THE BAWDIES×OKAMOTO'Sスプリットツアー特集|ROY、TAXMAN、ショウ、コウキが同窓生トーク

THE BAWDIESとOKAMOTO'Sによるスプリットツアー「THE BAWDIES × OKAMOTO'S SPLIT TOUR 2023『ON STAGE』」が6月25日に開幕する。

同じ学校の先輩と後輩であり、デビュー時期も近いなど共通項の多い2組だが、対バンツアーを行うのはこれが初となる。ツアーを目前に控える中、音楽ナタリーではTHE BAWDIESのROY(Vo, B)とTAXMAN(G, Vo)、OKAMOTO'Sのオカモトショウ(Vo)とオカモトコウキ(G)による対談を企画。15年来の付き合いという4人は、出会った当初お互いのことをどう思っていたのか? また、お互いが敵わないと思っていることは? さまざまなことを語り合ってもらった。

取材・文 / 西廣智一

あまり感じない年齢差

──THE BAWDIESとOKAMOTO'Sは同じ中学、高校出身ですが、7歳離れているんですよね。

ROY(Vo, B / THE BAWDIES) そうですね。幼稚園からの一貫校なんですけど、僕とJIMとMARCYは小学校から一緒で、僕らが小6のときにハマ(・オカモト)が幼稚園にいたのかな。

オカモトショウ(Vo / OKAMOTO'S) 「I BEG YOU」(2007年発売のTHE BAWDIESのシングル)が出たときに「なんか学校の先輩らしいよ」という話になってTHE BAWDIESのことを認識したんですけど、実はTHE BAWDIESとOKAMOTO'Sのデビュー自体は1年くらいしか変わらないんですよ(※THE BAWDIESは2009年、OKAMOTO'Sは2010年にデビュー)。

オカモトコウキ(G / OKAMOTO'S) だから、7歳の差という感覚はそこまでなくて。

ショウ あとあと現場で会ったときに学校の先生の話とか、共通の話題をするようになって。そこからですよね。

THE BAWDIES

THE BAWDIES

OKAMOTO'S

OKAMOTO'S

ROY 僕らの場合は……初期に町田のリハスタに入っていた頃、当時は僕以外の人間がベースを弾いていたんですけど、そいつが仲よくしていたのがハマで。

TAXMAN(G, Vo / THE BAWDIES) そうそう。そいつが別でやってるEdBUSというバンドにハマがベースで参加していて。

ROY だから、ハマとだけは先にスタジオでよく顔を合わせていたんです。

TAXMAN OKAMOTO'Sとはのちにライブハウスでよく一緒になるんですけど、すでに界隈で有名だったよね。

ROY それも新宿red clothじゃない? red cloth経由で「若くていいバンドがいる」って聞いたような記憶が。

コウキ 俺らが初めてred clothに出たのが高2だったんですけど、そのときはTHE BAWDIESとTHE PRIVATESのツーマンライブで。そこに俺らがオープニングアクトとして出ることになったんです。

ショウ しかも、“シークレットオープニングアクト”としてね。

コウキ 最初にステージのシャッターが開いたら、お客さんはTHE BAWDIESが出てくると思っていたはずなんですけど、いきなり知らない高校生が出てくるみたいな(笑)。俺らがTHE BAWDIESの皆さんと会ったのもそのときが最初で、まだハマくんはいなかった時期ですね。

ショウ その後、俺らが「新宿から来たOKAMOTO'Sです」って言うようになったのも、そのライブがきっかけだったんです。自分たちのホームと言えるライブハウスができたのも、THE BAWDIESの力を借りたみたいなところはありますね。そこから逆算して15年の旧知の仲ってわけです。

左からROY(Vo, B / THE BAWDIES)、ハマ・オカモト(B / OKAMOTO'S)。

左からROY(Vo, B / THE BAWDIES)、ハマ・オカモト(B / OKAMOTO'S)。

もう後輩が出てくるの? 早いよ!

──お互いがやっている音楽については、当時どう感じていました?

ショウ ルーツとなっている音楽の年代なのかはわからないけど、近いものが好きなのは間違いないなと。

コウキ 自分たちが高校生のときに好きだったロックンロールバンドの作品と並べても、流れで聴ける日本のバンドがリアルタイムで出てきたことは衝撃的でした。「I BEG YOU」を初めて聴いたときはまさにそういう感覚になったし、THE BAWDIESがその後何枚も作品を発表していく過程を見てシンパシーも覚えたし、刺激的でもあって。憧れでもありました。

ROY そもそもred clothに集まっている時点で、全然違うジャンルなわけがないというか。ロックンロールを通っている人しかそこには出ていないので、近いものは感じましたよね。さらに、学校の後輩でしたし。けど、僕らも当時は若手としてライブハウスに出演してたのに「もう後輩が出てくるの? 早いよ!」とは思いました(笑)。

TAXMAN 当時のOKAMOTO'Sはまだ高校生ですからね。ズルいですよ(笑)。僕らも20代前半で「お前ら、若いな!」ってかわいがられるはずなのに、OKAMOTO'Sがいるとみんなそっちをかわいがっちゃうから。

ショウコウキ (笑)。

オカモトショウ(Vo / OKAMOTO'S)

オカモトショウ(Vo / OKAMOTO'S)

──別に学校で2組のルーツとなった古きよき時代のロックンロールやソウルが流行っていたとか、そういうわけでもないんですよね?

