DAOKOが2年9カ月ぶりのアルバム「THANK YOU BLUE」を完成させた。
本作にはロングヒットとなったDAOKO×米津玄師「打上花火」やDAOKO×岡村靖幸「ステップアップLOVE」など多数のコラボ曲を収録。ほかにもD.A.N.やTempalay、O.N.O(THA BLUE HERB)など気鋭のバンドや実力派トラックメーカーが多数参加している。
今回のインタビューではメジャーデビュー以降の集大成という新作の背景、そしてこの先に彼女が目指すものを語ってもらった。
取材・文 / 柴那典
今の自分は1年ごとに更新されてる
──2年9カ月ぶりということで、だいぶひさしぶりのアルバムですね。
そうですね。1stアルバムはメジャーデビューとほぼ同時に出したので、インディーズの頃に蓄えたものをメジャーでポップに昇華したみたいなアルバムだったと思うんですけど、それからいろいろあった3年間の集大成と言うか。
──今年は米津玄師さんとの「打上花火」、岡村靖幸さんとの「ステップアップLOVE」のようなコラボレーションもありましたね。それらを経て、どういうアルバムができあがった手応えがありましたか?
アルバムの全体像を見据えながら作ってきたわけじゃなくて、目の前のタイアップとか、やらなきゃいけないこと、やりたいことをどんどんやってきてたんです。そういう長いスパンの中で、アルバムを作ろうとなったときに、今の自分は1年ごとに更新されてるし、やりたい音楽も変わってきていて。そういう意味で、タイアップの曲とか、シングルカットした曲もありながら、自分にとって個人的な曲もちゃんと入れられた気はしてます。
──そのときどきのいろんな自分を切り取ったものがまとまっているような1枚になった。
私自身、もともと打ち込みと言うか、トラックにラップを乗せるだけだったんですけど、最近は海外の新しいアーティストとか新しいジャンルと出会って。D.A.N.とかTempalayみたいなバンドと一緒にやりたいというのも、1年前、2年前では思わなかったことだったので。そういうこともありますね。
コラボでできるのは「一生懸命、曲に対して真摯に向き合う」
──収録曲のうち、D.A.N.との共作曲「同じ夜」はどういうきっかけで生まれた曲なんですか?
D.A.N.はシーンに出てきたときからずっとカッコいいなと思っていて。アルバムを作るにあたって誰かとコラボしようというときに名前を挙げさせていただいたんです。これはただ曲を提供してもらったというのではなくて、D.A.N.の櫻木(大悟)さんとどういうものを作りたいかを話してから作っていったんですけど。
──どんなふうに共同作業をやっていったんでしょう?
最初に櫻木さんに「DAOKOがこういう曲を歌っていたらカッコいいんじゃないか」というものを作ってもらったんです。だから最初のデモは櫻木さんの声で。それを自分に置き換えて、歌詞の世界観を構築していった感じです。
──岡村靖幸さんとの「ステップアップLOVE」も一緒に作っていったんですか?
そうですね。このときの歌詞に関しては、1行ずつ書き合ったりとか、私が書いたものに対して岡村さんが書いたり、いろいろ複雑に編集してます。
──前に音楽ナタリーに掲載された対談でも岡村さんが「DAOKOさんの触媒力はすごいと思いますよ」とおっしゃっていましたよね(参照:DAOKO×岡村靖幸「ステップアップLOVE」インタビュー)。実際、岡村さんとの「ステップアップLOVE」も、D.A.N.との「同じ夜」も、DAOKOさんが入ることによって岡村さん、D.A.N.のよさが増幅されて伝わってくる感じがあるんです。そういう触媒としての不思議な作用をDAOKOさんが果たしていると思うんですが、これは自分自身でどういうふうに捉えていますか?
私も不思議です(笑)。そこに関しては、意識してできることではないんで。私よりキャリアもあるし、尊敬している方々と一緒にやっているので、自分にできるのは本当に一生懸命、曲に対して真摯に向き合うくらいで。だから自分が何かの触媒をしているみたいな自覚はそこまでないんですけど、1つひとつの曲をよりよくしていこうっていう積み重ねはイメージしてます。
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Tempalayとの出会いは「忘れていたことを思い出した感覚」
- DAOKO「THANK YOU BLUE」
- 2017年12月20日発売 / TOY'S FACTORY
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初回限定盤 [CD+DVD]
3888円 / TFCC-86624 -
通常盤 [CD]
3024円 / TFCC-86625
- CD収録曲
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- 打上花火(DAOKO×米津玄師)
- ステップアップLOVE(DAOKO×岡村靖幸)
- Juicy
- さみしいかみさま
- ShibuyaK
- BANG!
- ダイスキ with TeddyLoid
- 拝啓グッバイさようなら
- 同じ夜
- GRY
- もしも僕らがGAMEの主役で
- ゆめみてたのあたし
- Cinderella step
- ワンルーム・シーサイド・ステップ
- 初回限定盤DVD収録内容
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チャームポイント
- チャームポイント
- 歌舞伎町の女王
- BOY(Re-Arrange)
- ぼく(Re-Arrange)
- okay!
- さみしいかみさま(Re-Arrange)
- Fog(Re-Arrange)
- Cygames presents DAOKO TOUR 2017-2018 "THANK YOU BLUE"
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2018年1月11日(木)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
※終了分は割愛
- DAOKO(ダヲコ)
- 1997年生まれ、東京出身の女性ラップシンガー。ニコニコ動画のニコラップに投稿した楽曲で注目を集め、2012年に1stアルバム「HYPER GIRL-向こう側の女の子-」を発表。ポエトリーリーディング、美しいコーラスワーク、ラップを絶妙なバランスで織り交ぜたドリーミーな世界観で話題を呼ぶ。2015年3月にはTOY'S FACTORYよりアルバム「DAOKO」にて高校生にしてメジャーデビュー。2016年4月にTeddyLoidとのタッグで学校法人・専門学校HAL(東京・大阪・名古屋)の2016年度テレビCMソングを担当。同曲も収めたトリプルA面シングル「もしも僕らがGAMEの主役で / ダイスキ with TeddyLoid / BANG!」を9月にリリースした。2017年8月には映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の主題歌を含むニューシングル「打上花火」を発売。10月に岡村靖幸とのコラボレーションによるシングル「ステップアップLOVE」を発表し、11月に配信限定リリースされたBeckの楽曲「Up All Night × DAOKO」にも参加した。12月に約2年9カ月ぶりのフルアルバム「THANK YOU BLUE」をリリース。1月11日まで全国ツアー「Cygames presents DAOKO TOUR 2017-2018 "THANK YOU BLUE"」を開催している。