音楽ナタリー Power Push - back number
“アンコール”で振り返る7年
“自分たちは優れているわけではない”に気付けてよかった
──ベストアルバムのタイミングでは「バンドにとっての転機は?」という質問をしたくなるのですが、back numberは明確なタ—ニングポイントがわかりづらいバンドだと思っていて。「花束」のときにすでにブレイクしていた気もするし、「高嶺の花子さん」のときだった印象もあるし、本当にたくさんの人を惹き付けたのは去年だった感じもあって。
清水 去年多くの人に聴いてもらったのは「クリスマスソング」(2015年11月発売のシングル)ですよね。俺らには確かに転機が何回もあった気がするし、逆に全然なかった気もするし……どうなんだろうな?
小島 いろんな転機がいっぱいあったと思うんですよね。それをあえて絞るのはすごく難しいです。なんなら「逃した魚」をリリースしたときもそうだし、メジャーデビューしたときもそう。もしかしたら事務所が決まって、群馬から出てきたときが一番の転機だったかもしれないなって。
栗原 たくさんの方に聴いてもらえるようになったという意味では、2012年くらいかもしれないですね。「日曜日」という曲が初めてドラマ(TBS系「スープカレー」)の主題歌になって、同じ年に出した「青い春」もドラマ(フジテレビ系「高校入試」)の主題歌に採用していただいて。「ドラマで流れてたよ」という声もすごく聞いたし、CDを作って、ライブをやるだけでは届かなかった人たちも、自分たちの楽曲を耳にしてくれる機会が増えたのかなって。
──ドラマ以外にも「ヒロイン」(JR東日本「JR SKISKI」)、「SISTER」(大塚製薬「ポカリスエット イオンウォーター」)などのCM曲も印象的でした。タイアップという手法をうまく生かしているのも、back numberの特徴ですよね。
清水 そこはもう真面目にやってますからね。いつものスタッフ以外の人と一緒に制作するのは全然嫌いじゃないんですよ。ドラマやCMのチームの方は他人ではないし「こうしてほしいんですよね」と言われれば、その意見もしっかり聞き入れようと思うので。そういうのが苦手じゃない性格でよかったなって思いますね。もともと自分たちはスーパー優れているわけではないし、周りの人たちとの会話だったり、いろんなものを得ながら曲を作ってきた感じもするので。
──“自分たちは優れているわけではない”という認識は相当にシビアだと思いますが、その感覚はメジャーデビュー当時からあったんですか?
清水 めちゃくちゃありましたね。自分たちだけで日本一になれるとは正直全然思ってなかったというか。俺自身もそうですからね。たまにいるじゃないですか、曲を作ってるボーカルが天才的で、自分でプロデュースまで全部できる人。「自分はそういう人ではない」と早い段階で気が付いたのは逆にラッキーだったと思います。「ラブストーリー」(2014年3月発売の4thアルバム)を作ったときに「このバンドはこんな感じだな」ってわかっちゃった気がしたんですよ。「このままじゃダメだな」と思ったというか……だから小林武史さんにプロデュースをお願いできたのかなと思います。「バンドサウンドとかにこだわっている場合じゃない。とにかく『いい曲だ』って言ってもらえる曲を作ろう」という感じになってましたから。
プロデュース力に負けない図太さ
──その意識は当然メンバー全員で共有してたんですよね?
小島 どうだろう? 自然とやってた感じもしますけどね。
清水 俺「このままじゃダメだよ」って言ってなかった? 「ヒロイン」とか「SISTER」のときとか。
小島 うーん。でもさ「こういうアルバムにしよう」みたいな話をしても、その通りにならないでしょ?
清水 あ、そうだね。1つアルバムを作り終えると、いろいろ話すんですよ。「次はこうしよう」みたいな会話もあるんですけど、結局は「そんな余裕全然なかったね」ってことになるっていう。
栗原 そうだね。
清水 ずっと目の前のことに向き合って「何だか忙しいけど、どうして?」という状況が続いて。だからコンセプトアルバムが作れないんですけどね。
小島 うん(笑)。でも目の前のことに向き合ってきたからこそ、振り返ったときに「やりたいことをやってきた」と思えるんでしょうね。
──1曲1曲に対してひたむきに向き合ってきた、と。
清水 本当にそうですね。
栗原 楽曲に向き合うときの熱量もどんどん上がっている感覚がありますからね。
清水 しかも自分たちのままやれてるからね。たぶん図太いんだと思いますよ(笑)。ここまでいろんな方に関わってもらって、それでも「これがback numberだ」という共通項がどの曲にもあるっていう。
──曲の原型を作るときは、今も3人だけでスタジオに入ってるんですか?
清水 基本はそうですね。スケジュールがなくて、俺が得意でもないパソコンを使ってデモを作ることもありますけど、そうじゃなければ3人でスタジオに入って「あーでもない、こうでもない」ってやってるので。まずは近況報告じゃないけど、いろいろと話をするんですよ。セッティングはしたけど、おしゃべりが始まるっていう。ただしゃべってるだけじゃなくて、そこで実はメンバー同士のチューニングが始まってるんですけど。
小島 メンバーのチューニングに4、5時間かかるときもあるけどね。
清水 うん(笑)。でもいろいろ話してから「よっしゃ、じゃあ音出そうか」っていうのがいいんですよ。そういうやり方が面白いし、一番バンドをやってるって感じがするので。スタジオにも入らず、プロデューサーを介してやりとりするだけとか、寂しいじゃないですか。曲作りを3人だけでやるのは大事だと思いますね。
メンバー3人の関係性
──メンバー3人の関係性も変わらないですか?
