コアラモード.|柔らかな風がそよぐ愛の歌

コアラモード.がデビュー6周年記念日の前日である2月17日にニューシングル「ネモフィラ」をリリースする。

シングルの表題曲はテレビアニメ「俺だけ入れる隠しダンジョン」のエンディングテーマとして書き下ろされた楽曲。ネモフィラの花をテーマに思いを描いた、温かなラブソングとなっている。カップリングには「ちゃんと手をつなごう」「わたしの願いごと」の2曲を収録。3曲いずれの楽曲からも、人とのつながりの大切さを感じ取ることができる。

音楽ナタリーでは2人にインタビューを行い、新型コロナウイルスの猛威に襲われた昨年の活動のこと、そしてそこで得た力を注いで生み出された本作について話を聞いた。

取材・文 / もりひでゆき 撮影 / つぼいひろこ

レベルアップを遂げたデビュー5周年イヤー

──コアラモード.は昨年の2月にメジャーデビュー5周年を迎えました。どのような1年でしたか?

小幡康裕(Key, G, B, Dr, Programming) 去年は5周年ということで、今までの活動の集大成となるような動きを1年通して展開できたらいいなとすごく意気込んでいたんですよ。でもその出鼻を新型コロナウイルスにくじかれてしまって。とはいえ、思うように動けない状況であってもそれにへこたれず、とにかくやれることを模索していこうという気持ちで動くことにしたんですよね。最初の緊急事態宣言中にはリモートでレコーディングをして曲を作ったり、インスタライブの中で作った曲をTwitterにアップしたり。もちろん「こんなはずでは……」という思いもありつつ、やれることを必死にやり続けた1年間だったと思います。

あんにゅ(Vo, G) 11月に横浜関内ホールでワンマンライブを行うことが決まっていたので、そこを目指していろいろとやっていました。個人的なことで言うと、私は機械が苦手ということもあって、リモートでレコーディングをするのはけっこう大変だったんですよ。自宅でのレコーディング環境を整えたり、そういう部分でまず振り回されてしまったところもあって(笑)。でも結果的にワンマンも無事開催することができましたし、コアラモード.的にはしっかり成長することのできた意味のある1年でもあったなと思います。

──これまでとは違った制作手法を取り入れたことで、クリエイトに関して何か変化や気付きはありましたか?

小幡 これまでは僕の作業場に2人で集まって音を鳴らしながら曲を作るのが当たり前でしたけど、あんにゅも自分の作業スペースでパソコンを使って曲を作るようになりましたからね。何か変化はあったんじゃない?

あんにゅ(Vo, G)

あんにゅ コロナ禍に導入したいろんな機材はまだ使いこなせている状況ではないんですけど、コーラスワークを自宅で録音して作ったり、そういう変化はあります。あとはそれぞれが作る曲に関して、最初の段階からイメージが固まった状態で曲を持ち寄るようになったかな。より完成形が見えるようなデモを仕上げてくるというか。

小幡 そうだね。制作の進め方はもちろん、自分の音楽性に関して向き合う時間が多かったのも大きかったと思います。インプットの量も前より格段に増えましたし、とにかく曲を作り続けたことでお互いにレベルアップする部分は確実にあったんじゃないかな。

あんにゅ 特に小幡さんはこの1年でアレンジのクオリティと作業ペースが格段に上がりましたからね。進化してるなあってホントに思います。

小幡 この1年で得た考え方や技術は、きっとコロナ禍が明けたあとも自分たちにとっての財産になるものだと思うので大事にしていきたいです。

あんにゅ 私が機材を使いこなせるようになるのはもうちょっとかかりそうだけどね(笑)。引き続きがんばっていこうと思います。

「貫禄がでてきたね」って言ってもらえた

──先ほどお話に出たように、昨年11月にワンマンライブ「We Are Coalamode.!!2020~こりゃどーもフェスタ~」がお二人の地元の横浜で開催されました。ひさしぶりの有観客ライブはいかがでしたか?

