CUBERS「MAJOR OF CUBERS 2」インタビュー|葛藤、団結、挑戦──。もがきながらも進み続けた3年間をアルバムに (2/3)

9太郎の“センター論”

──2021年5月にはミニアルバム「あたらしい生活」がリリースされました。

TAKA この時期はメンバー同士でセンターを争った「バトルキューバーズ」のイメージが強いですね(参照:CUBERSが新作センター&ソロ曲を懸けてバトル、1位はファン投票で決定)。

 確かに!

綾介 センター争い、懐かしいですね。

TAKA しかもその結果を自宅でみんな聞くっていう(笑)。オンラインでの配信だったんだよね(参照:沸いたー!! CUBERS末吉9太郎、メンバー対決企画で勝利し初のセンターへ)。

──優さんが初めてセンターを務めた「ピンキーリング」のインタビューでは、9太郎さんがセンターへの思いを語っていました(参照:CUBERS「ピンキーリング」インタビュー)。その次の作品でセンターを勝ち取ってみて、どうでしたか?

9太郎 「ピンキーリング」のときは本当にセンターに立ちたいと思っていたし、「バトルキューバーズ」の企画が発表されたとき、僕がセンターに立つにはこの企画しかないとも思っていて。結果としてセンターを勝ち取ることができたけど、今もう一度同じ企画があったら同じ気持ちで臨めるかはわからないんですよね。これ、誰にも言ったことないんだけど、CUBERSというグループで僕がセンターに立っていることに面白みをあまり感じないんですよ。

綾介 そうだったんだ。

9太郎 うん。うれしさはあったけど、「あたらしい生活」から1年くらいセンターに立つ機会が多くなる中で、「あれ、こういうときまで僕がセンターでいいんだっけ?」と思うようになって。グループのリーダーになって、客観的にこのグループのことを考えるようになってからもこの考えは変わらなかった。

TAKA それは誰かに打ち明けたことある?

9太郎 誰にも言ってない。

TAKA チーフマネージャーの堀切さんにも?

9太郎 うん。今初めて口にした。でも実際にそうだと思うし、今のCUBERSはちゃんとセンターが変わって面白くなってるから安心してる。もちろん曲やタイミングによって僕がセンターを担当することもあるだろうけど、それが不動のものじゃないって今はわかるから、あのときと違う気持ちで立つことができるようになって楽になったかな。

末吉9太郎

末吉9太郎

そろそろ会いに行かないとダメだ

──2021年の12月には「エールCUBERS」という、メンバーそれぞれが47都道府県を回る企画が行われました。コロナ禍で地方に回ることもなかなかできない期間が続いてからの地方回り、どうでしたか?

9太郎 実はこの「エールCUBERS」の企画って僕の発案なんですよ。チーフマネージャーの堀切さんと打ち合わせをしているとき、最初はSNSを使った企画をやろうとしていたんです。ただオタクとしての僕の肌感ではそろそろファンに会いに行かないとダメだと思って、難しいだろうなと思いながら「47都道府県行くのはどうですか?」と提案してみて。もちろん5人では回れるはずないから、5人がバラバラに行くのでどうですか?と聞いてみたら、それが実現して。

──コロナ禍でCUBERSはオンラインのライブに力を入れていましたが、そろそろ実際に会いに行かなければいけない、と9太郎さんは感じていたわけですね。

9太郎 はい。ただ実際に会いに行けたのは本当にスタッフさんのおかげでした。5人バラバラで全国を回るということは、5人分スタッフさんを用意しないといけないのですごく大変なんですよ。無茶なことを言ったと思いますが、チーム一丸となって1つの大きなプロジェクトに取りかかれたのはすごくよかったですね。

綾介 スタッフさんのおかげもあって、僕らはすごく楽しく全国を回れたんですよ。ステッカーを配ってファンのみんなに会って、せっかくだから地方を観光してお店を紹介するような企画もやって。ご当地のおいしいものが食べられたし、人生で初めて行く土地もたくさんあって。仕事なのにこんなに楽しんでいいのかな?と思うくらいでした(笑)。クリスマスの日に札幌で雪景色の中を歩いたの、今でも覚えてるなあ。

──アルバムには「エールCUBERS」のテーマソングである「エブリデイ・アイシタイ」が収録されています。

TAKA この曲で印象に残ってるのはMVですね。みんなが各地で撮った映像をもとに春斗くんがMVを作ってくれて。

春斗 MV作るの、めっちゃ大変だったんだから(笑)。膨大な量の映像が届いて、それをチェックするのも大変だし、ただ歩いてるだけだと絵変わりしないから「こういう映像を撮ってきてよ」ってお願いも投げて。その後また映像が届いてチェックして……という繰り返しで。めちゃめちゃがんばって作ったのに、僕の登場シーンが多いから作り直せって言われちゃったし(笑)。

