音楽ナタリー PowerPush - BOOM BOOM SATELLITES
中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES)×ねごと(蒼山幸子、沙田瑞紀)対談
ねごと、寝起きにコーラス録り
──ねごとは互いにメンバーの家に行ったことはありますか?
蒼山 ありますよ。瑞紀の家で曲作り合宿をしたことがあって、部屋にベッド1台しかないのに4人で寝てました(笑)。
沙田 デビュー前に「1週間で10曲作りなさい」っていう試練を与えられたときだよね。
中野 1週間で10曲ってかなり大変だったでしょ。
蒼山 大変でしたね。瑞紀が朝、寝ぼけてて寝起きでおもむろにマイクを持ってコーラスを録音し出したこともありました。
中野 なんだか青春って感じだね。2人はねごとが初めてのバンドなの?
沙田 いえ、ねごとの前身バンドが1つあります。その頃は銀杏BOYZとかNUMBER GIRLとかをコピーしてました。
中野 あ、NUMBER GIRLっぽいコード感の曲があるなって思ってた。しかも沙田さんのギターってJazzmasterでしょ?
沙田 はい、(田渕)ひさ子さんと同じギターですね。Jazzmasterを買ったときに「ひさ子さんのまねしてるだろ」って周りの人に言われたことがあったんです。大好きだったけど、声を大にして言うのがなぜか恥ずかしくて「違う!」って言ってました(笑)。このギターはSonic Youthとかも使ってて、グランジっぽいイメージもあってカッコいいなと思ってます。
中野 憧れのアーティストの使ってた楽器って特別だよね。僕はカート・コバーン(Nirvana)モデルのJaguarを持ってて、ブリッジのあたりでピッキングして「あ、Nirvanaと同じ音が出た」ってなって喜んでた(笑)。
沙田 シャーン!ってやつですね。
中野 そうそう。ライブではそのギターをメインに使ってますよ。
ブンブン、デモテープを送り続けたデビュー前
──BOOM BOOM SATELLITESはベルギーのR&S Recordsから1997年にデビューしましたが、どういったきっかけでベルギーからデビューすることになったんでしょうか。
中野 デビューする前の1~2年間、デモテープをいろんなレーベルに送り続けてたんですよね。ほとんどが外国のレーベル宛でした。
──海外での活動をメインにしたかったんですか?
中野 僕も川島くんも買うレコードのほとんどが外国のものだったから、レコードのジャケットの裏に書いてあるFAX番号と電話番号と住所をチェックして、片っ端から送ってたっていうだけなんですけどね。
──数あるレーベルの中からR&S Recordsを選んだ理由は?
中野 決め手は僕らのアイドルだったKEN ISHIIくんがいたっていうことでした。デモテープでいい線まで行ったレーベルがほかにもあったんですけどね。
──ねごとはデモテープを作っていろんなところに送ったような経験はありますか?
蒼山 私たちは「閃光ライオット」のために作ったのが初めてのデモテープでした。まだバンドを結成して2カ月目くらいだったし、オリジナル曲を作ったのは「コピーした曲だけじゃオーディションは通らないだろう」って思ったからだったんです。
中野 2カ月でそこまでいくっていうのもすごい話だね。
バンドを長く続ける方法
沙田 ブンブンさんって曲作りをしているときの2人のやりとりはどういう感じなんですか?
中野 最初の頃はいろんな楽器を弾いたりして、なんとなく遊びの延長で曲を作ってたんです。でもプロになって真剣度が増してくると、意見がぶつかって険悪なムードになったりとか、ケンカになったりすることもありましたね。和気あいあいとした雰囲気でアルバムを作ったことはまだ1回もないんじゃないかな。僕がせっかちなんで、だいたいそれがよくない(笑)。
蒼山 瑞紀と一緒に中野さんのブログを拝見して、お2人の関係性というか、とても深い絆でつながってるところにとても感動しました。
中野 僕と川島くんは親と過ごしてる時間よりも長い時間一緒にいて……1日12時間以上は一緒に音楽制作をするので、もはや家族に近い存在なんですよね。そもそもこのバンドがこんなに長く続くとは思ってなかったけど。
蒼山 え、そうだったんですか?
中野 アルバムを1枚作って、そのあとにツアーをやって、終わったらなんか心残りなことがあったり、やり切れなかったことがあったりして、「もう1枚だけ作りたい」っていうのを繰り返した結果、今も続いてるっていうだけなんですよね。繰り返して気が付いたらここまできたって感じ。
沙田 中野さんの音楽活動に影響を与えていることってなんですか?
