- パーソナリティ
- 菅野結以
3人が大阪芸大に進学したワケ
──音楽一家で育った3人ですが、音楽系の大学には進まず大阪芸術大学に進みます。
こやま 高校に軽音楽部がなかったんですよ。でも音楽が好きやから、できひんのやったら流す側になろうと思って放送部に入って、好きな音楽を流しまくってた。放送部で年に1回、放送コンテストに作品を出品していたんです。みんながラジオ番組で応募する中、僕は映像を作ってNHKのコンテストに出したら全国大会までいけて。面白いやつを作ったんでみんなにめちゃくちゃ笑ってもらえて、「あっ、映像作るのってめちゃ面白いな」って気付いたんで「これ大学でもやりたいな」って思って映像学科に進むという。
──なるほど。しばたさんはなぜ大阪芸術大学へ?
しばた 私は中学生時代あんまり友達がいなかったんで、家のMacに入っていたPhotoshopを使って同じ学年のムカつく子の写真とかを勝手に切り抜いて加工して遊んでたんですよ。
こやま こわ。
しばた でも誰かに見せるわけじゃなく、自分で「やってやったぞ!」って満足して(笑)。その子に学校で会ったときに「お前はうちにフォトショされてるからな」って思っていました(笑)。そんなことをやっているうちにパソコンでちまちま何かを編集する作業が大好きになって、ちょうどその頃にPerfumeに出会ってミュージックビデオに衝撃を受けて。
──衝撃受けたMVって具体的にどの曲のものだったんですか?
しばた 「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」の曲をきっかけにPerfumeを好きになったんですけど、MVで言うと「ポリリズム」がすごいなあって思ったんですよ。当時あんなに合成を多用しているMVをあんまり観たことがなくて。このMVもそうですし、ほかにもPerfumeの映像でたくさん監督している関和亮さんの作品をいろいろ観ていくうちに「なんかこういうのを仕事にするのって楽しいかも」と思ったんです。自分がちまちまやってた合成の経験とかも生かせるかなって。もともとテレビっ子やったんで、映像学科を選びました。
──もりもとさんの通っていた芸術計画学科はどういうことを学ぶ学科なんですか?
もりもと 芸大ってアーティストになるのがメインなんですけど、僕がいたのは言うなれば裏方になるための学科でした。卒業したら美術館で働くときに有利になる学芸員資格っていうのを取得できるんです。
──なるほど。
もりもと で、僕は2人と違って高校生の頃は「将来は憧れのロックスターたちと肩を並べる! 絶対ドラマーとして食っていくぞ!」って思っていたし、周りにもそう言っていたんです。それで音楽系の大学とか専門学校とか見学してたんですけど、あるときふと冷静になって「あれ、なんかロックスターたちと俺、ルックスが違うな」って思って(笑)。でも気付いたときにはもう手遅れで勉強なんか全然してなかったんですよね。進路に悩んでいた頃、姉がプロデュースとかプランニングとか、作家と大衆をつなぐ人間を育成するような学科がある大学に通い始めたんですよ。でも姉が行っていた東京の大学はあまりに偏差値が高くて学力が足りなかったので、似たようなことを学べるところを探して大阪芸大を見つけたという経緯です。ロックスターにはなれなくてもやっぱり音楽は好きやし関わり続けたいなって思っていたのでその学科を選びました。そんなこともあり、音楽は趣味でやればいいかなぐらいの気持ちでした。
「ヤバイTシャツ屋さん始めるって言ったら一緒にやってくれる?」
──そんな3人が軽音サークルで出会い、こやまさんが声をかけたことからヤバイTシャツ屋さん結成に至るという。
こやま そうですね。僕はハナからバンドで食っていくなんて無理やと思っていたから、裏方に回って映像を作っていたんです。でもやっぱりバンドってカッコいいし、「僕らもMV録るようなバンドと一緒にライブをやりたいな」って思って、バンドを組むことにしたんですけど、友達はみんなすでにバンドを組んでいたし、空いてたしばたともりもとを誘いました。
もりもと 俺、一応かけもってたんだけどね(笑)。
こやま うん。でも2人を招集して、有無を言わさず結成しました。
──先輩の圧で(笑)。あえて女の子をベーシストに入れたのはなんでなんですか?
