ナタリー PowerPush - アンジェラ・アキ
音楽人生を捧げる「LIFE」 デビュー5周年は新たな旅立ちの一歩
アンジェラ・アキ、1年半ぶり4枚目のアルバムのタイトルは「LIFE」。大きなテーマを持って作られた今作は、壮大な世界観で聴く者を圧倒するバラードから個人の人生観を綴ったミニマムなアコースティックナンバーまで、さまざまなスケールで多種多様な“LIFE”が描かれる。中にはジャニス・イアンとの共作ナンバー、亀田誠治プロデュース楽曲、本格的なオーケストラを導入した曲も盛り込まれ、より深化した彼女の世界を楽しむことができる。
ナタリーでは今回、アンジェラ・アキに初インタビューを敢行。アルバム「LIFE」の真意やデビュー5年目の思い、自身のオリジナリティについてじっくりと語ってもらった。
取材・文/鳴田麻未
どこに向かっていってもいい自由なタイトル「LIFE」
──アルバム4作目でデビュー5周年。このタイミングで「LIFE」という言葉をアルバムタイトルにしたのはなぜですか?
実はもう2年ぐらい前から頭の中に思い浮かべてたタイトルなんです。まず、今までのアルバムタイトルが「Home」「TODAY」「ANSWER」ときて、次も自分の気持ちをスパッと表す一言の言葉がいいなと思ったのがひとつ。それからデビュー5周年っていうとベスト盤とかを出すことが多いと思うんですけど、私の中ではここを節目にして旅立ちの1年目にしたい、これからの目標を示す1年目にしようっていう気持ちがあって。「LIFE」っていうのは、今の自分も”LIFE“、音楽人生15年間も”LIFE“、新しい夢を追うこれからも”LIFE”というふうに、ここからどこに向かっていってもいい自由なタイトルだと思うんです。で、「LIFE」というテーマを決めたら、素直に自分の人生の喜怒哀楽を綴ってみようと思えたんですね。
──ではタイトルを決めてから制作を始めたんですね。
そうなんです。一言で「LIFE」といっても、生と死という意味の“LIFE”、日常生活という意味の“LIFE”、人生全体を表わす“LIFE”といろいろありますから、さまざまな意味を持たせて曲を作っていきました。
──壮大かつ重いテーマにも思えるんですが、そこに挑戦するプレッシャーのようなものはなかったんですか?
プレッシャーという意味では、前作の「ANSWER」のほうがグッと力んじゃってたかもしれないな。あのときはね、1カ月ぐらい家にこもりっきりで1人でガーッとっていう、ものっすごい内向的な作り方をしたんですよ。だからすごくパーソナルな部分が出たアルバムになったんだけど、今回はその逆で、ジャニス(・イアン)との共作とか、また亀田(誠治)さんをプロデュースに迎えた曲もあったりして、すごく外に向いてるアルバムになったなと感じます。だから、テーマを決めて制作するのは難しかったというより楽しかったですね。
恋愛も人生も周期
──今回のアルバムは13曲中6曲が英語詞で、過去最多になりますね。
半分英語でいこうというのは、アルバムタイトルを考えたときから決めてました。ふと私自身の“LIFE”を振り返ってみると、自分はアメリカと日本のハーフで、歌い始めたのも英語、曲を作り始めたのも英語だったなって。だから英語にも日本語と同じくらい思い入れがあるので、ちょうど5年目のこのタイミングで、自分の言葉で英語の曲を書いてみようと思いました。
──なるほど。それから曲順も悩んだと思うのですが、当然ここにもアンジェラさんの意図が込められてるんですよね?
ひとつ挙げると「愛の季節」を1曲目にしたのはね、恋愛も人生も周期で巡り巡ってるんだって言い表す歌をまず冒頭に置きたくて。私は、“別れの歌の専門家”なんて肩書きを自分で勝手に付けるぐらい、恋愛ソングを作ってもほとんど別れの歌になっていくんだけど、この曲は別れじゃないの。出会いの春、思い焦がれる夏、すれ違いの秋、別れの冬……と来て、いつもだったら1人で迎える春っていうところに着地するんだけど(笑)、今回はそうじゃなくてもう一度お互い向き合って2人で迎える春。要は人生も同じで、周期が巡るたび成長していくし、喜怒哀楽も回りまわってまたやって来ると。
CD収録曲
- 愛の季節
- 輝く人
- Every Woman's Song
- サイン
- Remember Me
- Unbreakable
- What Are The Roses For?
- 愛と絆創膏
- Mad Scientist
- The Truth Is Like A Lie
- Bop Bop Bop (Colors of Your Soul)
- 母なる大地
- LIFE
初回盤DVD収録内容
- HOME
- 心の戦士
- Kiss Me Good-Bye
- This Love
- サクラ色
- 孤独のカケラ
- たしかに
- Again
- 手紙 ~拝啓 十五の君へ~
- 愛の季節
- 輝く人
アンジェラ・アキ
1977年徳島県出身、ピアノ弾き語りスタイルが特徴の女性シンガーソングライター。日本人とイタリア系アメリカ人とのハーフで、黒縁メガネにTシャツ&ジーンズといった気取らない格好がトレードマーク。中学卒業時からアメリカに移住し、大学時代から本格的に音楽活動を開始した。2005年9月にシングル「HOME」でメジャーデビュー。2006年6月にリリースした1stアルバム「Home」は60万枚を超えるロングセラーを記録し、老若男女問わず幅広い人気を獲得する。また、同年12月日本武道館にて史上初となるピアノ弾き語りライブを行い、以降年末の武道館弾き語りライブが恒例化する。2008年には全国学校音楽コンクールの課題曲として「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」を提供し、このシングルはゴールドディスクに認定。2009年リリースの3rdアルバム「ANSWER」もチャート1位を記録し、老若男女問わず幅広い人気を獲得している。