デジナタ連載 Technics×「レコードの日」特集|THE BAWDIES ROY&TAXMAN|ビギナーにこそ教えたい、愛すべきアナログレコードの世界

PART 5スマホでは聴けない音の面白さ

──ターンテーブルの操作方法をレクチャーいただきながら、お気に入りのレコードをお二人に聴いてもらいました。改めてレコードの音の魅力はどんなところにあると思いますか?

左からTAXMAN、ROY(THE BAWDIES)。

ROY 単純に、CDだとレコーディングした音源をデータ化するときにカットしないといけない音域があるから、そういう制約がないレコードのほうが音がいいという部分もあるんですけど、CDや配信だけではなくレコードをリリースしているアーティストって、僕らみたいに基本的にレコードの音が大好きな人たちばかりなわけですよ。ということは、そのアーティスト本人たちが好きな音、伝えたい音はレコードで聴くと一番よくわかると言って間違いないと思いますね。あとは、僕らのように50年代から70年代前半くらいまでの音楽が好きな人にとっては、レコードって当時のバンドやリスナーが実際に耳にしていた音を追体験できる最高の手段だと思うんですよね。当時はCDがまだなくて、レコードが主流の音楽メディアだったわけですから。僕の場合はさらにさかのぼっていって、本人たちがレコーディングした環境に近いオリジナル盤であったり、マトリックスナンバーが“1”の盤を聴きたいという欲求がどんどん湧いてきましたし。

TAXMAN やっぱり音の深みはレコードならではものがありますよね。自分がレコードを聴き始めた頃はそんなにお金もなかったし、高級なスピーカーを持ってるわけでもなかったし、レコード針も一番安いものを買ってましたけど、レコードを聴く一番の醍醐味は、何よりもジャケットからレコードを出してターンテーブルに針を置くという、あの手間だと思うんですよね。今は音楽サブスクリプションサービスも充実してるからスマホでも聴きたい曲をすぐに聴ける時代になりましたけど、レコードは聴くまでに手間がかかるから、余計に音楽に対して愛着が湧く。それがレコードの一番の魅力だと僕は思います。

──Technicsの「SL-1200MK7」は使ってみていかがでしたか?

TAXMAN(THE BAWDIES)

ROY 僕らは2人とも自宅でTechnicsのターンテーブルを使ってるんですけど、やっぱりとにかく使いやすいですよね。レコード屋さんで試聴するときもよく置かれているのがTechnicsのターンテーブルですし、使用感が変わらないという意味でも安心する。Technicsのターンテーブルは、レコードの初心者から愛好家まで、本当に幅広い人たちに愛されてるところが大きなポイントだと思います。あとは、イベントでDJをするときもTechnicsの「SL-1200MK」シリーズが置かれてることが多いです。この最新機種の「SL-1200MK7」は電源ケーブルが着脱可能というところもすごく便利ですよね。スイッチ1つで78回転に切り替えられて、SP盤が聴けるのも魅力的だなと思います。

TAXMAN これくらいシンプルに使えるターンテーブルは、レコード初心者にも最適だと思いますね。

PART 6ビギナーへのメッセージ〜音楽をもっと楽しむために

──では最後に、レコード初心者の方々に向けて、改めてお二人から一層レコードを楽しむためのアドバイスをお願いします。

ROY(THE BAWDIES)

ROY とにかくまずは気軽にレコード屋さんに行ってみてほしいです。レコード好きしかレコード屋に行ってはいけないというルールはないので、コンビニに行くような感覚で行って、気になるものがあったらぜひ試聴してほしい。試聴するのに店員さんに声をかけるのはハードルが高いかもしれないですけど、一度声をかけて試聴しちゃえば、その場所が自分の場所になるので。店員さんも若い人がレコードに興味を持ってくれるのはすごくうれしいことだと思ってるはずですし、僕がそうだったように「こういう音楽が好きなんですけど、何かオススメはありますか?」ってどんどん質問していいと思います。もちろん、ジャケットが気になったものを試聴するのもありです。それと、もともと自分が好きな曲やアルバムのレコード盤を探してみるのもいいですね。

TAXMAN そうだね。現行の海外アーティストはレコードをリリースしている人がかなり多いからね。同じ作品のCDを持っていたとしても、レコードならではの音でまたその作品を味わえると思うし。ROYの言うように、まずは好きな曲のレコードを探してみるのもいいんじゃないかな。

ROY 今はワンクリックで音楽を手に入れることも削除することもできる時代。でもレコードみたいに、自分でお店に足を運んで、そこで見つけて家に帰って針を落として聴いたものって、絶対に簡単には捨てられないんですよ。それくらい同じ音楽でも愛し方や接し方が変わってくる。だからこそ、何度も言いますけど、レコードをリリースしているアーティストの作品はぜひレコードで聴いて、そのアーティストが伝えたい音を直に感じてもらいたいです。

左からTAXMAN、ROY(THE BAWDIES)。

Technics「SL-1200MK7」

Technics「SL-1200MK7」

世界中のDJがプレイする現場で使われ続ける「SL-1200MK」シリーズの最新機種。ダイレクトドライブモーターやプラッター、シャーシなどすべてを一新しながら、トーンアームや各種操作スイッチなどの配置は「SL-1200MK」シリーズのレイアウトをそのまま踏襲し、これまでと変わらない操作性を実現している。

レコードの日

レコードの日

アナログレコードの魅力を伝えることを目的として2015年より毎年11月3日に開催されているアナログレコードの祭典。東洋化成が主催、Technicsが協賛している。イベント当日は全国各地のレコード店でさまざまなイベントが行われるほか、この日のために用意された豊富なラインナップのアナログ作品が販売される。