清水 あんまり変わらないんじゃないですか? どこかのタイミングで俺がいきなり下手に出てたりしてないよね?
小島 ないね(笑)。
栗原 それはない(笑)。
清水 ハハハ(笑)。和也と寿の関係性はちょっと変わってきた気がするけどね。
小島 そうかもね。(栗原は)俺に対して後輩っていう感じではなくなってきたから。
清水 年下なのにいつの間にかタメ口になってたからね。フラットな感じというか。
栗原 そんなことないよな、和也!
小島 ハハハハハ(笑)。
清水 呼び捨てだ(笑)。
栗原 まあ、こういうことも言えるくらい、ずっと一緒にいたってことですよ。これからもがんばっていこうと思います。
清水 それも先輩が言うセリフだから(笑)。
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- ベストアルバム「アンコール」2016年12月28日発売 / UNIVERSAL SIGMA
- 初回限定盤A
- 「アンコール」初回限定盤A
- [2CD+Blu-ray+フォトブック]8424円 / UMCK-9885
- [2CD+2DVD+フォトブック]7344円 / UMCK-9886
- 初回限定盤B
- 「アンコール」初回限定盤B
- [2CD+Blu-ray]7020円 / UMCK-9887
- [2CD+DVD]5940円 / UMCK-9888
- 通常盤
- 「アンコール」通常盤
- [2CD]3780円 / UMCK-1560~1
CD収録曲
DISC 1
- 高嶺の花子さん
- 花束
- ハッピーエンド
- クリスマスソング
- はなびら
- 黒い猫の歌
- fish
- 君がドアを閉めた後
- 青い春
- 光の街
- stay with me
- MOTTO
- 恋
- 世田谷ラブストーリー
- 半透明人間
- 日曜日
DISC 2
- 春を歌にして
- 僕の名前を
- SISTER
- 助演女優症
- 繋いだ手から
- エンディング
- そのドレスちょっと待った
- わたがし
- 電車の窓から
- ヒロイン
- 幸せ
- アップルパイ
- 003
- 手紙
- 思い出せなくなるその日まで
- スーパースターになったら
初回限定盤A DVD / Blu-ray収録内容
MIRRORBALL and CHANDELIER@幕張メッセ国際展示場9.10.11ホール(2016.6.19)
- Liar
- 泡と羊
- 青い春
- SISTER
- わたがし
- 僕は君の事が好きだけど君は僕を別に好きじゃないみたい
- いつか忘れてしまっても
- 思い出せなくなるその日まで
- 君がドアを閉めた後
- サイレン
- ミラーボールとシンデレラ
- MOTTO
- 半透明人間
- 助演女優症2
- 東京の夕焼け
- ヒロイン
- クリスマスソング
- 僕の名前を
- Hey!Brother!
- 高嶺の花子さん
- スーパースターになったら
- アップルパイ
- 手紙
- そのドレスちょっと待った
- making of back number tour 2016 MIRRORBALL and CHANDELIER
初回限定盤B DVD / Blu-ray収録内容
music video clip
- 春を歌にして
- 西藤公園
- stay with me
- はなびら
- 花束
- 思い出せなくなるその日まで
- 恋
- 日曜日
- わたがし
- 青い春
- エンディング
- 高嶺の花子さん
- fish
- 繋いだ手から
- ヒロイン
- SISTER
- 手紙
- クリスマスソング
- サイレン
- 僕の名前を
- 黒い猫の歌
- ハッピーエンド
bonus video track
- 「花束 studio live ver.」produced & rearranged by 島田昌典
- 「クリスマスソングstudio live ver.」produced & rearranged by 小林武史
- back numberと秦 基博と小林武史「reunion」short film
back number(バックナンバー)
2004年に清水依与吏(Vo, G)を中心に群馬県で結成。幾度かのメンバーチェンジを経て、2007年に小島和也(B, Cho)と栗原寿(Dr)を加えた現在の編成に。2009年に発売した初のミニアルバム「逃した魚」は大手レコード店で絶賛され、全国的に話題となる。2010年にフルアルバム「あとのまつり」を発表し、美しいメロディに切ない歌詞を乗せるというスタイルを確立。2011年4月にシングル「はなびら」でメジャーデビューした。2013年には東京・日本武道館でワンマンライブを成功させ、その後もコンスタントに作品を発表。2015年12月に5thアルバム「シャンデリア」をリリースしたのち、2016年1月からはアリーナ公演を含む32カ所39公演のツアーを実施。11月にシングル「ハッピーエンド」を、12月にキャリア初のベストアルバム「アンコール」をリリースした。2017年2月から自身最大規模の全国ツアー「back number "All Our Yesterdays Tour 2017"」を開催する。