蒼井翔太 3年ぶりライブツアー「LIVE 2021-2022 WONDER lab. coRe」インタビュー|念願のステージで見た景色と、届けたかった歌 (2/2)

1年半のストーリーを感じてもらえたらうれしい

──冒頭3曲の流れ以外に、特に強くこだわった部分はありますか?

曲で言えば「MURASAKI」かな。一緒にステージに立っていただいたダンサーさん1人ひとりに違う羽織を着ていただいて、ちょっと舞踊を意識したフリーのダンスを入れてもらったんです。和をイメージした小物を持ってもらったりもしたので、「THE日本」といいますか、目でも楽しめる光景を演出することができたと思います。あと、「flower」もかなりこだわった曲です。

──映像と相まった美しい演出が印象的でしたよね。

白黒のフラワーの映像から始まって、それが2番のサビで一気に色付くんですよ。そのタイミングで、それまでガッツリ踊っていたダンサーさんが一瞬、ストップモーションになるんです。で、そこからまた僕の合図で徐々に動き出していくという。そういう演出はリハーサルの段階で細かくアイデアを出させてもらいましたね。

蒼井翔太

──ドキュメンタリーを拝見すると、ダンサーの動きはもちろん、映像の内容に関しても細かく指示を出されていましたよね。

そうですね。ライブでは毎回そうなんですけど、今回も細部にわたっていろいろリクエストさせていただいています。セットや照明に関しても僕からまずアイデアを出させていただいて、そのうえで「それだったらこういう照明もありますよ」と制作チームから新たな提案をしていただく。僕の意見だけではなく、プロの方々と細かくディスカッションしていく中でライブの方向性が固まっていくのがすごく楽しいんですよね。ライブの作り方に関して毎回、勉強させていただいている感覚もあります。

──本編のラストは「Shake Shake! Together!」です。曲が生まれた経緯やライブの中での置き場所も含め、すごくいい選曲だと思いました。

この曲は聴く方に少しでも前向きな気持ちになってもらいたいという思いから作家陣の方と作ったもので。コロナ禍でステイホーム期間になったとき、リモートでセッションした動画をTwitterにアップしたんですけど、それ以降皆さんの前で披露する機会がずっとなかったので、新たなスタートへの思いを込めた今回のツアーでやるのがいいんじゃないかなと思ったんです。置き場所に関しても、コロナ禍で投げかけた曲だったので、本編最後に歌うことに意味があるんじゃないかなと。そういう部分でも、「DIMENSION」ツアーが中止になってからの約1年半のストーリーを感じてもらえたらうれしいですね。

──先ほど言ったように、ボーカリストとしての進化は映像を観ても明らかで。最終日のご自身の歌についてはどう感じます?

高いところも低いところもよく出ていると思うので、ツアーができなかった期間を無駄に過ごしていなかったんだなとは思います。ただ、その期間にひたすら歌の練習をしていたかっていうとそういうわけでもないんですよ。なので、いつも以上に声がよく出ていたのは、みんなに会いたい、みんなに伝えたいという気持ちが大きく膨らんでいたからこそだとも思います。みんなと会えたことが、僕の声のいい部分をより引き出してくれた部分もあったと思うし。あ、でもね、自分の中で新しい歌い方を見つけたりはしたんですよ。こういう楽曲のときはこういう歌い方がいいんだなって、バシッとハマるものが見つかった。なので、去年の8月にやったファンクラブイベント(「A☆happy lab. Party 2021 ~Espoir Express~」)以降は今までのやり方と新しいやり方、2つの発声方法を駆使するようにはなっていますね。

──それって具体的にはどういった発声方法なんですか?

シンガーの方は腹式で歌うことが多いと思うんですよ。僕も基本はそう。でも、新たに見つけた発声は背中を使うものなんですよ。お腹ではなく、背中の筋肉で支えながら歌うと、楽曲によっては明らかに声の質や聞こえ方がガラッと変わるんです。「coRe」でもその発声方法は使っているので、よく聴いてもらえばきっとわかると思いますよ。「あ、これ背中だ!」みたいな(笑)。

蒼井翔太

蒼井翔太だからこそできるステージを追及したい

──では、「coRe」のファイナル公演で特に印象に残っているシーンはありますか?

そうだなあ……やり直ししたところって映像になってるんでしたっけ?

──DISC 2のドキュメンタリーにしっかり収録されています。

じゃあ話しても大丈夫か(笑)。ありがたいことに蒼井翔太のライブって、ハプニングが多いんですよ。それがファイナル公演でも見事にありまして。ライブの途中で出るものが出ないシーンがあったので、もう一度やり直したんです。そこはやっぱり印象に残ってますね。

──ハプニングが起きたあと、やり直すことを冷静に説明していましたよね。蒼井さん自らがお客さんに対して。

何かしらのハプニングが起きると、「ライブってやっぱり生だなー」ってすごく感じるんですよ。スタッフさんはヒヤヒヤだったらしいですけど、僕としてはもう「サプライズをありがとう!」って感じでした(笑)。そのまま進めるという選択肢もあったんですけど、僕としてはやり直したほうが面白いと思ったんですよね。そういうイレギュラーなことが起こると客席の皆さんも喜んでくれたりしますから。

──予期せぬハプニングに焦ったりすることはないんですか?

