音楽ナタリー PowerPush - BOOM BOOM SATELLITES

中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES)×ねごと(蒼山幸子、沙田瑞紀)対談

BOOM BOOM SATELLITESの中野雅之(Programming, B)の対談相手に、中野が以前から注目しているというねごとの蒼山幸子(Vo, Key)、沙田瑞紀(G)が登場。異色とも思える組み合わせの2組には、お互いを知ったきっかけや、両者のデビュー前後の懐かしいエピソードなどをざっくばらんに語ってもらった。

ブンブンの曲に影響された「カロン」

──中野さんはどういったきっかけでねごとを知ったんですか?

中野雅之(Programming, B / BOOM BOOM SATELLITES) 実は以前、ねごとの曲のリミックスの話をいただいたことがあったんです。タイミングが合わなくて実現しなかったんですけどね。

左から沙田瑞紀(G / ねごと)、中野雅之(Programming, B / BOOM BOOM SATELLITES)、蒼山幸子(Vo, Key / ねごと)。

──一方ねごとはBOOM BOOM SATELLITESにまつわる楽曲制作エピソードがあるそうですね。

蒼山幸子(Vo, Key / ねごと) ねごとの1stシングル「カロン」(2011年発売)はけっこう難産で、リズムをどうしたらいいかって迷ったときに、実はブンブンさんの曲を参考にして作ったんです。

沙田瑞紀(G / ねごと) 四つ打ちが流行ってたから「サビを四つ打ちにするとお客さんが幸せになれるぞ」なんて話にもなったんですけど、当時の自分は四つ打ちに全然魅力を感じなかったんですね。で、制作中に「四つ打ちじゃないノリでもっと面白いロックなものってなんだろうな」と思って自分の好きなものをいろいろ聴き返していたんです。そしたらブンブンさんの「SHUT UP AND EXPLODE」(2007年発売の6thアルバム「EXPOSED」に収録)の「トンパパトントンパン」ってリズムパターンがすごくロックでエネルギッシュだなって思ったんで、みんなに聴かせて参考にして「カロン」のアレンジを詰めていったんです。

悩みの種類によってはいい曲が生まれる

中野雅之(Programming, B / BOOM BOOM SATELLITES)

中野 新作、聴かせていただきました。1枚目は初期衝動のような勢いがあった印象で、2枚目でちょっと悩んでるのかな?っていう感じだったけど、新しいアルバムでまたフレッシュな感じが戻ってきてる。だから今は調子がいいのかなって思いました。

蒼山 まさにそうなんです。2ndアルバム「5」(2013年2月発売)を作ってる頃はねごとの短い歴史の中ではちょっと苦しい時期だったんです。でも去年は「"Z"OOM」(2014年3月発売のミニアルバム)を出したり、「VISION」(3月発売の3rdアルバム)の準備をしたりしつつ、ライブもたくさんやらせてもらいました。やればやっただけ身になってる実感があったのでよかったです。

中野 音楽をやっていると人間関係とかいろいろ悩みが出てきますよね。

中野と川島の出会い回想

蒼山幸子(Vo, Key / ねごと)

蒼山 素朴な疑問なんですけど、BOOM BOOM SATELLITESっていうバンド名はどうやって決めたんですか?

中野 バンド名は川島(道行)くんがすごく好きなSigue Sigue Sputnikっていう1980年代のイギリスのバンドの曲名から取ったんですよ。僕が入る前から川島くんがバンド名だけは決めてたんだよね、メンバーは川島くん以外に誰もいなかったんだけど(笑)。彼は当時、打ち込みの機材がうまく扱えなくて、僕が得意だったから手伝いで加入したんですね。川島くんちで一緒に曲作るようになったのはたぶん1991年くらいだと思うけど。

蒼山 へえ。学校が一緒だったんでしたっけ?

中野 そうそう。大学の同級生で学籍番号がちょっとしか違わなくて、受ける授業もだいたい同じだったから話すようになって。川島くんなんかボールペン1本で学校に来るような学生でしたよ(笑)。

蒼山沙田 はははは(笑)。

中野 川島くんの家にはレコード屋みたいにCDもレコードも棚にいっぱいにあったから、学校終わりにバイトがない日はいろんなCDを片っ端から聴いて、「これいいよねー」みたいな浅い音楽の話をして盛り上がってたの(笑)。

沙田瑞紀(G / ねごと)

沙田 当時はどんな音楽にハマっていたんですか?