こやま まあしばたともともと仲良かったし、バンドってメンバーに女の子がいるとキャッチーじゃないですか? 神聖かまってちゃんとかホルモンとか。あとたぶん自分が作る曲に高い声が欲しかったんでしょうね。
──誘われて2人はどうだったんですか? そこは2つ返事で?
もりもと 僕は最初10-FEETをコピーしてるこやまさんのバンドでドラムを叩かせてもらって。そのときにただのモノマネやなくて、こやまさんはちゃんと自分の歌声で歌うんやなと思ったんです。
こやま いいこと言う。
もりもと まあ今のヨイショですけど(笑)。でもそれはホントに思っていたんです。そんなふうに思ってるうちに、オリジナルをやりたいという話をこやまさんから受けたので断る理由はなかったですね。オリジナルのバンドを結成しようってなったとき、しばたのほうが先に誘われてたよな?
しばた 誘うより先に「ヤバイTシャツ屋さんっていうバンドやりたいねんけど」っていう話をされました。ホンマにやるかもわからへんし、私はその話が上がるたびに「あー、そうすねー」って言ってたんですけど、ある日「ヤバイTシャツ屋さん始めるって言ったら一緒にやってくれる?」って言われて「ああ、はい」って返事を。
先輩の圧により今のスタイルに
──バンド名ありきで始めたんですね。
こやま そうですね。と言うか、実はその前にヤバTの0期生がおって、1回京都MOJOでライブしてるんです。中学の男友達3人でヤバイTシャツ屋さんっていうバンド名で。そのときから「スプラッピ スプラッパ」のカバーはやってたんですけど。
もりもと そのライブ、こやまさんから執拗に観に来てって誘われてたんですけど、お金のない大学生が京都まで行くのはちょっと厳しくて。こんなことになるならちょっと無理してでも行っておけばよかったなと後悔しています。
しばた そうやね。だってうちら1期生やし。
もりもと うん。前身バンド観とけばよかった。
こやま まあ0期生のヤバTは速攻終わったけど、バンド名はすごい気に入ってたからそのまま使うことにして。
しばた 確か「既存曲を自分の持ち曲みたいにやる」っていうコンセプトのバンドやったんやろ? うちその説明文だけ覚えてる(笑)。
こやま そうそう。正式には「他人の曲を自分の曲みたいにやる」な。Nirvanaとか「しまじろう」のテーマ曲とかをメロコアアレンジでやってた(笑)。
──オリジナル曲がこういう“ネタ”要素満載のものになったのはどうしてなんですか?
こやま 学園祭に出るためにオリジナル曲を作ろうと思っていた頃、たまたま四星球のライブを観たんですよ。そしたら金さんのメダルを作って「金メダル!」とか言ってて、「バンドでこんなふざけたことしていいんや」って思いました。もうホンマにめちゃめちゃ面白くて、自分でもこういうのをやりたいと思ったんですよね(笑)。メロコアっぽい音楽にふざけた歌詞を乗せたやつを作ってみようと思ってできたのが「ネコ飼いたい」。まあ真面目な歌を作るのが恥ずかしかったんですよね。
──こやまさんから「ネコ飼いたい」を聴かされたとき、お二人はどう思いましたか?
しばた 曲がどうと言うか、歌を歌うこと自体が好きじゃなかったんで……でも先輩と2人でスタジオに入ってその曲を教えてもらって、歌ってほしいと言われて「歌うのイヤです」とは言えなくて(笑)。
こやま しばたが「歌うのイヤや」って言ってきたの、ヤバイTシャツ屋さんを1、2年続けてからやったよな。
もりもと 僕も覚えてる。リハのときに突然しばたが「私歌いたくない!」って言い始めて。僕もそのとき初めてしばたが歌うのイヤやったんやって知った。
しばた 言ったのいつだったか全然覚えてないけど(笑)。
──それに対してこやまさんはなんて返したんですか?
