音楽ナタリー Power Push - Bowline 2015 curated by クリープハイプ & TOWER RECORDS
尾崎世界観(クリープハイプ)×峯田和伸(銀杏BOYZ)憧れの昔と相思相愛の今
タワーレコード主催のライブイベント「Bowline」が9月26、27日に千葉・幕張メッセ、10月12日に大阪・Zepp Nambaにて行われる。「Bowline」は、毎回1組のアーティストをキュレーターとして起用し、彼らと、彼らが選定したアーティストがライブを行うというイベント。今回は26日公演でDragon Ash、27日公演でクリープハイプ、10月12日公演でHEY-SMITHがそれぞれキュレーターを務めることになった。
音楽ナタリーではこのイベントの開催を記念して、クリープハイプがキュレーターを務める27日公演にフィーチャーした特集を展開。銀杏BOYZ、私立恵比寿中学、東京スカパラダイスオーケストラ、04 Limited Sazabys、フジファブリック、miwaといった出演者の中から、クリープハイプの尾崎世界観(Vo, G)が選定した2組のアーティストとの対談を2回にわたってお届けする。
04 Limited SazabysのGEN(B, Vo)に続く2回目の対談相手は銀杏BOYZの峯田和伸。似た者同士の2人は「Bowline」への意気込みや互いの魅力などをたっぷりと語ってくれた。最後には全出演者のコメントも掲載しているので、あわせて楽しんでほしい。
取材・文 / 小林千絵 撮影 / 小坂茂雄
今、幕張メッセって文字が見えたんですけどホント?
──まずはクリープハイプが「Bowline」に銀杏BOYZを呼んだ理由を聞かせてもらってもいいですか?
尾崎世界観 僕がGOING STEADYと銀杏BOYZのファンなので、クリープハイプファンの人たちに観てほしいっていう単純な理由です。自分がずっとファンで観てたアーティストを、自分のファンにも観てもらいたいなと。
峯田和伸 うれしいですね。
──これまでに競演は?
尾崎 弾き語りではありますよね。
峯田 でもクリープハイプ名義、銀杏BOYZ名義での対バンはないですね。……え! 今、幕張メッセって文字が見えたんですけどホント? ビックリした。オファーのメールで会場までは見てなかった。
尾崎 ははは(笑)。
峯田 僕、幕張メッセなんて立てると思わなかったんで楽しみです。
尾崎 確かにGOING STEADYも銀杏BOYZも大きい会場でやらなかったですよね。大きい会場でやってくれないからずっとチケット取れなかったんですよ。昔からこういうところでやってくれたらもっとライブ観れたのに(笑)。
──初めての幕張メッセでのライブだということが今わかったわけですが、率直にどんな気持ちですか?
峯田 まったく絵が浮かばないですね。僕が幼稚園児だったときに東京ディズニーランドができて、家族で行ったんですよ。雨が降ってて、それでもすごく混んでて。長靴買ってもらったんですけど、その売店も混んでて。おばあちゃんと手をつないで並んで買ったのを思い出しました。そんくらいの気持ちってことです(笑)。
尾崎 幕張メッセとディズニーランド、場所も近いですしね(笑)。さいたまスーパーアリーナとかもそうですけど、ああいう大きい会場はドキドキしますね。建物の感じがたまらないです。冷たい感じがなんかいいんですよね。建物に温度がない分、人の熱気が伝わってくる。ライブしてて気持ちが盛り上がります。
峯田 へえ。
尾崎 峯田さんは幕張メッセにライブを観に行ったこともないですか?
峯田 ないですね。
尾崎 銀杏BOYZがフェスに出てるところを生で観たかったです。「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」に出ていたときは観に行けなくて。神奈川・CLUB CITTA'とか東京・LIQUIDROOMにはライブを観に行ったんですけど、もっと大勢、何万人の前で演奏する銀杏BOYZを生で観たいなって思ってたので、それを自分たちのイベントで叶えられるっていうのはすごくうれしいですね。
峯田 アーティストからそうやって思っていただけるなんて感無量ですね。
クリープハイプはGOING STEADYの空気感を継承している
峯田 自分は銀杏BOYZの前にGOING STEADYっていうバンドをやってて、2001年に2枚目のアルバム「さくらの唄」を出して終わったんです。そのときGOING STEADYが持ってた雰囲気とか空気感は置きっぱなしで。クリープハイプはその空気感をまとって、それをさらに新しい段階にまで持っていって、若い人たちに伝えてるなっていう気がするんです。それは僕らだけで作った空気感ではなくて、僕の上の世代のバンドたちが作ってきたものでもあって、それが継承されてるなって僕は勝手に思ってます。だから、クリープハイプのことはどこかで弟を見守ってる感じっていうのがあって。銀杏BOYZのことを好きなお客さんも、クリープハイプのライブを観て「新しいことが始まってる」っていうことを感じてほしいですね。
尾崎 うれしいですね。今の峯田さんのセリフ、2回掲載してください(笑)。峯田さんからそう思ってもらえているのなら、やっててよかったなと思います。クリープハイプはGOING STEADYとか銀杏BOYZとかにすごく影響を受けているので、本当にGOING STEADYの残した空気感を伝えられていたらいいなと思います。僕は特に中学生から高校生にかけてGOING STEADYをすごく聴いてたんです。中でも代々木公園のフリーライブが印象的で。観に行ってたんですけど。
峯田 へえ!
