音楽ナタリー PowerPush - アンジェラ・アキ 日本武道館ライブBlu-ray / DVD発売記念 村石雅行×沖山優司
本人不在のインタビュー 2人が語るアンジェラの素顔
アンジェラ・アキのライブBlu-ray / DVD「アンジェラ・アキ Concert Tour 2014 TAPESTRY OF SONGS - THE BEST OF ANGELA AKI in 武道館0804」が本日12月17日にリリースされた。今作はアンジェラ・アキが今年8月に東京・日本武道館で行ったラストライブの模様を収録したもの(参照:アンジェラ・アキ休止前ラスト万感の武道館)。日本での音楽活動休止を発表していた彼女の最後のパフォーマンスを、余すことなくパッケージしている。
ナタリーでは、バンドメンバーとして長きにわたって彼女をサポートし続け、日本武道館公演でも同じステージに立った村石雅行(Dr, Key, Cho)と沖山優司(B, G, Key, Cho)の対談をセッティング。アンジーとの思い出や、武道館公演のエピソードなどをたっぷりと語ってもらった。また特集の後半では、12月7日に全国7会場で行われた今作の先行上映イベントの模様をレポート。作品を観覧したファンの感想やアンジーへのエールと、アンジー本人のメッセージを掲載している。
取材・文 / 山田邦子 撮影 / 梅田航
村石雅行×沖山優司対談
アンジー流の距離の縮め方
──最近も、一時帰国していたアンジーさんとお会いになったそうですね。
村石雅行 そうですね。そのときの印象は、すごく若返ってた。学生の顔してたね。
沖山優司 18歳くらいの人たちと一緒に学んでるわけだからフレッシュな感じでしたよ。でも相変わらず飲みましたね。少なめにしようって言ってたんだけど、止まるわけがない(笑)。
村石 そう。ベロンベロンになりました(笑)。
──今回のこの企画のお話もされたそうですが。
沖山 そうでしたっけ? あ、「インタビュー、2人でちゃんとお願いね!」と。
村石 我々、基本的に彼女の舎弟ですから(笑)。俺、年齢は彼女のひと回り上なんですよ。オッキーなんてもっと上で。それなのに、彼女は最初のツアーのときから俺らの上に立つことによって、世代の距離を縮めてきたんですよ。
──なるほど!
村石 いつまで経っても「村石さん、沖山さん」って気を遣う感じで言ってたら、距離なんて縮まんないわけですよ。だから最初からすごく楽だったんですよね。
沖山 あえて、そういうふうにやってくださってたんですよね。
村石 最初のツアーのときから部屋飲みをしたんです。そのときのメンバーはギターの西川(進)さん、沖山さん、俺だったんで、バンドの中で一番年下だからってことで俺の部屋で。
──アンジーさんのチームはツアー先で部屋飲みするって、昔からよく聞いてました。
沖山 キーワードが「ファミリー」でしたから。そういう点ではね、大事にされてました。
村石 俺はまあ、よくペシペシやられてましたけどね(笑)。
沖山 (笑)。
村石 俺なんか、わざと気に障るようなこと言っちゃうから(笑)。で、それをサカナにまたみんなで飲むみたいなね。
──さすがアンジーさんですね。わかってる。
村石 うん。普通、みんな先輩に対してどこか遠慮があったりもするけど……。
沖山 そういう扱い、一切なかったですね。
村石 でもそれでグッとね、チームの愛が深まった。
この子は売れる、という確信
──沖山さんも村石さんも、最初はライブではなくレコーディングの現場でアンジーさんとお会いになったんですよね。
村石 そうそう。オッキーはデビュー前のデモテープのときからで。
沖山 うん、確かスタジオで3曲くらい弾いた。その次はデビューシングル「HOME」で、そのときから僕ら一緒にやってるよね?
村石 そうですね。僕は最初、本人から丁寧なお手紙をもらったんですよ。彼女が日本に帰ってきたばかりのときに、J-POPのCDをいろいろ聴いてた中で特に椎名林檎さんが心に響いたらしく、そこで叩いてたのが僕だったんです。それで呼んでいただいて。
沖山 憧れのドラマーだったんですよ。
村石 いやいやいや。それがいきなりね、最初のツアーで変わりましたから(笑)。
沖山 ははは(笑)。
村石 でもレコーディングで初めて会ったときは、すごく礼儀正しい人でビックリしたことを覚えています。それから頻繁にレコーディングに呼ばれるようになりましたけど、やっぱりうれしかったですよ。
──そこからアンジーさんに対する印象はどんなふうに変わっていきました?