ないです、ないです。だってね、これまでの活動の中でとんでもないハプニングをたくさん経験してきてますから。一番すごかったのは、リリースイベントでお客さんに向けられたスピーカーから流れている曲と、僕のほうを向いているモニタースピーカーから流れている曲がまったく違うことがあったんですよ。2曲を聴きながら、片方の1曲を歌わなきゃいけないっていう(笑)。

──それはすごい状況ですね(笑)。

そういう経験を何度もしてきているので、少しくらいのハプニングはもう痛くもかゆくもないんです。今回も「あ、ちょっと風が吹いたな」くらいの感じでしたから(笑)。そのあたりの様子もBlu-rayで楽しんでもらえればなって思います。

──映像でも確認できますが、あの日のライブでは新曲を制作するという宣言もされていました。最後にここからの動きについても聞かせてください。

新曲に関してはもうレコーディングは終わっています。いろいろ発表できるのはもう少しあとになってしまうと思うのですが、ちゃんと進んではいるので待っていてください。あと、詳細はこれから発表されますが、次のツアーもすでに決まっています。この先もいろいろと楽しいことをたくさん用意しているので、それがみんなにとって日々をがんばる材料になってくれたらうれしいですね。

──次のツアーに向けて何か思い描いているビジョンはありますか?

蒼井翔太だからこそできるステージをより追求したいですよね。まだ具体的には決まっていないですけど、次はライブというよりはショーと呼べるようなものをお見せしたい気持ちもあるんですよ。「coRe」では歌を一番に届けるシンプルなライブスタイルをお見せしたので、次はもっと目でも楽しめるものにしたいなって。常に進化した姿を見せることが僕のモットーなので、ぜひ楽しみにしていてください!

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「蒼井翔太 LIVE 2021-2022 WONDER lab. coRe」
衣装解説

「蒼井翔太 LIVE 2021-2022 WONDER lab. coRe」

2020年に開催する予定だったツアー「DIMENSION」で着るはずだった衣装を着たいと、衣装スタッフさんにお話ししました。スタッフさんもとても喜んでくれましたね。今までになかったフォーマルな感じの衣装で、シルエット的にもスタイリッシュに仕上げていただきました。落ち着いた色をベースにしつつ、僕の大好きなオレンジで明るさも入れてもらっています。


「蒼井翔太 LIVE 2021-2022 WONDER lab. coRe」

ゼブラ柄の衣装です。最初に僕がデザインした時点で、シマウマさんの画像を見ながらなんとかこの模様を描いていましたね(笑)。デザインの原画をスタッフさんに見せたところ、「珍しいね」という話になって。新しい蒼井翔太を見せられると思いました。衣装はモノトーンでシックに仕上げて、髪に紫を取り入れることで色を加えて。ハットも、この衣装で歌うダンスチューンに合うんじゃないかというところで被りました。あとから自分で映像を観ても、帽子からのぞく自分の顔がすごく新鮮でした。


「蒼井翔太 LIVE 2021-2022 WONDER lab. coRe」
「蒼井翔太 LIVE 2021-2022 WONDER lab. coRe」

デニム生地と和柄を組み合わせた衣装です。このブロックは和の雰囲気で始まるんですけど、そのあとダンスチューンのパートになるので、ダンスに合うデニム生地を選ばせてもらって。デニム生地だからこそ、ドレープもきれいで、どの角度から見ても面白いドレスになっていると思います。さらに大きなスカートを着け外しできたら変化もあって面白いんじゃないかと思って、そういう形でデザインさせていただきました。スカートのところの帯も付け外し可能になっていて、会場によって緑とゴールド、紫とゴールドなど、帯の色が変わっていたりもします。横腹のラインは黒になってるんですけど、黒だけだとちょっと寂しいかなと思って、僕の大好きなオレンジをメッシュ柄で入れてもらって華やかさをプラスしました。左足でもオレンジのレギンスをチラ見せしていますね。耳のイヤリングは、去年リリースしたシングル「give me ♡ me」で頭に付けていた飾りをアレンジしたものです。

プロフィール

蒼井翔太(アオイショウタ)

2011年に声優デビューし、「うたの☆プリンスさまっ♪」シリーズの美風藍役で注目を浴びる。2013年6月にミニアルバム「ブルーバード」でアーティストデビュー。声優として活躍しながら、アーティストとしても高い歌唱力と表現力が評価され、2016年3月には東京・日本武道館でワンマンライブ「蒼井翔太 LIVE 2016 WONDER lab. ~僕たちのsign~」を行った。その後も「デビルズライン」や「この音とまれ!」など、さまざまなアニメの主題歌を担当し、音楽作品をリリース。2021年3月に日本武道館で無観客生配信ライブ「蒼井翔太 ONLINE LIVE at 日本武道館 うたいびと」を実施し、7月にはテレビアニメ「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X」のエンディングテーマ「give me ♡ me」をシングルリリースした。2021年12月よりライブツアー「蒼井翔太 LIVE 2021-2022 WONDER lab. coRe」を開催。ファイナルの東京ガーデンシアター公演の模様を収めたライブBlu-rayを6月にリリースする。