こやま 「あ、そうなん?」つって(笑)。
しばた でも別にそれを言ったからといって歌割りが減るわけでもないんですよ(笑)。むしろ増えてく一方でした。
──今はどうなんですか?
しばた 今は好きです。楽しい。こやまさんが可能性を広げてくれたなって思います。こやまさんは“ミスター可能性”。
──なるほど。そうやってヤバTの今のスタイルが確立されていったんですね。
こやま はい。そうなんです。しばたの声はうちのバンドの売りやからね。これからも頼むで。
- ヤバイTシャツ屋さん「Galaxy of the Tank-top」
- 2018年1月10日発売 / UNIVERSAL SIGMA / BADASS
- CD収録曲
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- Tank-top in your heart
- ヤバみ
- DANCE ON TANSU
- 眠いオブザイヤー受賞
- 気をつけなはれや
- Universal Serial Bus
- ハッピーウェディング前ソング
- ドローン買ったのに
- ベストジーニスト賞
- メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲
- とりあえず噛む
- サークルバンドに光を
- 肩 have a good day -2018 ver.-
- 初回限定盤DVD収録内容
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「ヤバイTシャツ屋さんのたのしいフェス映像集2016-2017」
- あつまれ!パーティーピーポー(2016.12.28 COUNTDOWN JAPAN 16/17)
- ウェイウェイ大学生(2017.4.30 ARABAKI ROCK FEST. 17)
- ネコ飼いたい(2017.4.30 ARABAKI ROCK FEST. 17)
- スプラッピ スプラッパ(2017.5.5 VIVA LA ROCK 2017)
- 無線LANばり便利(2017.6.4 百万石音楽祭2017)
- Tank-top of the world(2017.7.7 京都大作戦2017)
- メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲(2017.8.26 SWEET LOVE SHOWER 2017)
- L・O・V・E タオル(2017.8.26 SWEET LOVE SHOWER 2017)
- 喜志駅周辺なんもない(2017.8.12 ROCK IN JAPAN FES. 2017)
- ヤバみ(2017.8.12 ROCK IN JAPAN FES. 2017)
特典映像:メンバーによるおもしろ実況解説
ツアー情報
ヤバイTシャツ屋さん "Galaxy of the Tank-top" TOUR 2018
- 2018年1月13日(土)広島県 広島CLUB QUATTRO
- 出演者ヤバイTシャツ屋さん / 花団
- 2018年1月14日(日)岡山県 YEBISU YA PRO
- 出演者ヤバイTシャツ屋さん / POT
- 2018年1月19日(金)熊本県 熊本B.9 V1
- 出演者ヤバイTシャツ屋さん / Dizzy Sunfist
- 2018年1月20日(土)福岡県 DRUM LOGOS
- 出演者ヤバイTシャツ屋さん / サンボマスター
- 2018年1月21日(日)長崎県 DRUM Be-7
- 出演者ヤバイTシャツ屋さん / ドラマチックアラスカ
- 2018年1月24日(水)新潟県 GOLDEN PIGS RED
- 出演者ヤバイTシャツ屋さん / ENTH
- 2018年1月28日(日)北海道 札幌PENNY LANE24
- 出演者ヤバイTシャツ屋さん / PAN
- 2018年1月30日(火)石川県 金沢EIGHT HALL
- 出演者ヤバイTシャツ屋さん / 夜の本気ダンス
- 2018年1月31日(水)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
- 出演者ヤバイTシャツ屋さん / ヒステリックパニック
- 2018年2月3日(土)香川県 高松MONSTER
- 出演者ヤバイTシャツ屋さん / 感覚ピエロ
- 2018年2月4日(日)愛媛県 WStudioREDD
- 出演者ヤバイTシャツ屋さん / BUZZ THE BEARS
- 2018年2月6日(火)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
- 出演者ヤバイTシャツ屋さん / みそっかす
- 2018年2月7日(水)京都府 KYOTO MUSE
- 出演者ヤバイTシャツ屋さん / GOOD4NOTHING
- 2018年2月10日(土)大阪府 なんばHatch
- 出演者ヤバイTシャツ屋さん / KEYTALK
- 2018年2月12日(月・祝)愛知県 DIAMOND HALL
- 出演者ヤバイTシャツ屋さん / キュウソネコカミ
- 2018年2月14日(水)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
- 出演者ヤバイTシャツ屋さん / ゆるめるモ!
