コアラモード.「COALAMODE.3 ~Blue Moment~」インタビュー|結成10周年の先へ──夜明け前に見えた、未来へと続く青い光 (2/2)

この5年間のベストアルバムとしてリリースしておくべきだと思った

──そして今回、アルバムには初音源化となる「雨上がりには好きだといって」「I'LL BE」の2曲も収録されています。

小幡 まず「雨上がりには好きだといって」は、結成当時に関わりのあった横浜の劇団があって、その演劇に合わせて2013年に作曲したものです。作詞はその劇団の主催の方で、作曲はあんにゅですね。

あんにゅ 今回、音源にするにあたって歌詞は少しだけ変えていただきました。メロディは弾き語りで作って、アレンジを小幡さんにお願いした感じですね。そこからかなり時が経ったんですけど。

小幡 2013年はコアラモード.を結成した年で、どういった音楽性を目指していくかを試行錯誤している時代だったんです。その中で生まれたこの曲は、当初からメロディのよさが脳内に焼き付いていたので、このタイミングで音源化できたのはすごくうれしいです。同時に、「あ、ここでこんな跳躍をするメロディなんだ」とか、昔の自分たちに学ぶこともすごく多かったです。

あんにゅ すごく甘酸っぱくて切ない、あともう少し寄り添いたいっていう純粋な気持ちを汲み取りながらメロディを付けた記憶があります。すごく透明な、キレイな水の中にある気持ちを音にできたらなと思いながら書いていました。

あんにゅ(Vo, G)

あんにゅ(Vo, G)

──もう1曲の「I'LL BE」は、2022年度のtvk「ハマナビ」エンディングテーマソングとしてオンエアされていた曲ですね。

小幡 2022年に世に出た曲ではありますけど、実はこれも原案となるデモは2014年頃にはあったんですよ。僕らはストック曲が何百曲もあるので、「ハマナビ」さんからお話をいただけたときに、その中からパッと浮かんだのがこの曲だったんですよね。メッセージとしては非常に青い感じがするかな。20代前半の僕が書いたものなので。

──歌詞はその当時のままなんですか?

小幡 言葉尻が悪い部分をちょっと変えたりはしましたけど、ほぼそのまんまです。「愛されたいと願っていて でも 傷つくのが怖くって」「ぎこちない笑顔 振りまいてここまで来たけど」とか、今じゃもう恥ずかしくて書けない歌詞ですけど(笑)。

あんにゅ あははは。小幡さんが歌うわけじゃないからいいじゃないですか(笑)。

小幡 そうなんだけど(笑)。でも、そんな恥ずかしくなってしまう言葉たちが、メロディに乗ると今の自分の心にもすんなり入ってくるんですよね。そういう意味では、今の自分がブレーキを踏んでしまうようなことをやってる過去の自分に学ぶ部分はありました。

あんにゅ この曲、デモではテンポがすごくゆっくりだったので、それをちょっと速くしたんですよ。それ以外にもイントロをブラッシュアップしたり、新たにコーラスを入れたりしながら新しくしていく作業は楽しかったです。

小幡 うん。ドラムを生でレコーディングし直したりとかね。あんにゅの歌も当然のことながら、10年前と今では全然違いますから。そういった作業の中で過去の自分たちを見つめ直すことができたのはよかったなと思います。

小幡康裕(Key, G, B, Dr, Programming)

小幡康裕(Key, G, B, Dr, Programming)

──アルバムにまっさらな新曲を入れなかったことにもすごく意味があるなと感じました。コアラモード.が次の一歩を踏み出すためには、コロナ禍を含むこの5年間を1枚のアルバムとしてパッケージする必要があったんじゃないかなと。

小幡 まさにおっしゃっていただいた通りで。この5年という月日があまりにも濃厚だったので、ある意味、この5年間のベストアルバムとしてリリースしておくべきだと思ったんですよね。

あんにゅ そうだね。ベストアルバムみたいな感覚はあるよね。

小幡 もちろん新録曲を入れようかという話もあったんですけど、あえて入れずともっていう思いのほうが強かったんですよ。この5年間のコアラモード.を本作でひと段落させる、アルバムラストの「はるつげどり」という曲で1つのピリオドを打つことでまた次に進もうということですね。

あんにゅ アルバムタイトルにもそういう思いは込めました。「Blue Moment」というのは、夜明け前に空がジワッと青くなる瞬間のことを意味していて。ここから夜明けが来る、ここから次に向かって行くぞという気持ちが今の私たちにはあるんです。そんなことを感じてもらえるアルバムになったんじゃないかなと思います。

今のコアラモード.が最強だってことを皆さんにお見せしたい

──アルバムを経て、未来に向けたビジョンも鮮やかになってきていますか?

