作も本当に充実していました。物語やゲームのキャラクターと音楽の親和性の高さを改めて感じましたね。

「フリースタイルダンジョン」くらいでしか見られない

──それにしても、素晴らしいアーティストがそろいましたよね。SKY-HIさん、BAD HOP、Creepy Nutsとヒップホップ勢が多いのもアツいなと。

蔦谷 その3組がそろうのは、「エイムズ」以外だと「フリースタイルダンジョン」くらいですからね。

SKY-HI 確かに(笑)。

SKY-HI

蔦谷 アーティストだけじゃなくて、声優陣(戸松遥、小西克幸、悠木碧、柿原徹也、水樹奈々、木村昴、花守ゆみり、朴璐美、若本規夫、中村悠一、大塚芳忠)もすごいじゃないですか。「エイムズ」でゲーム、アニメ、音楽をつなげたいという気持ちもあるんですよね、個人的には。

SKY-HI なるほど。いろんなカルチャーが融合しているというか。

蔦谷 音楽、声優の日本代表が集まってるからね。そういう場所を作れるゲームだと思うし、制作にも気合いが入りました。トラヴィス・スコットや米津玄師が出演した「フォートナイト」のバーチャルコンサートみたいに、「エイムズ」の中でイベントを開催できる可能性もあると思うんですよ。

SKY-HI 僕がゲーム内のステージで歌っていて、倒せばお金がもらえるとかね(笑)。

蔦谷 いいね(笑)。


2021年1月18日更新