ターニングポイントに必要な曲

──7人体制の新曲も完成しました。「おやすみポラリスさよならパラレルワールド」は「あした地球がこなごなになっても」以来となる浅野いにおさん作詞の楽曲ですね。

夢眠　歌詞をいただいて、今回もまた「ヒィ！」ってなりました。

──それはどういう意味で？

夢眠　いにお先生のマンガもそうなんですけど、一見ふんわりした印象なのにどこかゾッとするところがあるというか。

相沢　うん、ファンタジーじゃなくなってる気がする。今回はすごく人間の生々しい部分が刺さってくるんですよ。

古川　これ振付が付いて余計そう感じるんですけど、私がいじめられてた頃に頭の中で仕返ししてた図がすごい浮かぶんです。

夢眠　わかる。

成瀬　あとこの歌詞、今いにお先生が連載してる「デデデデ（デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション）」のストーリーと若干リンクしてるような気がして。いつかアニメ化とか実写化とかあったらオープニング曲にしてほしい。

──H ZETT Mさんのサウンドも攻めてますよね。

夢眠　そう！ めちゃくちゃカッコいいんです。歌詞とかタイトルとかで、ゆっくりなイメージあるかもですけど実はものすごくテンポ速いし。

成瀬　BPM200ぐらいあるんだっけ。

夢眠　最初は意識してなかったけど、踊ってみたら身体の負荷がすごくて「これ速いのかもしれない」ってなった（笑）。

──そして「ギラメタスでんぱスターズ」は、これぞでんぱ組.incといった感じの高速電波ソングに仕上がりましたね。

夢眠　これ作るときヒャダインさんとひさしぶりに話したんですよ。

古川　作詞してもらう前に「どう最近？」みたいな感じで。「どんな歌詞がいいの？」って聞かれていろいろ言ったから、それでこの「もう前しか見ないぜ！」って感じの歌詞になったのかもしれない。

──「転がんのやめたら生ゴミ確定よ」「新しいって最高だ」「行く先照らしてやんよ」などなど、力強い言葉が並んでいます。

夢眠　「破！to the Future」の続きの、その先の世界っていうイメージですよね。

──「光速ですんませんね もう次にいるんだわ」というフレーズも今のでんぱ組.incのスタンスそのままですね。

夢眠　もしかしたら「展開早くて付いていけない」って思う人もいるかもしれないけど「ごめーん！」って言いながら先に行く感じで。

相沢　でんぱ組.incってターニングポイントで自分たちに必要な曲をもらえることが多くって、今回もそれをもらったなあっていう気持ちです。

成長し続ける姿を見てほしい

──今後のでんぱ組.incの活動についてイメージしていることはありますか？

相沢　アイドルで一番大事なのは“成長し続けること”だって私は思ってて。そういう部分を、今年のでんぱ組.incはめちゃくちゃ見てもらえる、いろんな変化を楽しんでもらえる年になるんじゃないかなって思ってます。

──完成形を見せるだけじゃなく、ファンと一緒に成長していく？

相沢　うん、今までのでんぱ組.incはちょっと完成し始めてしまって、ファンのみんなが関われる“隙”みたいなのが減っていたのかもって思って。単に提供する側になるのは怖いんです。でんぱ組.incは明日にでもめちゃくちゃ変わってる可能性があるぞっていう不安と期待みたいなものを常に見せたい。変わり続けていきたいんですよね。

夢眠　プロとしてアイドルをやっていきたい気持ちはあるけど、同時にやっぱり人間でいたいから。私たちって飽き性だし、おんなじことをやり続けるのがイヤで、だからこの仕事しかできてないっていうのもあるんです。だから今はどんどん変化していて、すごく楽しいですね。

成瀬　そう、もっとクレイジーでもいいと思うんだ。

相沢　一番クレイジーな人がなんか言ってる！（笑）

──（笑）。4月からはいよいよツアーも始まります。

古川　去年からずっと「ツアーがやりたい」ってそればっかり言ってましたからね。

──意気込みは？

古川　このツアーで初めてでんぱ組.incを観るっていう人も多いと思うから、いつも以上に気合いを入れてがんばりたいですね。単純にいろんなとこに行けてうれしいなっていうのもあるし、ねもちゃんの地元とかもね。

根本　そうですね。私、茨城県出身なので。小学生のときに部活で楽器をやっていて、コンクールでは今回ツアーの会場になってる県民文化センターでも演奏したことがあるんです（笑）。

──ツアーが始まると兼務の2人はさらに忙しくなると思いますが大丈夫ですか？

鹿目　はい。今すごくがんばれば、いつか悟りじゃないけど、何か見えるものがあると思ってるんです。大阪城ホールでも見えたものがあったし、どんどん階段を上って、そういう新しい景色をみんなと見れたらいいなって思ってます。

──ぺろりんさんとねもさんがでんぱ組.incで経験したことをベボガ！や虹コンに持ち帰れる部分もありそうですね。

鹿目　先輩たちのお仕事の姿勢はすごく勉強になってます。ベボガ！にいるときも「そういえばこういうとき先輩はこうしてた」って思って行動してて、それを見たほかのメンバーも「あ、なんかぺろりんがいつもと違う」みたいに意識してくれてると思うし。

根本　私は大阪城ホールのライブのセトリを決めるとき、ホワイトボードにいろいろ書きながら「これどう？」ってメンバーが意見を出してる姿が新鮮で。虹コンはそういうのやったことなかったから、それ以降は虹コンでもホワイトボードを使おうって提案して、みんなで話し合うようにしてます。

成瀬　わ、実践済み！

鹿目　ベボガ！もそうなんです、実は。

根本　勉強になります、ほんとに（笑）。

──すごく忙しいぶん、それぞれ成長も早いでしょうね。

相沢　今2人は同じぐらい忙しく動いてるアイドルグループ2つに同時に所属してるわけで、そういう子はあんまりいないから。「女優×アイドル」みたいに「◯◯×アイドル」ってやってる人は多いけど「アイドル×アイドル」って実はいないし、面白いと思うんですよね。

夢眠　練習終わってうちらがおやつ食べてるときに「握手会行ってきまーす！」とかって出て行くもんね。「いってらっしゃい！」って送り出すけど、めっちゃしんどいと思うから温野菜おごってあげたい（笑）。

──チームワークも良好で、新体制のでんぱ組.incはかなり期待が持てそうですね。

古川　はい。2018年をこの7人で駆け抜けて、いい年末を迎えられたらいいなと思ってます！