- 2018年2月16日(金)岩手県 Club Change WAVE
- 出演者ヤバイTシャツ屋さん / バックドロップシンデレラ
- 2018年2月17日(土)宮城県 Rensa
- 出演者ヤバイTシャツ屋さん / NUBO
- 2018年2月19日(月)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2K
- 出演者ヤバイTシャツ屋さん / 魔法少女になり隊
- 2018年2月20日(火)群馬県 高崎clubFLEEZ
- 出演者ヤバイTシャツ屋さん / 打首獄門同好会
- 2018年2月23日(金)東京都 Zepp Tokyo
- 出演者ヤバイTシャツ屋さん / KANA-BOON
- 2018年2月24日(土)東京都 Zepp Tokyo
- 出演者ヤバイTシャツ屋さん / ROTTENGRAFFTY
ヤバイTシャツ屋さん "Galaxy of the Tank-top" TOUR 2018 ~追加ワンマン公演~
- 2018年3月12日(月)愛知県 Zepp Nagoya
- 2018年3月14日(水)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
- 2018年3月16日(金)大阪府 Zepp Osaka Bayside
- ヤバイTシャツ屋さん(ヤバイティーシャツヤサン)
- こやまたくや(G, Vo)、しばたありぼぼ(B, Vo)、もりもりもと(Dr, Cho)からなる男女ツインボーカルのスリーピースバンド。2013年10月に大阪芸術大学に通っていた3人により結成された。2015年に本格的に活動を開始し、「SUMMER SONIC 2015」の企画「出れんの!?サマソニ!?2015」では投票数が963組中2位という結果により出演権を獲得。ダイノジ大谷ノブ彦賞を受賞した。2016年は「VIVA LA ROCK 2016」を皮切りに多くのイベントに出演。王道のメロコアサウンドと秀逸なリリックがロックファンのハートをつかみ、ロックフェスやサーキットイベントでライブをした際には入場規制を連発させた。11月にフルアルバム「We love Tank-top」をユニバーサルミュージック内のレーベルUNIVERSAL SIGMAよりリリースし、メジャーデビュー。2017年4月にシングル「どうぶつえんツアー」をリリースし、5月にはワンマンツアー「“どうぶつえんツアー”ツアー 2017 ~ワンマン~」を開催。東京・新木場STUDIO COASTで行われた追加公演を含め、全公演のチケットをソールドアウトさせた。春~夏にかけては16の音楽フェスに出場。9月にはロッテ「キシリトールガム」の発売20周年記念プロジェクトのために書き下ろした楽曲「とりあえず噛む」などを収録したシングル「パイナップルせんぱい」と、新木場STUDIO COAST公演の模様を収めた初の映像作品「Tank-top of the DVD」を同時リリースし、シングルはオリコン週間シングルランキングで2位、DVDは3位を獲得した。2018年1月に2ndフルアルバム「Galaxy of the Tank-top」を発表。対バンを迎えたツアーを2カ月かけて行ったのち、追加公演として3月に東名阪のZeppでワンマンライブを実施する。
- 菅野結以(カンノユイ)
- 雑誌「LARME」「with」などで活躍するファッションモデル。10代の頃から「Popteen」「PopSister」の専属モデルを務め、カリスマモデルと称される。2010年8月に初の著書「(C)かんの」を出版し、その後最新スタイルブック「yuitopia」まで6冊の書籍を発売。アパレルブランド「Crayme,」、コスメブランド「baby+A」のプロデュースおよびディレクションを行っているほか、TOKYO FM「RADIO DRAGON -NEXT- 」、@FM「LiveFans」では豊富な音楽知識を生かしてパーソナリティを担当している。TwitterやInstagramなどSNSの総フォロワー数は約100万人におよぶ。2017年11月に初の写真集「Halation」を刊行した。