BeckとDAOKOによる貴重なコラボレーションが実現。Beckのニューアルバム「Colors」の収録曲「Up All Night」にDAOKOが参加した「Up All Night × DAOKO」が完成し、11月24日にリリースされた。カラフルかつポップな「Up All Night」に日本語のラップが加わり、Beck自身も「深みと広がりが出て、新しい生命観が宿った」と絶賛する仕上がりになっている。
世代と国境を超えた今回のコラボレーションに際し、BeckとDAOKOの対談が実現。「Up All Night × DAOKO」の制作、アルバム「Colors」のコンセプト、お互いの印象などについてたっぷりと語ってもらった。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 中野敬久 通訳 / 染谷和美
ライブでどんどんやれるアルバムを意識した「Colors」
──音楽ナタリーという音楽情報サイトの取材になります。
Beck (DAOKO×岡村靖幸の対談記事を見て)この男性アーティストはどんな人?
DAOKO 岡村靖幸さん。日本のプリンスです。
Beck ホントに? すごい!
──まずはBeckさんの日本公演について聞かせてください。僕も日本武道館のライブを観ましたが、オールタイムベストと言うべき素晴らしいステージでした。
Beck ありがとう。新木場STUDIO COASTでのライブもよかったよ。会場がそこまで大きくなくて、すごく盛り上がった。
DAOKO 武道館とはセットリストが違ったんですよね。
Beck 「Colors」の新曲をかなりやったからね。今までで一番多く新曲をやったライブじゃないかな。こんな感じだったよ(Instagramにアップしたライブの様子をスマートフォンで見せる)。
DAOKO 「I'm so free」ですね! この曲、すごく好きです。
Beck 「ライブでこういう感じになったらいいな」と想像していたことが実現したね。
──アルバム「Colors」はライブで盛り上がりそうな曲が揃ってますよね。
Beck そう、ライブでどんどんやれるアルバムが欲しかったから。それは制作中もずっと意識してたんだよね。スタジオとライブって、全然空気が違うでしょ?
DAOKO そうですね。お客さんを目の前にするとまったく違うものになるから。私は武道館のライブを観たんですけど、すごくよかったです。昔の曲もたくさんやってくれたじゃないですか。今までのアルバムの中からバランスよく選曲してくれて。去年の夏に「Wow」がYouTubeで公開されてから、ずっと大好きだったんですよ。やっと生で聴けたからうれしかったです。
Beck 「Wow」みたいな曲、もっとやったほうがいいと思う?
DAOKO はい! ああいう感じの曲をもっと聴きたいです。胸がキュンとなると言うか、切ないんだけど、すごく踊れて。
Beck ありがとう。「Wow」みたいな曲はけっこう作っていたんだけど、あまり出してなかったんだよね。今までの僕の音楽とはちょっと毛色が違うかなと思って。
DAOKO そうなんですね。新曲をもっと聴きたかったから、COASTにも行きたかったです。
Beck また来年ね(笑)。
「Midnite Vultures」はAphex Twinにプロデュースしてほしかった
──アルバムのリードトラック「Up All Night」で2人のコラボレーションが実現したわけですが、それ以前はお互いに対してどんな印象を持っていましたか?
Beck レコードストアでいろんなアルバムを見ていたときに、彼女の作品があったんだよね。それが印象に残っていて。
DAOKO え、そうなんですか? 私はもともとBeckさんの音楽がすごく好きで。去年の「FUJI ROCK FESTIVAL」にもBeckさんのライブを観るために行ったんですけど、バスで移動していたら間に合わなくて。
Beck バス?
DAOKO そうなんです。思った以上に時間がかかってしまって、Squarepusherだけ観て帰りました。
Beck (Squarepusherを聞き違えて)Skrillex、いいよね。彼、今日本にいるよ。たまたま会って、「何やってるの?」って聞いたら「遊びに来た」って(笑)。東京が好きなんだよね、彼は。で、Skrillexのライブはどうだった?
DAOKO えっと、私が観たのはSquarepusherです。
Beck あ、ごめん(笑)。ちなみにSkrillexは好き?
DAOKO 好きです。ダブステップが出始めた頃に聴いて、音圧のすごさにビックリして。しばらく聴いてましたね。
Beck じゃあ、Aphex Twinは知ってる? そのあたりの音楽の父親的な存在なんだけど。
DAOKO もちろん知ってます。
Beck 実は「Midnite Vultures」は彼にプロデュースしてもらいたかったんだ。Aphex Twinの「Windowlicker」が出たときに、こういう音でやってみたいと思って。でも、うまくタイミングが合わなかったんだよね。バスに乗り遅れた(笑)。
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「Up All Night」は“1曲でグレイテストヒッツ状態”
- Beck「Up All Night × DAOKO」
- 2017年11月24日発売
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250円
- Beck(ベック)
- 1970年生まれ、アメリカ・ロサンゼルス出身の男性アーティスト。1994年発表のデビューアルバム「Mellow Gold」がロングセラーとなり、1996年リリースのアルバム「Odelay」でグラミー賞2部門を受賞。フォークやヒップホップ、ソウル、ブルース、カントリー、ノイズミュージックなど多様なジャンルを独自の感性で融合させた実験的ながらポップでキャッチーなサウンドは、世界中に多くのフォロワーを生み、同作は1990年代のロックを代表する1枚に数えられるようになった。その後、同じ路線を踏襲せずに「Mutations」「Midnite Vultures」「Sea Change」「Guero」などアルバムごとに異なるアプローチの作品を発表。2014年発売の「Morning Phase」はグラミー賞において「最優秀アルバム」「最優秀ロックアルバム」「最優秀エンジニアドアルバム」の3部門を獲得した。2016年7月の「FUJI ROCK FESTIVAL '16」で約7年ぶりの来日を果たし、翌2017年10月にはアルバム「Colors」をリリース。同月に東京・日本武道館と新木場STUDIO COASTでのライブを成功させた。
- DAOKO(ダヲコ)
- 1997年生まれ、東京出身の女性ラップシンガー。ニコニコ動画のニコラップに投稿した楽曲で注目を集め、2012年に1stアルバム「HYPER GIRL-向こう側の女の子-」を発表。ポエトリーリーディング、美しいコーラスワーク、ラップを絶妙なバランスで織り交ぜたドリーミーな世界観で話題を呼ぶ。2015年3月にはTOY'S FACTORYよりアルバム「DAOKO」にて高校生にしてメジャデビュー。2016年4月にTeddyLoidとのタッグで学校法人・専門学校HAL(東京・大阪・名古屋)の2016年度テレビCMソングを担当。同曲も収めたトリプルA面シングル「もしも僕らがGAMEの主役で / ダイスキ with TeddyLoid / BANG!」を9月にリリースした。2017年8月には映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の主題歌を含むニューシングル「打上花火」を発売。10月に岡村靖幸とのコラボレーションによるシングル「ステップアップLOVE」を発表し、11月24日に配信限定リリースされたBeckの楽曲「Up All Night × DAOKO」にも参加した。
- Cygames presents DAOKO TOUR 2017-2018 "THANK YOU BLUE"
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- 2017年11月26日(日)大阪府 BIGCAT
- 2017年11月29日(水)愛知県 THE BOTTOM LINE
- 2017年12月2日(土)福岡県 DRUM Be-1
- 2017年12月8日(金)宮城県 darwin
- 2017年12月10日(日)北海道 Sound Lab mole
- 2018年1月11日(木)東京都 Zepp DiverCity TOKYO