コウキ ほかに同じようなバンドもいなかったですし、突然変異的な2組ではあると思うんですけど。

ROY 俺らも浮いてたからね。

ショウ むしろ、バンドをやることになったときに、音楽のルーツをさかのぼれる余力のある学校ではあるのかもしれない。学校に関する共通点でいうと、メンバーの人柄が見えるようなMCやライブの作り方をしているところのほうに“血筋”を感じるかもしれない。

コウキ こないだTHE BAWDIESと夜の本気ダンスの対バンを大阪で観て、それはめっちゃ感じました。俺らもよく「MCが長い」って言われるけど、THE BAWDIES先輩もね……(笑)。

一同 (笑)。

コウキ 中盤のMCが長くなるのはわかるんですけど、最後の最後で(TAXMANが)「わっしょい!」で締める、その前の段階もけっこう長くて。

TAXMAN 長く感じさせてしまって申し訳ない(笑)。個性的なやつが多いのは、うちの学校の特徴なのかな。好きなものを1つ見つけると、それをめっちゃ掘る人は多いし。僕らの場合はロックンロールだったけど、ヒップホップにハマったらそこにドップリいく人もいるし、スケボーを好きになったら大人になっても滑ってたりと、掘り下げる文化はあるのかもしれないね。

TAXMAN(G, Vo / THE BAWDIES)

TAXMAN(G, Vo / THE BAWDIES)

ショウのロックスタースイッチ

──この2組がイベントやフェスで一緒になったときの、記憶に残ってるエピソードって何かありますか?

ROY ショウは人前に出るときにオンとオフの切り替えがあるんですけど、オンのときのショウに絡むと必ず“ケガ”をするという(笑)。

ショウ え、そうなんですか?

ROY いつだったか一緒にいたとき、カメラが来た瞬間に「Hey, Yo! Yo! Yo!」って勢いよく言い始めて(笑)。俺もどうすりゃいいのかわからなくなって、一緒にカメラに指差すことしかできなくて、すごく恥ずかしくなったんだよ。

TAXMAN 俺も似たようなことがあったわ。2014年のライジング(「RISING SUN ROCK FESTIVAL in EZO」)でOKAMOTO'Sがハウスバンドとして「FRIDAY NIGHT SESSION」を担当したじゃない。

コウキ 甲本ヒロトさんや吾妻光良さん、鮎川誠さんとかいろんなレジェンドのミュージシャンが集まってセッションしたときですね。

TAXMAN そのレジェンドばかりの中に俺も呼ばれて。あのとき楽屋でショウに「いやあ、こんなレジェンドばっかで俺、緊張するよ」と言ったら、「そんなことねえよ、卓さん!」って勢いよく肩組まれたから(笑)。ロックスタースイッチが入ると、すげえブーストするんですよ。

ROY しかも、スイッチがいきなり入るからね(笑)。

コウキ あの「FRIDAY NIGHT SESSION」、最後にソロ回しがあったじゃないですか。あのときにショウさんが普通に「ヒロトーっ!」とか叫んで、場を仕切るんですよ。ステージに上がったら先輩後輩分け隔てなく、同じように接するあの姿勢はすごいなと思いました。

ショウ しかも、それを俺が全然覚えていないっていう(笑)。でも、うれしいなあ。こういうエピソードが溜まっていくと、伝説の人みたいになれそうですし。

左からオカモトショウ(Vo / OKAMOTO'S)、ROY(Vo, B / THE BAWDIES)。

左からオカモトショウ(Vo / OKAMOTO'S)、ROY(Vo, B / THE BAWDIES)。

TAXMAN イベントやフェスじゃないけど、俺、コウキのエピソードも1つある。

コウキ なんですか?

TAXMAN 町田に僕が昔バイトしていたイングリッシュパブがあるんですけど、コウキとgo!go!vanillasの(柳沢)進太郎とGLIM SPANKYの亀ちゃん(亀本寛貴)が「卓さんの元バイト先で今飲んでます!」みたいな感じで連絡してきて。お誘いかなと思ったら、ただの報告だったという(笑)。

ROY 呼ばれなかったんだ?

TAXMAN そう。呼べよ!

コウキ いやあ、遠いかなと思って(笑)。

TAXMAN 行けるって!(笑) 俺はあれ、根に持ってるよ。

左からTAXMAN(G, Vo / THE BAWDIES)、オカモトコウキ(G / OKAMOTO’S)、JIM(G / THE BAWDIES)。

左からTAXMAN(G, Vo / THE BAWDIES)、オカモトコウキ(G / OKAMOTO’S)、JIM(G / THE BAWDIES)。

ROY 呼んだら場の雰囲気が変わっちゃうなと思ったんだろうね。

コウキ いやいや、ただの遠慮ですって(笑)。でも、さっきのオンオフ話で言ったら、こないだOKAMOTO'Sのツアーファイナルに(スプリットツアーの)告知のためだけにTHE BAWDIESが来てくれて。ステージ上で告知動画を撮ることになっていたんですけど、そのときのオン具合はすごかったですよ。ツアーファイナルで1本ライブをまるまるやった俺らを超える、エンジン全開のテンション感で来てくれましたから。しかも、全然ステージから降りなくて(笑)。

TAXMAN 「5分ぐらいでいいです」と言われたんだけど、せっかくスーツに着替えたのにもったいないじゃないですか。

ROY しかも、お客さんと一緒に2時間くらい作り上げた、熱した空間に何もしていない俺らが飛び込んでいくわけですし、余程のテンションでいかないと入り込めないなと思ったから。

TAXMAN あのためだけに、お弁当ももらったからね。

ROY いただいたからには、何か返さないとね。

2023年7月4日更新