手を伸ばせば触れ合えるくらいの距離感

──そして2月末から全国ツアー「WWD 大冒険 TOUR 2015 ～この世界はまだ知らないことばかり～」がスタートします（参照：でんぱ組.inc、6万人動員ホールツアー終えワールドツアーへ旅立つ）。

藤咲　1月は代々木のことを考えていて、いつの間にか2月になってたんですよ。そしてハッと気付いたら代々木が終わっていてホールツアーが始まって、またハッと気付いたら5月にしょこたんと一緒にやってて、またまたハッと気付いたら夏フェスが始まっているという……。

──その間にも3rdアルバム「WWDD」をリリースしてますし、皆さん、もっとたくさんいろんなことをやってますよ。

夢眠　そうやって振り返ってみると確かにいっぱいやってるね、私たち。もう言われて気付くことも多くて時系列がわかんなくなってる（笑）。でもホールツアーは本当に楽しい思い出がいっぱいあります。ソロ曲を歌うコーナーを用意したんですけど、メンバーが1人で歌っている姿を観ることができたのは楽しかった。あとはご当地ごとにミニゲームをやって、みんなでアイデアを出したのが面白かったです。

藤咲　ミニゲームといえば米粒を運んだのが面白かった（笑）。新潟で「Future Diver」をBGMにステージ上で米粒を箸を使って運ぶっていう地味だけど難しいゲームに挑戦して。

夢眠　スケールがデカいのか小さいのか（笑）。

相沢　ゲームに勝ってお米をもらいました（笑）。

──ご当地にちなんだゲームを皆さんで考えたんですね。

相沢　実際、事前に考えておいた内容ができなくなることもあって。やりたいことがあっても会場によってはできないこともあるので、当日になって臨機応変に対応する必要がありました。細かいですけど、ミニゲーム1つをやるにしても課題はけっこうありましたね。

夢眠　個人的には大規模会場の代々木でのコンサートをやったあと、すぐに実施したライブでもあったので、ファンの1人ひとりの顔を近くで見ることができたのはやっぱりうれしかった。大きい会場ももちろん素敵ですけど、手を伸ばせば触れ合えるくらいの距離感はいいですよね。

成瀬　あと、直前にリリースしたアルバムの曲をこのツアーで育てることができたのがよかったです。歌っていくにつれて歌詞の意味も深くまで知ることができましたし。

──そして4月には六本木ヒルズumuで、でんぱ組.inc初の展覧会「でんでんパーク」を開催。さらに古川さんが「おはスタ」のレギュラーに抜擢されました。

夢眠　みりんちゃんが早起きすることに対してなんの驚きも感じなくなった（笑）。

──さらに4月の末には中川翔子さんとのコラボ企画・しょこたん♥でんぱ組がスタートして、コラボシングル「PUNCH LINE!」をリリースしました。このコラボは皆さんにとっても大きな出来事だったんじゃないかと。

相沢　しょこたんと初めてお会いするときは私たちも緊張していたけど、周りのスタッフさんたちも「この子たちは仲良くなれるんだろうか？」みたいな謎の緊張感があって。そんな空気を感じながら実際にお会いしてみたら、やっぱりオタク同士だから共通言語があってすぐに仲良くなりました。先日、ひさびさに会ったんですけど、しょこたんも「やっぱここだなー！」って言ってみんなで集まってゲームをやりました（笑）。本当にいいお友達ができたなって。また復活させたいですね。

夢眠　しょこたんはお友達でもあるんですけど私たちの大先輩でもあるので。やっぱり彼女が積み重ねてきたことはすごいですし、オタクの女の子が「オタクです！」って発言していい今の状況って、みんなしょこたんから影響を受けてることが多いと思うんです。だから彼女の1つひとつの言葉に重みを感じました。

相沢　一緒にいると私たちも明るくなるんですよ。

夢眠　しょこたんはしょこたんで、私たちといるとアニメやゲームの話ができるから伸び伸びとしてますし。まあ、しょこたんの次のコラボシリーズが小林幸子さんっていうのもビックリしたけどね（笑）。

