デジナタ連載 高橋幸宏×水原佑果|世界中のDJに愛されるターンテーブルの最新形

表現豊かなプレイを実現

──5月24日にTechnicsからDJターンテーブルの新製品「SL-1200MK7」が発売されます。DJ文化を黎明期から支え続けてきたダイレクトドライブターンテーブルSL-1200MKシリーズの約8年ぶりの新作です。触ってみていかがでしたか?

水原佑果

水原 自分のタイミングに合わせて、ターンテーブルのスピードを細かく調整できて。そのうえ78回転再生や逆回転再生にも対応しているし、DJとして表現の幅が広がりそう。

高橋 速い回転数から、いきなり(原曲のテンポに)戻すのもよさそうだよね。

水原 ダイナミックな表現ができそうです。逆回転で聴くとどういう音が生まれるのか、すごく興味がありますね。

高橋 THE BEATNIKSの新作(「EXITENTIALIST A XIE XIE」)の1曲目(「Crepuscular Rays」)は、2人(高橋と鈴木慶一)で話している日本語を逆回転させて作っていて。このターンテーブルで逆回転すれば、何を言ってるかわかると思うよ。

水原 それはぜひやってみたいです(笑)。

高橋 けっこう青くさいこと言ってるから、DJのときはやめたほうがいいかも(笑)。

──AC入力とPHONO端子のケーブルが着脱できるようになっているので、ケーブルを変えることで音色に変化を付けてオリジナリティを出すという楽しみ方もできます。

水原 面白い! 8年を経て、さらに進化しているんですね。

高橋 基本的な質問なんですけど、ターンテーブルの回転数の精度も進歩しているんですか?

──そうですね。モーターで直接ターンテーブルを回すダイレクトドライブ自体も改良されていますし、デジタル制御によって、ワウフラッターによる揺らぎも軽減されています。よりスムーズにレコードを聴けるようになっていますね。

高橋 なるほど。僕が20代の頃は、同じ機種のターンテーブルでも、回転のムラがあったんですよね。デザインもシンプルだし、使い勝手もいいから、ぜひ1台欲しい。

水原 私もできれば2台ゲットして家で練習したいです!

高橋 スピーカーやアンプとの相性もあるだろうけど、音もいいよね。今は“ドンシャリ”じゃなくて、中低域の音が重要なんだけど、その流れにも対応できてるんじゃないかな。

水原 針によって音質も変わりますし、レコードってホントに奥が深いです!

長く愛される、世界の定番商品

高橋 SL-1200MKシリーズ自体に歴史があるというのもいいよね。

──最初の発売は1972年ですからね。シリーズ累計の販売台数は350万台。新製品の中身は進化していますが、実は操作性に関してはSL-1200MKシリーズがDJシーンにおいて定番商品であるからこそあまり変えてほしくないという意見が国内外からとても多く、基本的には変わっていないんです。

高橋 このシリーズは使いやすいから。

水原 それほど定番として世界に浸透しているということですよね。

──頑丈にできているので壊れにくく、2、30年前の商品をいまだに使っている方も多いんです。

水原 すごい! 安心して長く楽しめるんですね。

──「SL-1200MK7」はクラブで使われることも想定しているので、揺れにも強い構造になっているんですよ。

高橋 それは重要ですよね。巨大なスピーカーのそばでプレイしていると、どうしても揺れることがあるから。

水原 私も困ったことがありますね。全国のクラブにぜひ早く「SL-1200MK7」を置いてほしいな。

高橋 「あれがないと私やんないから!」って(笑)。

水原 ははは(笑)。

──DJユースとしてだけではなく、リスニング用としても使えますよね。

高橋 うん。これは買ってもらうしかないよね。さっきも言ったように、レコードは買ったらともかく聴いてほしいから。

水原 レコードを買って部屋に飾っているだけではもったいないですよね。「SL-1200MK7」だったら間違いないし、最初にクオリティの高いターンテーブルを買うのもいいですよね。発売がめっちゃ楽しみです!

左から高橋幸宏、水原佑果。

Technics「SL-1200MK7」

Technics「SL-1200MK7」

長年DJに支持され続けてきたSL-1200MKシリーズの約8年ぶりの新商品。高度なデジタルモーター制御技術によってブレーキスピードの4段階調整機能が搭載されており、ユーザーそれぞれのベストなスタート / ストップのタイミングに微調整することができる。逆回転再生や78回転再生、±16%のピッチ調整にも対応しており、バリエーション豊かなDJプレイが可能となった。DJターンテーブルの核となるダイレクトドライブモーターは、SL-1200GRに使用されていたものをベースにチューニング。ダイレクトドライブ方式の音質的な弱点であったコギングが解消され、より安定した高音質なサウンドが楽しめる。またAC入力とPHONO端子のケーブルが着脱可能になったのもこれまでのSL-1200MKシリーズとは異なるポイントで、DJ現場での持ち運び、セッティングがグッと便利になった。シャーシやアームなどの各パーツをアップデートしながらも、外観寸法やボタン配置などは従来通り。最新の技術を惜しみなく投入し、伝統と進化を見事に同居させた1台だ。

RECORD STORE DAY JAPAN 2019

RECORD STORE DAY JAPAN

毎年4月の第3土曜日に世界で同時開催されるアナログレコードの祭典。2008年にアメリカでスタートし、現在世界23カ国で数百を数えるレコードショップが参加を表明している。日本での運営は東洋化成が担当。レコードショップでは数多くのアーティストのアナログレコードの限定盤やグッズなどを販売。世界各地でさまざまなイベントも行われ、毎年大きな盛り上がりを見せている。