音楽ナタリー PowerPush - アンジェラ・アキ 日本武道館ライブBlu-ray / DVD発売記念 村石雅行×沖山優司
本人不在のインタビュー 2人が語るアンジェラの素顔
常に前に向かって進んでいる
──約4カ月、全44本のツアー。ファイナルの日本武道館当日の心境はいかがでした?
村石 俺はね、アメリカに行くって本人からメールがきたときだけ「お別れなんだ」と思ったけど、時が経つに連れて、また絶対一緒にやれるっていう気持ちに変わっていったんです。お別れという気持ちは、ツアーに入ってからはまったくなかった。そこはオッキーと違ってたかな。必ず帰ってくるって、絶対そうなるって思ってたから、武道館のときも同じ感覚でしたよ。
──村石さんは本番のMCでもアンジーさんに「向こうで用事済ませたらすぐ戻ってきてね」って、ちょっとそこまで行くみたいな感じの言葉を贈られてましたよね。
村石 なんか家族で旅行に行ってるぐらいの感じに思えるんですよ。そのうちすぐ帰ってくるんだからって。得るものを得たら帰ってくるって、僕は思ってるんで。
──お2人から見て、当日のアンジーさんの様子はどうでした?
村石 いい演奏だったと思いますよ。素晴らしかった。
沖山 ファイナルの武道館の直前、大阪2DAYSまで構成とかでいろいろ悩んでたけど、それが決まってからは吹っ切れたというか、生き生きとしてた気がします。
村石 本人も納得してたしね。今回のツアー中でも、試行錯誤やいろいろ苦悩する部分があったけど、常にそれだけ完成度の高いものを求めてたんでしょうからね。
沖山 最後だし、大事にやりたいと思ってたんだと思うし。
──ファイナルなんだけど、ものすごく前に向かって進んでるツアーであり、武道館だったなと思います。
沖山 それがアンジーだよね。前向きですよね、常に。
村石 留まらない人ですから。
──最後の曲をアンジーさんが1人で歌い終えて舞台裏に戻ってきたときはどうでした?
村石 マネージャーが泣いてたから、泣けなかった(笑)。
沖山 先に泣かれちゃうとね。
村石 「終わったー」って顔してたね。ホッとしてたと言うか、悲しんではいなかった気がする。
沖山 あの最後の曲「サクラ色」はステージの脇で見てたんですけど、桜吹雪が舞うシーンはグッときましたね。いいシーンでしたよ。
──この武道館公演が1つの区切りとなったわけですが、お2人の中では、今後もまた一緒にやれるという思いでいらっしゃるようですね。
沖山 そうですね。アメリカでいろいろ音楽を学んでいただいてね。
村石 そして外国人……黒人のベーシストとドラマーを連れて帰ってくる、みたいな(笑)。
沖山 あははは!(笑) で、僕らのところにはライブの招待チケットが届くとか。そしたら、僕らローディーとしてツアーに帯同しましょうか(笑)。
“初老の2人”による即興演奏と小芝居
──では最後にこのDVDの見どころについて伺いたいのですが、今日はせっかくお2人に来ていただいてるので、2人のセッションについての話はいかがでしょうか。あのセッションには正式なタイトル名はないのですが、内輪では「耐え難き初老の日々」という名前で呼ばれてたんですよね。
沖山 そうです、そうです(笑)。
──村石さんの案で「貴重な青春の日々」と呼ばれるようになったんだけど、リハをやっていくうちにお2人がしんどいと言い出して結局「耐え難き初老の日々」になった、と以前アンジーさんに聞きました。
村石 ま、そういうことにしておきましょうか(笑)。
沖山 初老の2人ですから(笑)。
村石 あの曲はアドリブで毎回違う感じでやってきてたんだけど、最後のほうはこのDVD収録のこともあるから、なんとなく同じ感じで固めてきてたんですよ。そしたらアンジーに怒られちゃって。
沖山 そうそう。「小さくまとまるな、最初のインプロみたいなほうが全然カッコいい」って。
村石 だから武道館は即興ですよ。何も決めずにね。そしたらあの日は、アンジーの衣装替えか何かに時間がかかったみたいで、それまでのホールでのライブの倍くらいの時間がかかって。ドラム叩きながら「まだ来ないの?」みたいな。こっちはなんとなく起承転結付けて、そろそろ終わろうかと思ってるのに全然来なくて。あれはけっこうきつかったな。それも収められてるってことですね?
