AUN J CLASSIC ORCHESTRA×森崎ウィン(PRIZMAX)×H ZETT M(H ZETTRIO)|10組のアーティストと作り上げた故郷に響く音

10年越しの思いが実現

──AUN Jが体現されているバンドアンサンブルは、そもそも和楽器の世界においても特殊なものなんですね。

左から井上良平、井上公平。

良平 まさにその通りで、AUN Jの8人による演奏自体が常にコラボレーションなんです。だからこそ、そこに誰が加わってもOKというか。

公平 僕らはいろんなアーティストとコラボレーションすることに抵抗がまったくないんです。縛りがないというか、和楽器の可能性を広げていけるのであれば、どんなミュージシャンとも共演したいなと。

──では、今日ここにはいられないゲスト陣とのつながりをぜひそれぞれ教えていただけますか。

良平 まず石井竜也さんは、AUN Jで箏を弾いてる市川慎と山野安珠美がコンサートのサポートをしていたのがきっかけですね。そして、鈴木瑛美子ちゃんは一緒にゴスペルのコンサートでコラボしたことがあって、この子の歌は素晴らしいなと。

公平 どうやら彼女も和楽器にとても興味を持ってくれていて、ずっと一緒にやりたいと思ってくれていたらしいんですよ。

良平 タケカワユキヒデさんは「ビューティフル・ネーム」のリニューアル版に参加させてもらったのが縁で、今回またご一緒させてもらいました。上間綾乃さんは沖縄で一緒にライブをしたときからずっと大好きで。レ・フレールさんもライブで共演したのが始まりでしたね。石丸幹二さんは「題名のない音楽会」に出演させてもらったことがあって、今回はぜひ僕が作詞した曲を歌っていただけたらなと。渡辺美里さんはアメリカ・ワシントンD.C.の桜祭りでコラボした「ふるさと」を今回また歌っていただきました。大黒摩季さんはレ・フレールのマネージャーさんに紹介してもらったところ、快く歌詞も書いてくださって。

──こうしてゲストの名前を列挙していくと、改めてそうそうたる顔ぶれですね。

良平 本当そうですよね。それに、今回のアルバムにはこれまで僕らの経験したことがすべて生きてるんじゃないかなとも感じていて。それこそ僕らの10年はコラボの歴史といっても過言ではないんです。クラシックオーケストラと一緒にやったこともありますし、それこそAUN Jを結成した頃から、和楽器の演奏をバックに歌ってほしいという思いはずっと抱えてきたものなので。言わばこのアルバムは僕らにとっての夢であり、これまでの出会いの集大成なんですよね。

左から井上良平(AUN J CLASSIC ORCHESTRA)、森崎ウィン(PRIZMAX)、H ZETT M(H ZETTRIO)、井上公平(AUN J CLASSIC ORCHESTRA)。

いつか楽器屋さんに和太鼓や三味線が並ぶように

──AUN Jはさまざまなコラボを続けてきたのは、和楽器による音楽の可能性を広げるためということでしょうか?

良平 もちろん。そして何よりも「知ってほしい」というのが大きいですね。僕らは世界中に和楽器の魅力を伝えていきたいし、それ以上に日本の人にその魅力を知ってほしいと思ってる。和楽器とはいえ、その音を一度も聴いたことがないという日本人が実際はほとんどですからね。でも、せっかく日本に生まれて、こういう楽器が目の前にあるんですから、そこはもっと伝えていかなきゃなって。僕らはそういう思いをずっと抱えながら10年間やってきたんです。

──ここまでの10年で、日本国内における和楽器への認識はどのように変わりましたか?

左から井上良平(AUN J CLASSIC ORCHESTRA)、森崎ウィン(PRIZMAX)、H ZETT M(H ZETTRIO)、井上公平(AUN J CLASSIC ORCHESTRA)。

良平 和楽器への注目はどんどん高まっているように感じています。それこそ来年は東京オリンピックも開催されますし、和楽器の音に触れてもらえる機会は着実に増えている。今回のアルバムもその1つとして聴いてもらえたらうれしいですし、このチャンスは生かしたいなと思ってます。

──ここからがまたチャンスだと。

公平 ええ。僕らは「音楽に、国境はないが国籍はある」というテーマを掲げながらここまでやってきたんですけど、実際に世界中を回ってみるとわかるんですよ。本当に音楽に国境はないし、言葉がなくてもミュージシャン同士は会話ができる。そういう経験を重ねてこれたからこそ、この和楽器を大切にしていきたいという思いはより強くなったし、その思いはこのアルバムにも滲み出てると思います。

良平 それに、やっぱり歌の強さってありますよね。僕らは基本的にインストでやってますから、今後のAUN Jとしてはこういうコラボも継続しつつ、インストのバンドとしての魅力も伝えていければいいなとも思ってて。

公平 いつかは楽器屋さんにギターやドラムと並んで和太鼓や三味線が置かれるようになったらいいですよね。そこで和楽器を手に取ろうかと悩む人がいてくれたら、それはもう最高だなと。現状まだそこには至ってませんから、そこまでに行きたいなと思ってます。僕らがやっている音楽はほかの音楽と同じように楽しめるものですし、まず僕らはそれを知ってもらえるきっかけになれたらなと思ってます。

良平 とにかく僕らは常に挑戦していくグループですから。今後も守りに入ることはないです。もっともっと自由にやっていきたいですね。世界のどこに出しても恥ずかしくない音楽だってことを僕らは確信してるので、ぜひ今回のアルバムをきっかけとして、和楽器の響きに触れてほしいなと思ってます。

ツアー情報

AUN J CLASSIC ORCHESTRA「響 THE SOUNDS OF JAPAN TOUR 2019」
  • 2019年5月4日(土・祝)東京都 浅草 花劇場
    [昼の部]OPEN 14:30 / START 15:00
    [夜の部]OPEN 18:30 / START 19:00
    <出演者> AUN J クラシック・オーケストラ
    ゲスト:森崎ウィン(PRIZMAX)
  • 2019年7月26日(金)東京都 観世能楽堂
    <出演者> AUN J CLASSIC ORCHESTRA
    ゲスト:タケカワユキヒデ(ゴダイゴ) / 鈴木瑛美子
    オープニングアクト:SAKURA J SOUNDS
  • 2019年9月25日(水)愛知県 名古屋市芸術創造センター
    <出演者> AUN J CLASSIC ORCHESTRA
    ゲスト:レ・フレール
    オープニングアクト:LEO(今野玲央)
  • 2019年9月26日(木)京都府 先斗町歌舞練場
    <出演者> AUN J CLASSIC ORCHESTRA
    ゲスト:タケカワユキヒデ(ゴダイゴ)
    オープニングアクト:LEO(今野玲央)
「響」×「娯」~世界遺産奉納コンサート THE SOUNDS OF JAPAN~
  • 2019年6月29日(土)福岡県 宗像大社 本殿前特設舞台
    <出演者> H ZETTRIO / AUN J CLASSIC ORCHESTRA
    オープニングアクト:LEO(今野玲央)
  • 2019年7月28日(日)奈良県 金峯山寺蔵王堂 本堂前
    <出演者> H ZETTRIO / AUN J CLASSIC ORCHESTRA
    オープニングアクト:SAKURA J SOUNDS
左から井上良平(AUN J CLASSIC ORCHESTRA)、森崎ウィン(PRIZMAX)、H ZETT M(H ZETTRIO)、井上公平(AUN J CLASSIC ORCHESTRA)。