あんにゅ ギリギリまで開催できるかどうかの判断を見極めていたので、当日を迎えられたことがとにかく幸せでした。適度に緊張はしつつ、皆さんの前で歌える喜び、感謝を堂々と伝えようという気持ちでステージに立つことができました。本当にただただうれしかったです。

小幡康裕(Key, G, B, Dr, Programming)

小幡 あんにゅはすごく落ち着いてましたけど、僕はここ数年で一番緊張しましたね(笑)。やっぱり人前で演奏する機会がものすごく減っていたから、不安もあったんですよ。もちろんライブができない間も演奏力が落ちないよう、今までよりもいい演奏ができるように練習は続けていましたけど、本番直前まではどうしてもソワソワしてしまって。楽屋の中を歩き回ってました。

あんにゅ 歩き回ってたね(笑)。1回きりの5周年ライブであり、映像に残すことも決まっていたので、そういう部分での緊張はもちろんありました。でもひさしぶりにお会いした音響さん、照明さん、スタッフの皆さんもすごくうれしそうだったので、その喜びをさらに大きなものにするために私がしっかりしなきゃなって思ったところもあったんですよ。

小幡 いざステージに出てライブが始まれば、楽しんでくれているお客さんの姿が見えて。それがものすごくうれしかったです。感染対策として声が出せない状況だったので、皆さん割れんばかりの拍手をしてくれるんですよ。「拍手ってこんなに会場に響くんだ!」と驚いてしまうくらいの音量で。5周年を迎えた僕らへの祝福と、ここから先の僕らへの期待をしっかりと感じることができたので、本当に胸に響きました。

──それによって未来への決意を新たにしたところもあったでしょうね。

小幡 そうですね。僕らは間もなく6年目を迎えようとしていますけど、ここからも皆さんに恩返しできるような活動をしていきたいと思っています。歩みを止めてはいけないなという覚悟を新たにしましたね。

あんにゅ 関内ホールでのライブのとき、スタッフの方に「貫禄がでてきたね」って言ってもらえたんですよ。「5年かかったかー」って思ったりはしましたけど(笑)、ここからはもっともっと貫禄を感じてもらえるように、しっかりと地に足をつけて活動していきたいです。

小幡 確かにここからのコアラモード.は貫禄が1つのテーマかもしれないね。

コアラモード.

世の中にあふれていても、なおそういう曲を書きたいと思った

──メジャーデビュー6周年記念日の前日である2月17日に、ニューシングル「ネモフィラ」がリリースされます。収録される3曲はそれぞれサウンドのタイプは異なりますが、どれも明確な“あなた”という対象との絆が歌われていますよね。そこにはコロナ禍の影響があったのかなと想像したんですけど。

小幡 あー、確かにコロナ禍にできた3曲だし、どれも「あなたと私」のつながりに感謝する内容ですからね。

あんにゅ 特に意識して作っていたわけではなかったですけど、去年感じたさまざまな思いがにじみ出てるところはあるかもしれません。コロナ禍から何かを得るというのは皮肉な感じがしますけど、去年は人と人とのつながりをものすごく考えた期間でもあったので、そういう部分をメッセージとして形にしたかったんだと思います。

小幡 2020年の2月、僕たちのメジャーデビュー記念日のタイミングで「あなたに会えて」という曲を配信リリースしたんですけど、それは歌詞の中で「あなたに会えてよかったわ」というフレーズを連呼する内容で。その言葉の重みが去年1年を経て、より身に染みたところもありましたからね。

あんにゅ うん。人とのつながりの大切さを歌った曲って世の中にあふれていると思うんですよ。でも、そのうえでなおそういう曲が書きたいと今は思うんですよね。だから今回のシングルはそういう3曲が集まったんだと思う。

──表題曲「ネモフィラ」はテレビアニメ「俺だけ入れる隠しダンジョン」のエンディングテーマとして書き下ろされたものですね。作詞作曲は小幡さんが手がけています。

小幡 オファーをいただいてアニメの曲を書き下ろすのが初めてだったので、どういうアプローチにするかは非常に悩みました。以前から“あなたを許す”という花言葉を持つネモフィラの花をテーマにした曲を作りたいとずっと思っていて。今回はそこから広げていった感じですね。「泥にまみれたエピソードも ひとつやふたつじゃない」という歌詞の通り、人間にはそれぞれ泥にまみれたエピソードがあるものですが、それを許し合いながら、受け入れ合いながら生きていこうというラブソングです。でも、対象は恋人でも家族でも友達でも当てはまるものになっていると思います。

──そのテーマはアニメ「俺だけ入れる隠しダンジョン」の内容からインスパイアされたものでもあるんですか?

小幡 そうですね。アニメの主人公であるノルは最初、仲間たちになかなか受け入れてもらうことができないんですよ。でもいろんな努力をすることで、みんながだんだん心を開いていってくれるという。そういう部分に僕は感銘を受けたので、そこにリンクするように歌詞を書き進めたところもありました。