村石 変わったというか、1stシングルの「HOME」と2ndの「心の戦士」で、絶対にこの子は売れるって俺は確信しました。毎回すごく楽しいレコーディングだったんですけど、デビューして少し経ったときかな? 「今年中に売れなくてごめんなさい」って言われたんです。
沖山 へえ。
村石 それはすごく覚えてて。「大丈夫だから。君は絶対に売れるから」って俺は言ったんです。
沖山 僕も、4枚目の「This Love」を聴いたときに「行ける」って思いました。たまたま大阪のホテルにいたときにテレビのスポットか何かで流れてて、「これはすごい」と。電波ノリのいい曲っていうんですかね。自分が弾いてるから知ってるはずなんだけど、サビの部分が流れてきたときのインパクトというかパワーがドーンときたんですよね。
村石 ある日たまたま渋谷のスクランブル交差点のところを渡ろうと歩いてたら、巨大ビジョンに「『This Love』6位!」ってテロップが出てたことがあって。あれはすごく覚えてる。自分のことのように本当にうれしくて、横断歩道渡らずにしばらく見てました。あと、その1つ前の「Kiss Me Good-Bye」のCDが完成して送られてきて、それを聴いたときにもすごく感動しましたね。歌声に癒されたというか。
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- Contents Index
- 村石雅行×沖山優司 対談
- 先行上映イベントレポート
- ライブDVD / Blu-ray「アンジェラ・アキ Concert Tour 2014 TAPESTRY OF SONGS- THE BEST OF ANGELA AKI in 武道館0804」 / 2014年12月17日発売 / EPICレコードジャパン
- 「アンジェラ・アキ Concert Tour 2014 TAPESTRY OF SONGS- THE BEST OF ANGELA AKI in 武道館0804」
- Blu-ray Disc / 7400円 / ESXL-48
- DVD / 6300円 / ESBL-2374~5
収録内容
- 告白
- Again
- 輝く人
- Final Destination
- Kiss Me Good-Bye
- 心の戦士
- 大袈裟に愛してる
- TRAIN-TRAIN
- スナックふるさと
- 孤独のカケラ
- 始まりのバラード
- モラルの葬式
- 乙女心
- ダリア
- This Love
- 夢の終わり 愛の始まり
- MUSIC
- たしかに
- 手紙 ~拝啓 十五の君へ~
- HOME
- サクラ色
特典映像
ANGELA AKI 2005-2014
アンジェラ・アキ
1977年徳島県出身、ピアノ弾き語りスタイルが特徴の女性シンガーソングライター。中学卒業時からアメリカに移住し、大学時代から本格的に音楽活動を開始した。2005年9月にシングル「HOME」でメジャーデビュー。2006年6月にリリースした1stアルバム「Home」は60万枚を超えるロングセラーを記録し、老若男女問わず幅広い人気を獲得する。また、同年12月日本武道館にて史上初となるピアノ弾き語りライブを行い、以降年末の武道館弾き語りライブが恒例化する。2008年には全国学校音楽コンクールの課題曲として「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」を提供し、このシングルはプラチナディスクに認定。2013年11月に、2014年秋からアメリカの大学に留学しブロードウェイミュージカルプロジェクトに専念することを発表。2014年3月5日にベストアルバム「TAPESTRY OF SONGS -THE BEST OF ANGELA AKI」をリリース後、4月より全44公演の全国ツアーを実施し、8月4日の東京・日本武道館公演をもって日本での音楽活動を無期限休止した。
村石雅行(ムライシマサユキ)
1964年生まれ。東京藝術大学在籍時より工藤静香、森高千里らのバックドラマーを務める。大学卒業後はKENSOや葉加瀬太郎率いるクライズラー&カンパニーに参加した。これまでに松任谷由実、椎名林檎、アンジェラ・アキ、スキマスイッチらのツアーサポートを担当。ドラムスクール「村石雅行ドラム道場」を運営するなど後輩の育成にも尽力している。
沖山優司(オキヤマユウジ)
1959年生まれ。1979年に近田春夫&BEEFを経て、1980年にテクノポップグループのジューシィ・フルーツのメンバーとしてデビュー。1985年のバンド解散後は、1987年にビブラストーンのメンバーになりアーティストとしての名を広めるほか、ベーシスト、作・編曲家としても活躍。ライブサポートを務めるアーティストに、アンジェラ・アキ、YUKI、清春、安藤裕子らがいる。