綾介 出たがりな監督なんですよ。春斗くんは。

 「え、今のところ春斗くん無理やり差し込まれてない?」みたいな監督の不自然なシーンがいっぱい入ってて(笑)。アレはアレで面白い映像だったなあ。

演技を通じて変わる楽曲との向き合い方

──2022年8月には鈴木おさむさんとタッグを組んだコラボ作品「CHOICE」がリリースされました。楽曲制作のみならず、舞台でもおさむさんとタッグを組むという、これまでのCUBERSの活動の中でも珍しい取り組みでしたね。

TAKA おさむさんとは「CHOICE」の打ち合わせで初めてお会いしたんですが、短い時間で僕らメンバーの個性をかなり把握していただいた印象がありますね。楽曲のみならず舞台の脚本も書いてもらったんですが、僕ら1人ひとりへの“当て書き”なんですよ。

 本人がそのまま役になったような内容だったので、かなりパーソナルな部分に踏み込んだ楽曲や舞台になったと思います。

TAKA 出会って間もない時間でよくここまで書いていただいたなと、すごく愛を感じました。

──「CHOICE」の舞台に限らず、皆さんは2.5次元の舞台など演技の仕事もここ数年で増えていますよね。

TAKA ありがたいことに舞台だけではなくて、アニメの声優まで担当させていただけたのは感慨深かったですね。

TAKA

TAKA

9太郎 役をいただいてみんなで1つの作品を作っていくのはやりがいを感じました。「もうちょっとここをこうしてみて」って演技のことで言われて、また試してみてというのがすごく楽しかった。

──演技の仕事をすることでアーティスト活動にはどんな影響がありましたか?

9太郎 演技の仕事を通じて、作品と向き合うことの楽しさを知ったのが大きい気がします。台本を読み込んで演技に取り組むときのモードが歌にも影響しているというか、楽曲に向き合うときもすごく丁寧になった。何かに対して丁寧に向き合うことの楽しさに改めて気付かされたというか。演技をやってみてよかったな、とすごく感じています。

僕らはもうハロプロの一員?

──昨年12月にはSMAP「青いイナズマ」などの作詞で知られる作家の森浩美さんが歌詞を書いた「なんなんだろう」がリリースされました。“男性アイドルの王道”を掲げるCUBERSにとって、森さん作詞の曲を歌うことには特別な意味があるようにも感じました。

綾介 ついにこの日が来たか!という感じでした。

春斗 めちゃくちゃカッコいいい曲で、レコーディングが楽しみだったなあ。

TAKA ただ、歌いこなすのは難しい曲でした。レコーディング中もけっこうメンバーでディスカッションして、こだわって録った曲ですね。

 ニュージャックスウィング! 難しかったけど、おしゃれですごくカッコいい仕上がりになったと思う。こういう曲にチャレンジできて、僕らも成長したんだなとしみじみ思いました。

TAKA 楽曲の配信前に、春斗くんが手書きした歌詞を公開したんですよ。ただ曲をファンに届けるだけじゃなくて、先に歌詞を知ってもらってから楽曲と向き合ってもらうという試みも面白かったですね。春斗くんはこの曲をどう捉えていたの?

春斗 CUBERSでここまで真っ向から失恋を歌う曲はなかったから、すごく新鮮で。ただ僕の年齢からすると歌いやすいというか、いろんな経験をした中で「ああ、こういう気持ちわかる」というところが多かったんですよね。だからけっこうボーカルにもいい味を出せてるんじゃないかなと思います。

 春斗くん、いろんな経験してきたんだなあ。実際の経験がないと薄っぺらい歌になっちゃうもんね。

TAKA さすがつば男シニア。

春斗 あれ、なんかいいことを言った気がするのに、結局そこにつながっちゃうのか(笑)。

──今年2月に配信リリースされた「人生Heyday」は、作詞を児玉雨子さん、作編曲を星部ショウさんと大久保薫さんが担当しているという、“ザ・ハロプロ”な楽曲ですね。

9太郎 もう最高でした。制作陣には「CUBERSのことを忘れて、『ハロプロでボーイズグループがデビューしたらどうなるか?』を考えて曲を作ってください」ってオーダーしたみたいで。そんなことあります? つまり、この曲を歌う僕らはもうハロプロの一員みたいなことなんですよ!

TAKA 曲を聴いた人たちの反応もすごかったよね。

9太郎 そう! 配信されたときにSNSの反応をチェックしてたら、ハロプロファンのアカウントが「人生Heyday」のことをつぶやいていて。やっぱわかるよねーって勝手に共感してた(笑)。僕もハロヲタの1人としてすごくうれしかったし。こんな楽曲を歌わせてもらえるなんてすごいことだし、これまでがんばってきて本当によかったなと思いました。