想像してください。カイに「good morning」ってささやかれるの
──タクヤさんはいかがでしょう?
タクヤ 僕が好きなのは「Chill out @JP」です。この曲はなんと言っても、うちのカイがついにダンサーをやめたという!
──やはりこの曲のラップパート、カイさんが担当していますよね?
カイ どうも、CRAZYBOYです!
タカシ それはELLYさんのラッパー名義や。
タクヤ タカシのノリのいい歌声と、カイの耳元でささやくような優しいラップ。とろけちゃいそうですね。
タカシ ちなみに、ラスサビのフェイクもカイがやってます。
──なぜカイさんがラップをやることに?
タクヤ わからん。いつの間にか録ってたんだもん!(笑)
タカシ これもいつの間にかカイのスケジュールに入ってたよな。きっとこれまでの曲のラップや歌を聴いて、合うんじゃないかと選出されたんだと思います。
タクヤ 勝手にオーディションされてたんですよ! 「タクヤはなんかアレだし、ユーキはダメだし……」って。
ユーキ 怖っ!……って、俺を勝手にダメなリストに入れるな!(笑)
カイ (笑)。ささやきバージョンの歌も録って、それがタカシのボーカルの裏に薄く乗ったりもしてます。
タクヤ 8号車(超特急ファンの呼称)の皆さんは想像してください。カイに「good morning」ってささやかれるの。
リョウガ なんだよ、「good morning」って。「おはようございます」でいいだろ。
──(笑)。カイさんは「Добрый день」のほかにも歌のチャレンジがあったんですね。ちなみにこの曲は日本がモチーフですよね? アーバンメロウな雰囲気のミドルチューンで。
カイ そうですね。ネオシティポップというか。歌詞の内容的には、朝のイチャイチャの様子を歌ってます。
タカシ そうやな(笑)。
──なるほど(笑)。では、リョウガさんの推し曲は?
リョウガ 13曲目の「Te quiero mucho」です。ちょっと違う切り口で作詞作曲の本田光史郎さんに注目していただきたいんですけど、本田さん、μ'sの作曲を担当されてます! 「Future style」や「KiRa-KiRa Sensation!」ですね。アツいです! すいませんけど!
タクヤ それ関係あるの?(笑) この曲でも俺ら、コーラスやったね。楽しかった。
リョウガ そうね。イントロ部分の「イエー!」「ヒャッハー!」という、めちゃくちゃテンションの高い雄叫びをやらせてもらいまして。
カイ この曲のレコーディングの日は、ただワーワー騒いで帰りました(笑)。
ユーキ ノリがわかりやすい曲ですよね。
──メキシコがテーマということですが、めちゃくちゃノリのいいスカですね。
タカシ ええ、念願の初スカです。
カイ スカはタカシの声と相性いいと思う!
──では最後に、カイさんはいかがですか?
カイ 僕は「Dance Dance Dancing!」が好きです。
──この曲はアメリカがモチーフで、西海岸の風を感じるディスコポップです。全英語詞なのも特徴的ですね。
カイ きっとみんな好きだと思う! 今、ちょうどMVの演出を考えているところで。今回、「같이 가자」「Добрый день」、この曲と、3曲のMVのプロデュースを僕が担当しているんです。
──そうなんですね! 現状どんなイメージを?
カイ 「같이 가자」のMVとつながるような作品にしたくて。どうやってつなげようか、うまい方法を模索しつつ……という感じですね。
ロマンス倶楽部の正体
──今挙がらなかった曲の中で個人的に気になったのは、スイスがモチーフの……。
カイ 「Yodelic Fire」? この曲、スタッフさんの人気がめっちゃ高いんですよ。
タカシ やっぱロマンス倶楽部さんかあ。
──この曲を書いているロマンス倶楽部はこれまでも超特急のシングル曲や人気曲をいくつも手がけていますが、名前以外の情報が一切ないという謎の存在で。実はずっと気になっていました。
タカシ 僕たちも謎なんですよ。
──なんとなく、複数人の覆面ユニットなのかな?と想像をしているのですが……。
リョウガ そうかもしれない。でも、存在するかどうかもわからないんですよ。
──ホントにミステリアスなんですね。
タクヤ ミステリアス……神秘……ハッ、お前!(と、“神秘担当”のカイを見る)
カイ いや、俺“ロマクラ”さんじゃないから(笑)。
──レコーディングの現場などにも来られないんですか?