中野 CDを買って聴くことがもちろん大きなインプットにはなってるけど、やっぱり川島くんの人生自体が音楽制作のインスピレーションになってるかな。川島くんの状態を見て、今どんな音楽を作ったら彼に一番響くのかなって考えたり。例えばおじいさんになった川島くんとブンブンを続けているとしたら、「今日の川島くんだったらどんな歌が歌いたいのかなあ」って考えるはず。
蒼山 素敵な関係ですね。私たちももっともっといろんなことをやりたいと思ってるので、メンバーみんなでがんばります。ライブにも遊びに来てください。
中野 ありがとう。次のワンマンツアーのライブもぜひ観に行きたいと思ってます。まだまだ皆さん、これからだと思うのでがんばってくださいね。
- ニューアルバム「SHINE LIKE A BILLION SUNS」2015年2月4日発売 / Sony Music Records
- 初回限定盤 [CD+CD-ROM] 3780円 / SRCL-8688~9
- 通常盤 [CD] 3240円 / SRCL-8690
CD収録曲
- SHINE
- ONLY BLOOD
- COMPLICATED
- A HUNDRED SUNS
- VANISHING
- BACK IN BLACK
- THE MOTH(attracted the flame)
- BLIND BIRD
- OVERCOME
- STAIN
- EMERGENCE
初回限定盤CD-ROM収録内容
- SAMPLING DATE DISC A HUNDERED SUNS -STEM-
BOOM BOOM SATELLITES(ブンブンサテライツ)
中野雅之(Programming, B)、川島道行(Vo, G)によるロックバンド。エレクトロニックサウンドとロックを融合させた独自の音楽性で、類をみないオリジナリティを誇示している。1997年にベルギーのレーベルからマキシシングル「JOYRIDE」を、1998年には初のフルアルバム「OUT LOUD」を発表。日本国内だけでなく海外でも絶大な人気を集めており、海外ツアーを開催するほか、著名なフェスティバルにも多数出演している。2013年1月にはオリジナルフルアルバム「EMBRACE」を発表。自身の楽曲のパーツを提供し、リミックスコンテストを開催するなど型にはまらない活動を展開するも、川島の脳腫瘍治療のため5月の日本武道館公演までライブ活動を休止。11月に同公演の模様を収めたCD+DVD / Blu-ray「EXPERIENCED II -EMBRACE TOUR 2013 武道館-」をリリースした。2014年3月はワンマンツアー「TOUR 2014 STARTING OVER」を実施。その後4度目の発症となる川島の脳腫瘍の治療と並行し、数々のフェスやライブイベントに出演。2015年2月には2年ぶりのオリジナルアルバム「SHINE LIKE A BILLION SUNS」をリリース。3月にレコ発ライブをEX THEATER ROPPONGIにて開催し、5月には全国ツアー「FRONT CHAPTER Vol.4」を展開する。
ねごと
全員平成生まれの蒼山幸子(Vo, Key)、沙田瑞紀(G)、藤咲佑(B)、澤村小夜子(Dr)からなる4人組ロックバンド。高校2年生だった2008年1月に結成し、春に開催された「閃光ライオット2008」に応募。8月に行われた決勝大会に進出。審査員特別賞を受賞する。2010年2月より行っている自主企画「お口ポカーンフェス?!」も毎回好評を博している。2010年9月に1stミニアルバム「Hello! "Z"」をKi/oon Musicよりリリース。2011年3月発表の1stシングル「カロン」はau「LISMO!」のCMソングとしてオンエアされ、幅広い層から注目を集めた。同年7月、初のフルアルバム「ex Negoto」をリリースし、オリコン週間ランキングでトップ10入り。「SUMMER SONIC」「ROCK IN JAPAN FES.」「RISING SUN ROCK FESTIVAL in EZO」など、多数のフェスに出演する傍ら、「GirlsAward」「HARAJUKU KAWAii!! FES.」といったカルチャー系イベントにも出演。2014年3月には2ndミニアルバム「"Z"OOM」を、9月にシングル「アンモナイト! / 黄昏のラプソディ」をリリース。2015年3月には3rdアルバム「VISION」を発表し、全国ツアー「お口ポカーン?! 初の全国ワンマンツアー2015 ~VISIONは続くよどこまでも♪~」をスタートさせる。