BRAHMANが約5年ぶりとなるフルアルバム「梵唄 -bonbai-」を2月7日にリリースした。
この5年の間、新曲発表や全国ツアーなどを休む間もなく続けつつ、結成20周年イベント「尽未来祭」の開催や映画主題歌の提供、ドキュメンタリー映画「ブラフマン」への出演といった新たな挑戦にも取り組んできたBRAHMAN。今回のアルバムは、そんな彼らの歩みがさまざまな形で現れた作品と言えそうだ。本作に込めた思いについて、TOSHI-LOW(Vo)に話を聞いた。
取材・文 / 高橋美穂 インタビュー撮影 / 西槇太一
自分の感情に対し開かれた、素直な作品
──「梵唄 -bonbai-」聴かせていただきましたが、BRAHMANのこれまでのアルバム以上にいろいろな楽曲が入っていて、なかなかひと言では形容しがたい印象でした。そこで熟考した末に「人間っぽいアルバム」という結論が出てきたんですが……ざっくりしすぎですかね?
いや、本当に、その通りだと思います(笑)。俺たちも鋭さみたいなものを求めた時期もあるし、そういう部分は今でもないわけではないんだよ。ただ「梵唄 -bonbai-」はより自分の感情に対し開かれた、素直な作品になったかなあと。それは(今作までの間に)そういう活動をしていたからだろうし。自分が「BRAHMANのTOSHI-LOW」っていう……よくわかんない英語表記ではない、本来の自分とも付き合ってきたから「梵唄 -bonbai-」を作っている期間が過ごせたんじゃないかなって思う。
──これまでBRAHMANのTOSHI-LOWさんと、社会で生きるいち人間としてのTOSHI-LOWさんが乖離していた時期もあったんですか?
乖離はしていないんだけど、社会から離れたところにいることで創作心が沸き立つ時期もあったと思う。ただ、結局は社会からも人からも逃れられなかった。それは自分の中の変化と言うよりは、歳を重ねていけば受け入れざるを得ない状況だったと言うか。知ってるとは思うけど、例えば二十代の俺の精神のまんまで子供を保育園に迎えには行けないのだよ。
──でしょうね(笑)。
「お世話になっております、ありがとうございます!」って、こっちだってニコニコして行くしさ。でも、それが嫌なわけじゃないのよ。心からそう言えるようになったんだよね。
人間になるための自分たちの理想がある
──1曲目の「真善美」から、「人間らしさ」っていうものを感じたんですよね。この言葉って、生きるうえでの究極の理想じゃないですか。
理想って、夢物語じゃないから。理想を形にするために生きているわけだから、こういう言葉が引っかかってこないと、自分が死んでしまうよね。生きていれば誰でも「人間っぽい」っていうことを確かめていかなければいけないわけで。それは厄介と言うか、苦痛な作業だよね。そういう意味で「人間っぽい」って言うんだったらうれしい。ただ単に感情をぶちまけてるっていうことじゃなくね。やっぱ、人間はほかの畜生ではなく、人間にならなきゃいけないんだと思う。本能はあるよ。でもそれならレイプや殺し合い、奪い合いをしていいか? そうじゃないよね。人間になるための自分たちの理想があって、それが「真善美」じゃないの?っていう。
──また、優しいトラックと熱い歌詞のコントラストが鮮やかで、この一筋縄ではいかないところもBRAHMANらしいですね。
楽曲が歪んでなきゃいけないとか、速くなきゃいけないとか、そういう自分たちの音楽に対する固定概念はどんどん減ってきていて。じゃあ、何をもって「いっせーのせ」で合わせるのかって言うと、熱量だと思う。アンバランスに聴こえるかもしれないけど、どちらにも熱量はあるから、俺たちにはすごくしっくりきているよ。
──2曲目の「雷同」の、攻めに攻める曲調の中のポップなサビも、アンバランスなようでいて、BRAHMANとしてはしっくりくる感じなんでしょうか。
もともと自分たちの中に、本家本元になりきれない“ニセモン感”っていうのがあって。若いときはそれを自分たちの弱さだと思っていたけれど、今となれば、それすら自分たちの武器だと思えるんだよね。どっか素っ頓狂な感じと言うか、すげえ怒ってるのに笑っちゃう感じとかあるでしょ? そういう感じ。ただ、奇をてらってそういうものを作ろうと思っているわけじゃないんだけどさ。自分たちのそういう武器をわかっていれば、すげえ勢いで猛ダッシュしている途中にスキップする、みたいな曲もできるじゃない?