あんにゅ そうですね。これまで小幡さんとは目の前の活動についてしゃべることが多かったんですけど、最近はもっと先の未来のことを話すようになってきて。コアラモード.の活動は音楽が軸ではありますけど、最近はYouTubeを始めてみたりもしているので、ここからはなんでもやっていきたいよねという話はよくしています。いろんな活動をすれば、どんどん可能性が広がっていくと思うので。

小幡 そうだね。アルバムができてホッとひと息つくのかなと思っていたら、楽曲に関しても、ライブに関しても、もう次に表現したいことが見えてきたりもしていて。その状況が楽しかったりもするので、最近はあんにゅと打ち合わせする機会がすごく増えているんですよね。

あんにゅ やっと集まるようになった(笑)。しかもコロナ前は夜にやっていたことを、最近は昼に集まって夕方終わるみたいな感じになったのもいいんですよね。健康的なマインドで前進していきたい気持ちが強いんだと思います。そういう意味でも今のコアラモード.のバランスはすごくいいです! 小幡さんはどうかわからないけど、私は小幡さんのことを本当に信用しながら活動できているしね。

小幡 いや、僕ももちろんそうですよ。コアラモード.はあんにゅというボーカリストがいてこそなのでね、やっぱりあんにゅは王様です(笑)。

あんにゅ 私、王様なんだ(笑)。コアラ王国、めちゃめちゃいい国にするよ!

コアラモード.

コアラモード.

──11月には4公演を巡るライブハウスツアー「THIS IS COALAMODE.!! 2023~Blue Moment Tour~」が開催されますね。

あんにゅ 最近、いい意味でライブで緊張しなくなったんですよ。今回は2人だけで回るツアーになりますが、無敵な気持ちで楽しみたいですね。今のコアラモード.が最強だってことを皆さんにお見せしたいと思います!

小幡 僕らは2人だけでやるストリートライブが原点なので、今回のライブはその延長線上として、お客さんと一緒にグルーヴを作っていけたらいいですよね。バンドスタイルにすれば豪華になるのは間違いないんですけど、2人だけの音だからこそバンドを超える圧が出せる瞬間もあると思うので、それを感じていただけるライブにしようと思っています。

あんにゅ うん。メジャーデビューからは8周年、結成からは10周年になるので、その期間で出会ってくれたすべての方々に感謝を伝え、私たちの成長を見てもらいたいですね。

──先ほどチラッと出たYouTubeの「コアラモード.の『ゆ~かりチャンネル』」もぜひチェックしてほしいですよね。

あんにゅ あははは。あれはね、「この人たち本当にミュージシャンなんだろうか?」と思ってしまうぐらい取っ散らかったチャンネルではあるんですけど(笑)。

小幡 自分たちが好き勝手にやらせてもらってるからね(笑)。ありがたいことに僕らのパーソナリティ、キャラクターみたいなところを好きになってくださってる方々もいらっしゃるようなので、じゃあもうちょっと自分たちの内面を出してみてもいいのかなという。それを通してコアラモード.に興味を持ってくださる方が少しでも増えたらうれしいです。

ツアー情報

THIS IS COALAMODE.!!2023 ~Blue Moment Tour~

  • 2023年11月05日(日)大阪府 knave
  • 2023年11月12日(日)神奈川県 CLUB CITTA'
  • 2023年11月18日(土)愛知県 HeartLand
  • 2023年11月26日(日)宮城県 仙台ROCKATERIA

プロフィール

コアラモード.

ボーカルのあんにゅとサウンドクリエイターの小幡康裕からなる神奈川・横浜出身の男女2人組ユニット。2013年の結成以来、横浜を拠点に精力的なライブ活動を行い徐々に話題を集める。2015年2月にフジテレビ·ノイタミナ枠アニメ「四月は君の嘘」後期オープニングテーマ「七色シンフォニー」でメジャーデビュー。2016年3月にリリースした「さくらぼっち」がTikTokで広がり、この曲を使用した動画が8万本以上投稿された。またテレビアニメ「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」「逆転裁判 ~その『真実』、異議あり!~Season 2」「俺だけ入れる隠しダンジョン」など数々のタイアップ曲を担当している。結成10周年を迎えた2023年に配信シングル「ビデオテープ」、武田真治とのコラボ曲「コノナツトコナツココナッツ」をリリース。10月に3rdアルバム「COALAMODE.3 ~Blue Moment~」を発表し、本作を携えて11月に全国ツアーを開催する。