──あ、それでドラムスティックを折ったんですか?
村石 いや、まあそれは、ね。
沖山 耐え難い感じになって(笑)。あ! あと小芝居も入ってるんですよね!?
村石 参ったな、あれはカットされると思ってたのに。
沖山 どうしてやらせるかね、素人に(笑)。
──アンジーさんがスナック「ふるさと」のママに扮してトークを展開する名物コーナーで、今回はお2人もお客さんとして登場されたんですよね。
沖山 リハでは何度ダメ出しされたことか(笑)。「ちゃんとセリフしゃべって!」「滑舌よく!」って。
──じゃあその成果もたっぷりDVDでご覧いただけると。
沖山 恥ずかしくて自分じゃ観られないわ。
──スナック「ふるさと」が次回いつ開店するのかを待ちつつ(笑)、この顔ぶれがまたそろうことを心待ちにしたいと思います。
沖山 スナック「ふるさと」も、次はセリフとか全部英語になってたりしてね(笑)。
村石 あははは!(笑)
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- Contents Index
- 村石雅行×沖山優司 対談
- 先行上映イベントレポート
- ライブDVD / Blu-ray「アンジェラ・アキ Concert Tour 2014 TAPESTRY OF SONGS- THE BEST OF ANGELA AKI in 武道館0804」 / 2014年12月17日発売 / EPICレコードジャパン
- 「アンジェラ・アキ Concert Tour 2014 TAPESTRY OF SONGS- THE BEST OF ANGELA AKI in 武道館0804」
- Blu-ray Disc / 7400円 / ESXL-48
- DVD / 6300円 / ESBL-2374~5
収録内容
- 告白
- Again
- 輝く人
- Final Destination
- Kiss Me Good-Bye
- 心の戦士
- 大袈裟に愛してる
- TRAIN-TRAIN
- スナックふるさと
- 孤独のカケラ
- 始まりのバラード
- モラルの葬式
- 乙女心
- ダリア
- This Love
- 夢の終わり 愛の始まり
- MUSIC
- たしかに
- 手紙 ~拝啓 十五の君へ~
- HOME
- サクラ色
特典映像
ANGELA AKI 2005-2014
アンジェラ・アキ
1977年徳島県出身、ピアノ弾き語りスタイルが特徴の女性シンガーソングライター。中学卒業時からアメリカに移住し、大学時代から本格的に音楽活動を開始した。2005年9月にシングル「HOME」でメジャーデビュー。2006年6月にリリースした1stアルバム「Home」は60万枚を超えるロングセラーを記録し、老若男女問わず幅広い人気を獲得する。また、同年12月日本武道館にて史上初となるピアノ弾き語りライブを行い、以降年末の武道館弾き語りライブが恒例化する。2008年には全国学校音楽コンクールの課題曲として「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」を提供し、このシングルはプラチナディスクに認定。2013年11月に、2014年秋からアメリカの大学に留学しブロードウェイミュージカルプロジェクトに専念することを発表。2014年3月5日にベストアルバム「TAPESTRY OF SONGS -THE BEST OF ANGELA AKI」をリリース後、4月より全44公演の全国ツアーを実施し、8月4日の東京・日本武道館公演をもって日本での音楽活動を無期限休止した。
村石雅行(ムライシマサユキ)
1964年生まれ。東京藝術大学在籍時より工藤静香、森高千里らのバックドラマーを務める。大学卒業後はKENSOや葉加瀬太郎率いるクライズラー&カンパニーに参加した。これまでに松任谷由実、椎名林檎、アンジェラ・アキ、スキマスイッチらのツアーサポートを担当。ドラムスクール「村石雅行ドラム道場」を運営するなど後輩の育成にも尽力している。
沖山優司(オキヤマユウジ)
1959年生まれ。1979年に近田春夫&BEEFを経て、1980年にテクノポップグループのジューシィ・フルーツのメンバーとしてデビュー。1985年のバンド解散後は、1987年にビブラストーンのメンバーになりアーティストとしての名を広めるほか、ベーシスト、作・編曲家としても活躍。ライブサポートを務めるアーティストに、アンジェラ・アキ、YUKI、清春、安藤裕子らがいる。