ナタリー PowerPush - BUMP OF CHICKEN

ツアーの熱を封じ込めた「firefly」誕生

ライブを重ねることで自由度がさらに増していった

──ライブハウスツアーからアリーナツアーを経て、ライブを重ねることでバンドの生のグルーヴがどんどん研ぎ澄まされていったと思うんです。そのあたりで実感していることはありますか?

藤原 1回1回リハの段階からメンバーがお互いの音をよく聴いて「ここはもっとこうできるんじゃないか?」とか「ここは良かったね」って感じたことを伝えたり、あるいは自分で自分のプレイを省みたりしながら、ライブを作り上げていったので。アレンジの引き出しもだんだん増えていったし。最初から割と演奏の自由度は高かったと思うんですけど、ライブを重ねることで自由度がさらに増していった感じがありましたね。

直井 他のメンバー3人のプレイに感動する瞬間が常にあって。秀ちゃん(升)のスネア一発でグッときて しまったり。増川くんのギターソロしかり、藤くん(藤原)のボーカルしかり、思わず「うわっ!」と思う瞬間がホントにたくさんありましたね。

増川 ライブの録音音源を毎回聴いていたんですけど、常にそのときにしかできないライブをしたなって思えたんですよね。もちろん反省点はその都度リカバリしながらも、1回1回忘れられないライブができたと思います。

 ライブハウスツアーから考えると、初めてお客さんの前で演奏する曲もたくさんあったので、ライブを重ねることで曲が持っている表情を発見し続けることができたなって思います。それぞれの曲でお客さんがどういう反応を示すのかを知ることも僕らにとって新鮮だったし「こういうふうに響くんだ!」って驚きもありました。アリーナツアーではアコースティックコーナーもあったんですけど、演奏しながらこういう曲の聴かせ方もあるんだなって学ぶような感覚がありましたね。

アコースティックステージは照れる

──アコースティックコーナーはアリーナツアーならではの試みでしたね。

 そうですね。メインステージから降りて、お客さんがいるスタンディングエリアの間を歩きながらアコースティックステージに移動するという演出も初めてで。アリーナ会場でお客さんを近くに感じられるのも新鮮でした。

──お客さんもバンドの素の状態を垣間見られる楽しさがあったと思う。

 だからアコースティックステージを「恥ずかし島」と呼んでいたんです(笑)。もちろん、演奏中は集中しているから恥ずかしさはないんですけど、音を止めてふとお客さんを見ると「近い!」みたいな(笑)。

直井 2005年の「愛・地球博」のときにプラネタリウムでアコースティックライブをやらせていただいたことはあるんですけど、自分たちのワンマンライブでアコースティックコーナーを設けるのは初めてのことだったので。個人的にはアップライトベースが弾けたのを含めて楽しくてしょうがなかったですね

──藤原さんはどうでした?

藤原 恥ずかしい、恥ずかしいって言ってもしょうがないんですけど(笑)、照れましたね。小さなライブハウスではああいう近い距離でライブをしたこともあるんですけどね。あ、そういえばライブハウスでも恥ずかしいときは恥ずかしかったなあ(笑)。

──あはははは(笑)。

藤原 でも、すごく楽しかったですよ。バンドのアンサンブル的にも良い経験になりましたし、アリーナツアーだったからこそアコースティックをやろうという発想が生まれたと思うし。よくある演出ではあると思うんですけど、「ホリデイ」なんかは、今までほとんどライブでやったことなかったから演奏できてよかったし、ツアーの途中でアコースティックの曲目を増やしてみたりもして。距離感は照れますけど、やっぱり僕らはミュージシャンですから、演奏が始まれば楽しいんですよね(笑)。

──例えば今後アコースティックオンリーのライブをやりたいという思いはありますか?

直井 ああ、なるほど。何も考えてなかった(笑)。

藤原 ライブを観た友人やお客さんからもそういう声はいただいたんです。アコースティックのセルフカバーアルバムを出してほしいとか。

──お、いいですね。

直井 みんな言うよねー(笑)。その前にまたオリジナルアルバムを出さないと!

藤原 そうなんだよね。もちろん、アコースティックライブをやるのも、アコースティックアルバムを作るのもやぶさかではないんですけど。

直井 そう、僕ら音楽が大好きですから。

藤原 けど、ただやればいいってものでもないですしね。素直な気持ちだけで言えば、すごく楽しそうだなって思います。

──これから10年、20年とバンドが続いていく中でそういう楽しみがあってもいいですよね。

藤原 うん、そうですね。可能性はないとも言えないし、楽しみは多いほうが良いですから。

BUMP OF CHICKEN(ばんぷおぶちきん)

プロフィール画像

藤原基央(Vo, G)、増川弘明(G)、直井由文(B)、升秀夫(Dr)の幼なじみ4人によって、1994年に結成。高校入学後に本格的な活動をスタートする。地元・千葉や下北沢を中心にライブを続け、1999年にインディーズからアルバム「FLAME VEIN」を発表。これが大きな話題を呼び、2000年9月にはシングル「ダイヤモンド」で待望のメジャーデビューを果たす。

その後も「jupiter」「ユグドラシル」といったアルバムがロックファンを中心に熱狂的な支持を集め、2007年には映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」主題歌に起用されたシングル「花の名」を含むメジャー3rdフルアルバム「orbital period」をリリース。2008年には全国33カ所41公演、22万人動員の大規模なツアーを成功させた。

2009年11月に両A面シングル「R.I.P. / Merry Christmas」を発表したあとは、精力的なペースで楽曲をリリース。2010年4月にシングル「HAPPY」「魔法の料理 ~君から君へ~」を、10月にシングル「宇宙飛行士への手紙 / モーターサイクル」を発売。12月には宇宙飛行士を意味する単語をタイトルに冠したアルバム「COSMONAUT」をリリースした。

さらに2011年2月には「映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 ~はばたけ天使たち~」の主題歌として書き下ろした「友達の唄」をシングルとして、5月には東日本大震災被災者を支援する「復興支援ポータルサイト」のテレビCMソング「Smile」をチャリティシングルとして発表。10月に、PSPゲームソフト「FINAL FANTASY 零式」テーマソングとして書き下ろした「ゼロ」をシングルリリースし、同年12月から2012年1月にかけて、約3年半ぶりの全国ツアー「BUMP OF CHICKEN 2011-12 TOUR『GOOD GLIDER TOUR』」を開催した。

また2012年1月には、3D映画「ALWAYS三丁目の夕日'64」の主題歌に起用されたシングル「グッドラック」を発表。さらに4月から7月にかけて全国13都市20公演のアリーナツアー「BUMP OF CHICKEN 2012 TOUR『GOLD GLIDER TOUR』」を行い、大盛況のうちに終了させる。そのツアー中に生まれた「firefly」を、9月にシングルとしてリリース。