音楽ナタリー Power Push - HIKAKIN&SEIKIN×小室哲哉

異色のコラボ実現!TK版「YouTubeテーマソング」ができるまで

YouTuberのHIKAKIN・SEIKIN兄弟が2015年に発表した楽曲「YouTubeテーマソング」を小室哲哉がリアレンジ。新たなバージョンとなった「YouTubeテーマソング-Tetsuya Komuro Rearrange-」が、AWAで独占配信された。

オリジナルの「YouTubeテーマソング」はHIKAKINが発案しSEIKINが作詞作曲を手がけたナンバー。「YouTubeで夢をつかもう」というポジティブなメッセージが歌われるEDMチューンで、TeddyLoidがプロデュースを務めた。HIKAKINの公式チャンネルでミュージックビデオの再生回数が4300万回を突破しているこの人気曲が、今回小室の手でリアレンジされることに。HIKAKIN・SEIKIN×小室哲哉という異色のコラボが実現したことを受け、音楽ナタリーでは2組にインタビューを実施。楽曲について、さらにはYouTubeの現在とこれからについて聞いた。

取材・文 / 三橋あずみ 撮影 / 荒金大介

もう「曲作ってよかった!」って

──まずはオリジナル版「YouTubeテーマソング」の制作のきっかけから聞かせてもらえますか?

SEIKIN 2013年だっけ?

HIKAKIN そうだね。僕だけYouTuberをやっていて、兄はまだ会社員だったときですね。兄は音楽が好きだったから「YouTubeをテーマに、何か歌できない?」って聞いて、作曲してもらったんです。で、2015年に友達のTeddyLoidにちゃんとプロデュースを依頼して、しっかりアレンジしてもらって。

──なぜTeddyLoidさんにプロデュースを依頼したんですか?

HIKAKIN 僕はヒューマンビートボックスをやってるんですけど、彼もやってたんですよ。昔からの知り合いで、大会を一緒に観に行ったりもしてて。だから彼にお願いしました。

左から小室哲哉、HIKAKIN、SEIKIN。

──そうだったんですね。そして今回、その「YouTubeテーマソング」を小室哲哉さんがリアレンジするという、またすごい展開が。

SEIKIN 僕らからしたら夢のようなコラボですよ。

小室哲哉 いやいや全然、そんなことないですよ(笑)。コラボの話はAWAから来たんだよね。

HIKAKIN はい。もう、AWAからこのお話をもらったときは「え、そんな話通るの……?」って信じられなかったですよ。でもこうして実現して、もう「曲作ってよかった!」って感じだよね。

SEIKIN 本当に。自分の鼻歌から始まった曲を小室さんにアレンジしていただけるなんて、もう奇跡の出来事すぎて。

小室 いや僕はね、それこそTeddyLoidとかtofubeatsとか、自分よりも彼らと同世代の若い子がリアレンジしたほうがいいんじゃないかなって最初は思ったんですよ。というのも、今EDMでトップDJと言われている人たちは20代がほとんどだからね。

HIKAKINSEIKIN いやいやいや!

楽曲から入ってもらうのはうれしいんですよ

──小室さん、コラボする前はHIKAKINさんとSEIKINさんの存在はご存知でしたか?

小室 はい。YouTubeのトップページにいつもいるから(笑)。知っていましたよ。

HIKAKIN ああ、そうですよね(笑)。

小室 今って、若い子が一番憧れる職業はYouTuberだったりするんでしょう? 時代が変わったなって思いますよね。本当に、動画配信だけで生活してるの?

HIKAKIN&SEIKIN

HIKAKIN そうですね。僕は2012年から始めたんで、もう6年目ですね。

SEIKIN 長いほうだよね。

HIKAKIN 最初は周りに誰もいなかったし、「本当にやっていけるかな?」とも思っていたけど、気付けば周りに何百人もいますから。

SEIKIN 職業としてのYouTuberは、去年あたりから一気に増えましたね。

小室 まあ、言うなれば1人ひとりがブロードキャスターだからね。すごいと思いますよ。

SEIKIN 僕らは、母親が小室さんの音楽のファンで、小さい頃からずっと車の中で聴いていたんですよ。

HIKAKIN カセットテープとかでね。

SEIKIN そうそう! だからずっと「すごい人」だと思っていたし、あと僕はTM NETWORKの「Get Wild」が大好きで。だから2015年の「Get Wild 2015 -HUGE DATA-」とか、新しいバージョンもチェックしています。

小室哲哉

小室 うれしいね。

HIKAKIN 僕は上京して会社員をしていてつらかった時期、通勤中に浜崎あゆみさんの「Love song」を何度も聴いて励まされていたんです。そのときに「この曲は誰が作ったんだろう?」って調べたら、それが小室さんだったっていうこともありました。

小室 楽曲から入ってもらうのはうれしいんですよ。僕の名前関係なしで聴いて、曲の仕上がりを気に入ってくれたっていうことだからね。それは非常に光栄です。

HIKAKIN&SEIKIN「YouTubeテーマソング-Tetsuya Komuro Rearrange-」 / 2月17日配信開始
「YouTubeテーマソング-Tetsuya Komuro Rearrange-」
収録曲
  1. YouTubeテーマソング-Tetsuya Komuro Rearrange-
  2. YouTubeテーマソング-Tetsuya Komuro Rearrange-(Karaoke Version)
  3. YouTubeテーマソング-Tetsuya Komuro Rearrange-(Instrumental)
HIKAKIN(ヒカキン)

新潟県出身のYouTuber。高校生の頃にYouTubeへの投稿を始め、「スーパーマリオブラザーズ」の音楽をヒューマンビートボックスで表現した「Super Mario Beatbox」の動画が世界中で話題となる。2013年にはAerosmithのツアーに参加し、シンガポール公演および大阪公演でビートボックスを披露した。YouTubeでは日常の“おもしろいもの”を独自の視点で紹介する「HikakinTV」やゲーム実況チャンネル「HikakinGames」など4つのチャンネルを運営しており、チャンネル総登録者数は国内で1位。

SEIKIN(セイキン)

新潟県出身のYouTuber。HIKAKINの2才上の兄にあたる。「SeikinTV」「SeikinGames」の2つのチャンネルを運営。自身が作詞作曲を手がけ、HIKAKINのメインチャンネル「HikakinTV」で公開したMV「YouTubeテーマソング」は再生回数4300万回を超える人気作品となった。2015年に初のソロシングル「Just Do It Now」をリリース。2016年には2ndシングル「Keep Your Head Up」を発表する。最近ではYouTubeのみならずテレビCM出演や声優デビューも果たし、活躍の場を広げている。

小室哲哉(コムロテツヤ)

1958年11月27日東京都生まれ。音楽プロデューサー、作詞家、作曲家、編曲家、キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、ミキシングエンジニア、DJ。1983年、宇都宮隆、木根尚登とTM NETWORKを結成し、翌年「金曜日のライオン」でデビュー。同ユニットのリーダーとして、早くからその音楽的才能を開花させた。1993年にtrfを手がけたことがきっかけで、一気にプロデューサーとしてブレイク。以後、篠原涼子、安室奈美恵、華原朋美、H Jungle With t、globeなど、自身が手がけたアーティストが次々にミリオンヒットを記録した。2010年に作曲家としての活動を再開し、AAA、森進一、超特急、SMAP、浜崎あゆみなど幅広いアーティストに楽曲を提供している。