タカシ いないんですけど、「超ネバギバDANCE」のレコーディングのとき、スタジオに8人くらい謎の人物がいたことはある。だから、その中の何人かはロマクラなのかも……。
リョウガ 特定されないようにダミーの中に混ざってんの!?
一同 あはははは!
タクヤ せめて何人いるか教えてほしい(笑)。
リョウガ 超特急以外のグループに書き始めたらどうする?
タカシ そうなったら嫌やなあ……。
カイ いや、俺は超特急だけにしか書いてな……あっ!
タクヤ やっぱりお前か!!
一同 あはははは!
タカシ ご本人も、知らないところでこんなに盛り上がってるとは思わへんやろな(笑)。
──曲の話に戻ると(笑)、歌詞に詰め込まれた小ネタが楽しいですね。「ユングフラウヨッホ」という“ヨーロッパで一番高い場所にある駅”が登場したり。
タクヤ ユングフラウヨッホ、実は2020年に撮影で行く予定があったんですよ。
タカシ あとはセントバーナードとか、スイス生まれのワンちゃんが惜しげもなく出てきます。
──タカシさんはヨーデルにも挑戦していますが、ダンスボーカルグループの曲でヨーデルが聴けるとは思わなかったです。
ユーキ 確かに。
タカシ そうですよね(笑)。
──あと、「大大大地」にも触れたいです。タイトルがちょっと気になりつつ再生ボタンを押すと“どファンク”だったので驚きました。テンションの振り切れたボーカルがすごく新鮮で。
タカシ この曲は面白かったです。ものすごく色の濃いファンクなので「とことん濃くしてやろう」と、遊びをかなり入れ込みました。よく聴くとスティーヴィー・ワンダーの「I wish」っぽい要素があったり、なんというか、無駄にカッコいいんですよね(笑)。だから自分自身も「限界超えたろ」と思ったら、ああいう仕上がりになりました。
──タカシさんのパッションが炸裂していて最高でした。
タカシ あと地理の勉強をしている方は、この曲を聴いたらアフリカの地名を網羅できると思いますのでぜひ(笑)。
──ボーカルの力強さで言うと、ケルト音楽を取り入れた「Cead Mile Failte」も。アイルランドがモチーフの楽曲ですが、こちらはたくましさを感じるボーカルですね。
タカシ そうですね。あとアイルランドはギネスビールが有名なので、この曲には超特急の曲には珍しくお酒が出てくるのもポイントです!
「真面目にふざける」。それが超特急なのかな
──個性派揃いのアルバムが完成したところで、今度はこの楽曲をどうパフォーマンスしていくのかが気になるところです。
ユーキ そうですよね。現時点でイメージができている曲はまだ3、4割くらいなんですが……(取材は9月下旬に実施)。
──例えばスペインをモチーフにした「Sonrisa」にはフラメンコなど、それぞれの踊りまでパフォーマンスの要素に取り入れることは考えている?
ユーキ バランスが難しいところなんですけど、「この曲ではフィーチャーしたいな」と思ったらどんどん取り入れたいと思います。
リョウガ それか、超特急ならではの形に落とし込むか、だよね。
ユーキ そうだね。メインはそっちになると思う。モチーフとなった場所の文化はしっかりリスペクトしつつ、自分たちの形を軸にすると思います。
──皆さんのパフォーマンスには確かに“超特急の形”があると思いますが、メンバー自身はその“らしさ”をどのように認識しているのでしょう。
タクヤ うまく説明できないんですけど……例えば「CARNAVAL」の振り入れのときにあった出来事で、先生には「踊り出しは笑顔で」と言われたんだけど、僕は「違うな」と思った。真顔でスタートして、次のアクションで1人ずつ変顔をしていくほうがいいと思って、そう提案したんです。それは、そのほうが超特急らしいと思ったからなんですよね。みんなの中に要所要所でこだわりが出てくるんです。それは細かなニュアンスだったりするんですけど。
──漠然としながらも確かにある“超特急らしさ”の概念を、メンバーが共有している感覚があるんですね。
ユーキ そうですね。言ってしまえば、「真面目にふざける」。それが超特急なのかなとも思います。
次のページ »
始まりの場所に戻ってきただけなのかもしれない