「満月の夕」には本人の力が必要だった
──カバーと言えば、本作の最後を飾るのは「満月の夕」(ソウル・フラワー・ユニオンの中川敬とHEATWAVEの山口洋が阪神淡路大震災をきっかけに共作した楽曲)です。この曲をカバーしたことに関して、改めて意味合いを教えてもらえますか?
23年前の歌をさ、俺たちが今の震災に合わせて歌ってるんだよね。東日本大震災が起きたことで、この何年かでこの歌が説得力を持ってしまったから、これは今の時代に残しておかないと意味がないなあと思って。こういう歌い継がれる歌は、また震災が起きたときに、次の世代の誰かがもっといいアレンジでやればいいと思うし。自分たちの歌は基本的には自分たちでしか歌えないように作っているものだから、歌い継がれたいとは思っていないけど、普遍性だったり、時代性だったり、伝承する力がある歌は、歌い継がれるべきだと思ってる。
──そこに、うつみようこさん、中川さん、山口さんという、“本家”の皆さんもゲスト参加していて。
でもうつみは、この歌をレコーディングするのは初めてで。中川と山口の関係性も、これがなかったら2人で歌うっていうことはあり得なかったと思う。だって当初はソウル・フラワー・ユニオンバージョンと、HEATWAVEバージョンと2バージョンあったわけで。そういう中で、あの2人のバージョンを勝手に混ぜさせてもらったものが今の「満月の夕」だと思ってる。それは、俺ががれきの中から見たいろんなものの答えだし、がれきの外で戦ってる人たちと会ってわかった答えでもあるし。だから、今の時代の「満月の夕」を残すべきじゃないかと思ったの。それを鳴らすうえで、本人たちがやるのが一番説得力あるでしょ。
──いろんな物語が含まれているんですよね。もともとは中川さんと山口さんの共作曲だったのに、それぞれのバージョンを歌うようになり、共演も、BRAHMANが出演してお二人を引き合わせたテレビ番組「The Covers」が貴重な機会だったという。
だから、厄介な歌だと思うよ。もともと阪神淡路大震災から生まれて、2つのバージョンになって、それぞれ強い信念を持って歌っていて、下手すりゃぶつかり合ったままだったかもしれない。でも次の世代のためには、そういうことをしていてもしょうがないじゃん。しかもこの歌は、地震があって、その1カ月後くらいに大っきい満月が出て、また地震が来るんじゃないかって怖がってる人たちに対して歌われたっていう経緯があって。そういう歌の意味を今のものとして上塗りするのってめちゃくちゃ難しいじゃん。でも上塗りできる方法が1つだけあって、本人が歌うっていう。だから俺たちには、本人の力が必要だったんだよ。でも実際は、俺が一番今ちゃんと「満月の夕」を歌えてるとは思ってる、中川敬や山口洋よりね。
──(笑)。それ、ご本人たちには……。
はい、言うよ! すっごい怒られるけど(笑)。でも、そんぐらいの思いでぶつかっていかねえと、新しくカバーする意味がないじゃん。
──確かにそうですね。この歌をまたライブで一緒に歌う姿が観たいですし、願わくば「怒涛の彼方」もスカパラと共演してほしいですね。
ステージにおじさんが増えるっていう(笑)。そういう、まだやったことがない、ワクワクすることがいっぱいあって。それは、自分たちが閉鎖的に活動していた時代があったからこそだと思っている。二十代からいろんな人とセッションしている子たちもいるけど、俺たちはそうじゃなかったから。でも遅ればせながら、今はすごく楽しいよ。
──そして今作のリリースの2日後には、初の日本武道館ワンマンライブがありますね。
気持ちとしてはさあ、ANTIKNOCKでも武道館でもどこでも変わらないけど、会場の形状は違うんだよね。そこは最大限楽しみたいっていうのはあるよ。ただ、自分たちの根っこは忘れちゃいけないとは思っていて。要は、いきなりスタジアムバンドのふりをしても無理なんだよ。でも、汗臭いライブハウスの選手としてなら、どこでも戦うことができるからね。
- BRAHMAN「梵唄 -bonbai-」
- 2018年2月7日発売 / TOY'S FACTORY
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初回限定盤 [CD+DVD]
3980円 / TFCC-86632 -
通常盤 [CD]
2800円 / TFCC-86633 -
アナログ盤 [アナログ]
3000円 / TFJC-38031
- CD収録曲
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- 真善美
- 雷同
- EVERMORE FOREVER MORE
- AFTER-SENSATION
- 其限
- 今夜
- 守破離
- 怒涛の彼方
- 不倶戴天
- ナミノウタゲ
- 天馬空を行く
- 満月の夕
- 初回限定盤DVD収録内容
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- FOR ONE'S LIFE
- BASIS
- SHADOW PLAY
- DEEP
- BOX
- BEYOND THE MOUNTAIN
- DOUBLE-BLIND DOCUMENTS
- CIRCLE BACK
- SHOW
- 其限
- 遠国
- THE VOID
- LOSE ALL