世界中のファンとタオルを回した

──6月には「ミュージックステーション」に初出演。そしてワールドツアーがスタートしました。

夢眠　もう海外にはだいぶ慣れたね。

古川　海外といえば、えいたそがすごいですよ。1人でどこでも行っちゃいます。

成瀬　特に台湾とかは地下鉄の路線を覚えたのでどこでも行けます。1人でアクティブに行動しすぎて、みんなも誘えばよかったなって思うこともしばしば。

夢眠　台湾のPASMOみたいなカードも持ってるんですよ。

成瀬　はい！ あとは自転車をレンタルする手続きも事前にしちゃいました！

──そこまで海外でアクティブなメンバーがいるのは、皆さんとしても心強いんじゃないですか？

夢眠　いや、1人で行っちゃうから（笑）。「達者でな！」って。なんかバスで2時間かかるところに行こうとしてたから、さすがにマネージャーさんが止めてましたよ（笑）。

成瀬　でんぱ組.incとして来てることを忘れてしまって、言われてハッと気付いて我に返るという（笑）。

夢眠　私は海外に水着を持っていくようにしてました。海外だとついつい食べ過ぎちゃうので、泳いで痩せようっていうのと、水着を着れるくらいの体型はキープしようっていう意味もあって。あと海外では梨紗と調味料を買いに行ってましたね。

古川　主婦みたいだよ。

夢眠　楽しみ方が庶民派なんでね（笑）。

──ここまで海外でのライブの感想がまったくないですが（笑）。

夢眠　そうそう！ イギリスでのライブが印象的でした。ヨーロッパの人は音楽に厳しいって聞いていたので楽屋で念入りに練習していたんですけど、やってるうちにどんどん観てくれる方が増えていって。アンコールも起こったんですよ。

相沢　それでも1日目は緊張して、がんばったけどやり切れなかったところもあって。だから2日目は「間違ってもいいからやっちゃえ！」っていう気持ちで臨んだんです。そうしたらすごく盛り上がりました。

夢眠　ちょうどその時期に「おつかれサマー！」という曲を出したんですけど、曲中にタオルを回すというのを各国でやりました。その国の言葉で煽ったらなんとなく伝わりましたし、世界中のファンと一緒にタオルを回したのがうれしかった。あと私たちのコスプレをしてくれる海外の方が多かったことにも驚きましたね。私のコスプレをやってる人は、総じてデカい男の人が多かったですけど（笑）。

相沢　海外の方の応援も熱烈ですね。オフィシャルのグッズがないから自分たちで作ってくれて。

藤咲　フランス公演のときに2日間とも私の写真をプリントしたTシャツを着てるおじさんがいて。ちょっと無愛想なんですけど私のファンなのかなって思って「Tシャツ、すごいですね」って言ったら微笑んでました（笑）。

──そしてワールドツアーのファイナルが日本の河口湖ステラシアターでした。このライブ、ファンの方からすごく評判がよかったですね（参照：でんぱ組.inc“富士山”も祝福した初のワールドツアー凱旋公演）。

夢眠　セトリが好評だったのかな。

古川　河口湖って武道館をギュッとしたような会場で、お客さんとすごい近かったのもよかったと思います。あとはライブで勝負しようっていうコンセプトだったから、ファンの人はうれしかったのかなって。

夢眠　珍しく花火とかの演出をたくさんやったんですよ。そうしたら花火の煙がどんどん流れ込んできて、そのときステージ上で寝転んでる私たちの姿と相まって、完全に何かヤバい事件が起こった、みたいに見えちゃって（笑）。感動しながら花火を観るはずだったのに、そんなシチュエーションになっちゃって大爆笑しました。ワールドツアーの最後だし、でんぱ組.incも成長したねっていう終わり方になるかなって思ったのに、最後は大笑いで終わるという。まあ私たちらしかったのかな。

成瀬　当日は「おつかれサマー！」もやり納めみたいな感じでしたね。「これで夏が終わる」っていう気持ちでタオルを回しました。