尾崎 でもその日、どうしても外せない家の用事があって、GOING STEADYが1曲しか聴けなかったんですよ。ほかのバンドが出ることを知らなくて。CDに入ってたチラシの時間通りに行ったんですけど、LINKとマグネットコーティングがライブをやってたんです。2組が終わった時点ですでに用事に1時間くらい遅れてたんですけど、ここまで来たらGOING STEADYを1曲は観ないと気が済まないと思って。1曲観て、もう1曲観ちゃおうかなと思ってたらそのとき柵が壊れたんですよね。それでもう断念して、弟と落ち込みながら駅のほうへ帰ってるときに遠くからものすごい歓声が聞こえて。歓声の量もすごかったし、異様な空気だった。そんなライブ観たことなくて。そのあと同じ会場にライブを観に行ったんですけど、あのときとは全然雰囲気が違いましたし。あれが“ライブ”だなと思いました。
──尾崎さんの理想のライブ像みたいな。
尾崎 そう。フェスに何回も出させてもらってるんですけど、フェスでもあの感じをまだ味わったことがなくて。自分のステージでも、人のステージでも。「Bowline」の銀杏BOYZのステージでまたあれが観れるかもしれないって思うとドキドキします。楽しみですね。
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Bowline 2015
TOWER RECORDS presents Bowline 2015 curated by Dragon Ash & TOWER RECORDS
2015年9月26日(土)
千葉県 幕張メッセ国際展示場9~11ホール
OPEN 9:30 / START 11:00
出演者
Dragon Ash / AIR SWELL / Xmas Eileen / group_inou / the telephones / 四星球 / SUPER SONICS / SPECIAL OTHERS / 10-FEET / TOTALFAT / MAN WITH A MISSION / 山嵐 / ROTTENGRAFFTY / wrong city(オープニングアクト)
TOWER RECORDS presents Bowline 2015 curated by クリープハイプ & TOWER RECORDS
2015年9月27日(日)
千葉県 幕張メッセ国際展示場9~11ホール
OPEN 10:30 / START 12:00
出演者
クリープハイプ / indigo la End / きのこ帝国 / 銀杏BOYZ / 私立恵比寿中学 / ストレイテナー / 東京スカパラダイスオーケストラ / 04 Limited Sazabys / フジファブリック / BLUE ENCOUNT / miwa / go!go!vanillas(Warning Act)
TOWER RECORDS presents Bowline 2015 curated by HEY-SMITH & TOWER RECORDS
2015年10月12日(月・祝)
大阪府 Zepp Namba
OPEN 12:30 / START 13:30
出演者
HEY-SMITH / グッドモーニングアメリカ / DUB 4 REASON / PUFFY / POTSHOT / LIFE IS GROOVE / and more
クリープハイプ
尾崎世界観(Vo, G)、長谷川カオナシ(B)、小川幸慈(G)、小泉拓(Dr)からなる4人組バンド。2001年に結成し、2009年に現メンバーで活動を開始する。2012年4月にアルバム「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」をメジャーレーベルからリリースし、同年10月に発表した1stシングル「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」がオリコンCDシングル週間ランキングで初週7位にランクイン。2013年5月の3rdシングル「憂、燦々(ゆう、さんさん)」は資生堂「アネッサ」のCMソングに採用された。2014年12月に3rdアルバム「一つになれないなら、せめて二つだけでいよう」をリリースした。2015年9月には明星「一平ちゃん 夜店の焼そば」のテレビCM曲「リバーシブルー」を含むシングルを発表する。
銀杏BOYZ(ギンナンボーイズ)
2003年1月、GOING STEADYを解散後に峯田和伸(Vo, G)が、ソロ名義で銀杏BOYZを始動させる。のちに同じくGOING STEADYの安孫子真哉(B)、村井守(Dr)と、新メンバーのチン中村(G)を加え、2003年5月から本格的にバンドとしての活動を開始。2005年1月にアルバム「君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命」と「DOOR」を2枚同時に発売する。続くツアーやフェス出演では骨折、延期など多くの事件を巻き起こした。その後も作品のリリースを重ねていたが、2011年夏のツアーを最後にライブ活動を休止。しばしの沈黙を経て2014年1月に約9年ぶりとなるニューアルバム「光のなかに立っていてね」とライブリミックスアルバム「BEACH」を2枚同時リリースした。チン、安孫子、村井はアルバムの完成に前後してバンドを脱退しており、現在は峯田1人で活動を行っている。
2015年10月8日更新