- A WHITE DEEP MORNING
- 逆光
- FIBS IN THE HANDS
- THE ONLY WAY
- SPECULATION
- EPIGRAM
- CAUSATION
- 鼎の問
- 初期衝動
- 賽の河原
- 今際の際
- 露命
- 空谷の跫音
- 終夜
- ARRIVAL TIME
- 汀に咲く
- 警醒
- 霹靂
- 八面玲瓏
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- 2018年2月9日(金)東京都 日本武道館
- BRAHMAN「梵唄 -bonbai-」ツアー
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- 2018年3月3日(土)山口県 周南RISING HALL
- 2018年3月4日(日)広島県 広島CLUB QUATTRO
- 2018年3月7日(水)京都府 KYOTO MUSE
- 2018年3月9日(金)新潟県 NIIGATA LOTS
- 2018年3月17日(土)北海道 Zepp Sapporo
- 2018年3月21日(水・祝)大阪府 なんばHatch
- 2018年3月23日(金)石川県 金沢EIGHT HALL
- 2018年3月24日(土)富山県 MAIRO
- 2018年3月26日(月)奈良県 奈良NEVER LAND
- 2018年3月29日(木)和歌山県 SHELTER
- 2018年3月31日(土)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
- 2018年4月1日(日)鳥取県 米子 AZTiC laughs
- 2018年4月4日(水)高知県 X-pt.
- 2018年4月6日(金)香川県 高松festhalle
- 2018年4月8日(日)愛媛県 WStudioRED
- 2018年4月10日(火)兵庫県 チキンジョージ
- 2018年4月11日(水)滋賀県 滋賀U★STONE
- 2018年4月17日(火)鹿児島県 CAPARVO HALL
- 2018年4月19日(木)熊本県 熊本B.9 V1
- 2018年4月21日(土)福岡県 DRUM LOGOS
- 2018年4月23日(月)岐阜県 CLUB ROOTS
- 2018年4月25日(水)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
- 2018年5月8日(火)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2018年5月10日(木)群馬県 高崎clubFLEEZ
- 2018年5月24日(木)山形県 山形ミュージック昭和Session
- 2018年5月26日(土)青森県 青森Quarter
- 2018年5月27日(日)秋田県 Club SWINDLE
- 2018年5月29日(火)岩手県 Club Change WAVE
- 2018年5月31日(木)福島県 郡山HIP SHOT JAPAN
- 2018年6月2日(土) 宮城県 SENDAI GIGS
- 2018年6月5日(火)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
- 2018年6月7日(木)埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
- 2018年6月9日(土)愛知県 Zepp Nagoya
- 2018年6月10日(日)静岡県 SOUND SHOWER ark
- 2018年6月13日(水)東京都 Zepp Tokyo
- 2018年6月14日(木)東京都 Zepp Tokyo
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- BRAHMAN(ブラフマン)
- 1995年に東京で結成された4人組ロック / パンクバンド。ハードコアと民族音楽をベースにしたサウンドを特徴とする。1996年に初めての作品として「grope our way」をリリース。1998年に発表した1stアルバム「A MAN OF THE WORLD」はトータル60万枚以上のセールスを誇り、90年代後半に1つの社会現象になったパンクムーブメントにて絶大なる人気を集める。2011年3月11日の東日本大震災以降よりライブ中にMCを行うようになり、震災の復興支援を目的とした活動を積極的に展開。2011年9月にシングル「霹靂」、2012年9月にシングル「露命」を発表し、いずれも強いメッセージと圧巻のサウンドがリスナーに受け入れられた。2013年2月に5年ぶりとなるアルバム「超克」をリリース。結成20周年の2015年にはベストアルバム「尽未来際」のリリース、千葉・幕張メッセで開催したライブイベント「尽未来祭」を含むライブシリーズ「尽未来際」の開催、初のドキュメンタリー映画「ブラフマン」公開などの活動を展開した。2017年10月には映画「あゝ、荒野」主題歌を含むシングル「今夜 / ナミノウタゲ」をリリース。2018年2月に約5年ぶりのフルアルバム「梵唄 -bonbai-」を発表し、初の東京・日本武道館ワンマンライブを開催する。