中野 Public Enemyとかサンプリングを使い出した頃のヒップホップだったり、ジャズの要素が入ったヒップホップだったり。ハードコアにプログラミングを取り入れたMinistryとかも好きでしたね。当時は川島くんと音楽の話をして盛り上がっても、ほかの同級生とかはそういう音楽をまったく知らなかったりしてさ。

──中野さんと川島さんはそういう音楽の情報をどこで得ていたんですか?

中野 YouTubeとかもなかったから外国の音楽は基本的に雑誌を読んで知ることが多かったですね。

沙田 今はなんでもネットで検索したら出てきちゃうからすごく便利ですよね。

中野 そうだね。でも自分がちょっと苦労して情報を取りにいくほうが思い入れとかも全然違う気がするんだよね。ちょっと不便なぐらいのほうが僕は楽しかったなって思うこともあるな。

ニューアルバム「SHINE LIKE A BILLION SUNS」2015年2月4日発売 / Sony Music Records
初回限定盤 [CD+CD-ROM] 3780円 / SRCL-8688~9
通常盤 [CD] 3240円 / SRCL-8690
CD収録曲
  1. SHINE
  2. ONLY BLOOD
  3. COMPLICATED
  4. A HUNDRED SUNS
  5. VANISHING
  6. BACK IN BLACK
  7. THE MOTH(attracted the flame)
  8. BLIND BIRD
  9. OVERCOME
  10. STAIN
  11. EMERGENCE
初回限定盤CD-ROM収録内容
  • SAMPLING DATE DISC A HUNDERED SUNS -STEM-
BOOM BOOM SATELLITES(ブンブンサテライツ)
BOOM BOOM SATELLITES

中野雅之(Programming, B)、川島道行(Vo, G)によるロックバンド。エレクトロニックサウンドとロックを融合させた独自の音楽性で、類をみないオリジナリティを誇示している。1997年にベルギーのレーベルからマキシシングル「JOYRIDE」を、1998年には初のフルアルバム「OUT LOUD」を発表。日本国内だけでなく海外でも絶大な人気を集めており、海外ツアーを開催するほか、著名なフェスティバルにも多数出演している。2013年1月にはオリジナルフルアルバム「EMBRACE」を発表。自身の楽曲のパーツを提供し、リミックスコンテストを開催するなど型にはまらない活動を展開するも、川島の脳腫瘍治療のため5月の日本武道館公演までライブ活動を休止。11月に同公演の模様を収めたCD+DVD / Blu-ray「EXPERIENCED II -EMBRACE TOUR 2013 武道館-」をリリースした。2014年3月はワンマンツアー「TOUR 2014 STARTING OVER」を実施。その後4度目の発症となる川島の脳腫瘍の治療と並行し、数々のフェスやライブイベントに出演。2015年2月には2年ぶりのオリジナルアルバム「SHINE LIKE A BILLION SUNS」をリリース。3月にレコ発ライブをEX THEATER ROPPONGIにて開催し、5月には全国ツアー「FRONT CHAPTER Vol.4」を展開する。

ねごと
ねごと

全員平成生まれの蒼山幸子(Vo, Key)、沙田瑞紀(G)、藤咲佑(B)、澤村小夜子(Dr)からなる4人組ロックバンド。高校2年生だった2008年1月に結成し、春に開催された「閃光ライオット2008」に応募。8月に行われた決勝大会に進出。審査員特別賞を受賞する。2010年2月より行っている自主企画「お口ポカーンフェス?!」も毎回好評を博している。2010年9月に1stミニアルバム「Hello! "Z"」をKi/oon Musicよりリリース。2011年3月発表の1stシングル「カロン」はau「LISMO!」のCMソングとしてオンエアされ、幅広い層から注目を集めた。同年7月、初のフルアルバム「ex Negoto」をリリースし、オリコン週間ランキングでトップ10入り。「SUMMER SONIC」「ROCK IN JAPAN FES.」「RISING SUN ROCK FESTIVAL in EZO」など、多数のフェスに出演する傍ら、「GirlsAward」「HARAJUKU KAWAii!! FES.」といったカルチャー系イベントにも出演。2014年3月には2ndミニアルバム「"Z"OOM」を、9月にシングル「アンモナイト! / 黄昏のラプソディ」をリリース。2015年3月には3rdアルバム「VISION」を発表し、全国ツアー「お口ポカーン?! 初の全国ワンマンツアー2015 ~VISIONは続くよどこまでも♪~」をスタートさせる。