音楽ナタリー Power Push - Awesome City Club

戦略的? 衝動的? オーサムの選ぶ“ペース”とは

今はこのスピード感が大切

モリシー(G, Syn)

──だから、声を大にして訂正させてもらうと、オーサムの戦略は音楽性においてではなくて、新しいアイデアとシステムで音楽を届けていく体制を作るための戦略だったということに今作で気付かされました。「Awesome City Tracks」「Awesome City Tracks 2」っていうこの素っ気ないタイトルも、まるでラッパーがアンダーグラウンドで流通させるミックステープみたいだけど、それをオーサムはメジャーでやってるってことですよね。

atagi そうなんですよね(笑)。ライブで曲を育てていくとか、そういうことはまだできてないかもしれないけど、今はこのスピード感が大切だと思っていて。

──ライブに関しては、まだ課題を感じている?

atagi 前作を出してから、自分たちでも驚くくらいオーディエンスが盛り上がってくれるようになって。そういう意味では、やっててすごく楽しいんですけど、自分たちが本当にやりたいことをライブでやるためにはもっと規模感とかが必要で。でも、いきなりそこに行けないこともわかってる。それもあって、今、活動のスピード感をひたすら上げている感じですね。

──まるで昔のマイブラ(My Bloody Valentine)みたいな1曲目の「GOLD」とかは、ライブの場数を踏んだことで出てきた曲なんじゃないかと思ったんですけど。

atagi ああ。この曲は超ストレートな8ビートですしね。僕はつい手癖で跳ねたビートだとかシャッフルビートを使っちゃうんですけど、この曲は去年フジロックから帰ってきたモリシー(G, Syn)がその足で「こういうのやりたい!」って持ってきた曲なんですよ。それを今回、本腰を入れて仕上げてみて。やっぱり8ビートってパワーがありますよね。基本的にオーディエンスがゆらゆら揺れてくれるのが気持ちいいし、そういうのが自分は好きなんですけど、こういう曲があると、より遠くまでグルーヴを飛ばせる感じがする。

──うん。バンドの持つバリエーションがさらに広がったと思いました。PORINさんは、今年の夏にフェスとかイベントに出てみて、何か思うところはありました?

PORIN 場数を踏んできて、ようやく自分の中にあるものをステージの上でアウトプットできるようになったって実感はありますね。これまではただガムシャラにやってたけど、ちゃんとお客さんの顔も見れるようになったし、ステージ上の動き1つひとつも、お客さんからどう見えているかを意識して動けるようになりましたね。

──ワンマンだと、今のお客さんの男女比って……。

Awesome City Club

atagi 明らかに女性メンバー2人のファンの方たちがいらっしゃいますね(笑)。

──そこはオーサムの武器でもあるけど、どこかで乗り越えたいところでもありますよね。

atagi 本当に(笑)。この問題に関しては非常に重要な議題だと自分も思うので、今後も継続的に考えていきたいと思います。

2ndアルバム「Awesome City Tracks 2」 / 2015年9月16日発売 / 2160円 / CONNECTONE / VICL-64421
「Awesome City Tracks 2」
収録曲
  1. GOLD
  2. what you want
  3. WAHAHA
  4. 僕らはここでお別れさ
  5. 愛ゆえに深度深い
  6. アウトサイダー
  7. Lullaby For TOKYO CITY
Awesome Talks -One Man Show-
  • 2015年11月6日(金)愛知県 APOLLO BASE
  • 2015年11月13日(金)大阪府 Shangri-La
  • 2015年11月15日(日)福岡県 DRUM SON
  • 2015年11月28日(土)東京都 UNIT
Awesome City Club(オーサムシティークラブ)
Awesome City Club

「架空の街Awesome Cityのサウンドトラック」をテーマに、テン年代のシティポップを“RISOKYO”から“TOKYO”に向けて発信する男女混成5人組バンド。2013年春、それぞれ別のバンドで活動していたatagi(Vo, G)、モリシー(G, Syn)、マツザカタクミ(B, Syn, Rap)、ユキエ(Dr)により結成。2014年4月、サポートメンバーだったPORIN(Vo, Syn)が正式加入して現在のメンバーとなる。初期はCDを一切リリースせず、音源はすべてSoundcloudやYouTubeにアップし、早耳の音楽ファンの間で話題となる。ライブを中心に活動しており、海外アーティストのサポートアクトも多数。2015年、ビクターエンタテインメント内に設立された新レーベル・CONNECTONE(コネクトーン)の第1弾新人アーティストとしてデビュー。4月にmabanuaプロデュースの1stアルバム「Awesome City Tracks」、9月に2ndアルバム「Awesome City Tracks 2」をリリースした。