──4曲目の「AFTER-SENSATION」も、そのお話に通じるような楽曲で。リズムが急に変わりますよね。
自分たちながら変な曲だなあと思う。でも、正統派のストレートパンクロックです、なんて思ってないし。初めからそういうバンドになりたいと思っていたわけでもないし。誰もやったことなくて、激しくて、でも切なくて、心がガーってなるけど、どこかスッとするようなことがやりたかったから……それらは矛盾することなのかもしれない、あきらめるべきなのかなって思ったこともあったけど、自分たちは「なりたいものになろうとしてる」ってことが、このアルバムができた瞬間にわかったって言うか。
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“ラッパの最高峰”にお願いした「怒涛の彼方」
- BRAHMAN「梵唄 -bonbai-」
- 2018年2月7日発売 / TOY'S FACTORY
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初回限定盤 [CD+DVD]
3980円 / TFCC-86632 -
通常盤 [CD]
2800円 / TFCC-86633 -
アナログ盤 [アナログ]
3000円 / TFJC-38031
- CD収録曲
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- 真善美
- 雷同
- EVERMORE FOREVER MORE
- AFTER-SENSATION
- 其限
- 今夜
- 守破離
- 怒涛の彼方
- 不倶戴天
- ナミノウタゲ
- 天馬空を行く
- 満月の夕
- 初回限定盤DVD収録内容
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- FOR ONE'S LIFE
- BASIS
- SHADOW PLAY
- DEEP
- BOX
- BEYOND THE MOUNTAIN
- DOUBLE-BLIND DOCUMENTS
- CIRCLE BACK
- SHOW
- 其限
- 遠国
- THE VOID
- LOSE ALL
- A WHITE DEEP MORNING
- 逆光
- FIBS IN THE HANDS
- THE ONLY WAY
- SPECULATION
- EPIGRAM
- CAUSATION
- 鼎の問
- 初期衝動
- 賽の河原
- 今際の際
- 露命
- 空谷の跫音
- 終夜
- ARRIVAL TIME
- 汀に咲く
- 警醒
- 霹靂
- 八面玲瓏
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- 2018年2月9日(金)東京都 日本武道館
- BRAHMAN「梵唄 -bonbai-」ツアー
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- 2018年3月3日(土)山口県 周南RISING HALL
- 2018年3月4日(日)広島県 広島CLUB QUATTRO
- 2018年3月7日(水)京都府 KYOTO MUSE
- 2018年3月9日(金)新潟県 NIIGATA LOTS
- 2018年3月17日(土)北海道 Zepp Sapporo
- 2018年3月21日(水・祝)大阪府 なんばHatch
- 2018年3月23日(金)石川県 金沢EIGHT HALL
- 2018年3月24日(土)富山県 MAIRO
- 2018年3月26日(月)奈良県 奈良NEVER LAND
- 2018年3月29日(木)和歌山県 SHELTER
- 2018年3月31日(土)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
- 2018年4月1日(日)鳥取県 米子 AZTiC laughs
- 2018年4月4日(水)高知県 X-pt.
- 2018年4月6日(金)香川県 高松festhalle
- 2018年4月8日(日)愛媛県 WStudioRED
- 2018年4月10日(火)兵庫県 チキンジョージ
- 2018年4月11日(水)滋賀県 滋賀U★STONE
- 2018年4月17日(火)鹿児島県 CAPARVO HALL
- 2018年4月19日(木)熊本県 熊本B.9 V1
- 2018年4月21日(土)福岡県 DRUM LOGOS
- 2018年4月23日(月)岐阜県 CLUB ROOTS
- 2018年4月25日(水)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
- 2018年5月8日(火)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2018年5月10日(木)群馬県 高崎clubFLEEZ
- 2018年5月24日(木)山形県 山形ミュージック昭和Session
- 2018年5月26日(土)青森県 青森Quarter
- 2018年5月27日(日)秋田県 Club SWINDLE
- 2018年5月29日(火)岩手県 Club Change WAVE
- 2018年5月31日(木)福島県 郡山HIP SHOT JAPAN
- 2018年6月2日(土) 宮城県 SENDAI GIGS
- 2018年6月5日(火)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
- 2018年6月7日(木)埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
- 2018年6月9日(土)愛知県 Zepp Nagoya
- 2018年6月10日(日)静岡県 SOUND SHOWER ark
- 2018年6月13日(水)東京都 Zepp Tokyo
- 2018年6月14日(木)東京都 Zepp Tokyo
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- BRAHMAN(ブラフマン)
- 1995年に東京で結成された4人組ロック / パンクバンド。ハードコアと民族音楽をベースにしたサウンドを特徴とする。1996年に初めての作品として「grope our way」をリリース。1998年に発表した1stアルバム「A MAN OF THE WORLD」はトータル60万枚以上のセールスを誇り、90年代後半に1つの社会現象になったパンクムーブメントにて絶大なる人気を集める。2011年3月11日の東日本大震災以降よりライブ中にMCを行うようになり、震災の復興支援を目的とした活動を積極的に展開。2011年9月にシングル「霹靂」、2012年9月にシングル「露命」を発表し、いずれも強いメッセージと圧巻のサウンドがリスナーに受け入れられた。2013年2月に5年ぶりとなるアルバム「超克」をリリース。結成20周年の2015年にはベストアルバム「尽未来際」のリリース、千葉・幕張メッセで開催したライブイベント「尽未来祭」を含むライブシリーズ「尽未来際」の開催、初のドキュメンタリー映画「ブラフマン」公開などの活動を展開した。2017年10月には映画「あゝ、荒野」主題歌を含むシングル「今夜 / ナミノウタゲ」をリリース。2018年2月に約5年ぶりのフルアルバム「梵唄 -bonbai-」を発表し、初の東京・日本武道館ワンマンライブを開催する。