イベント用に入門編的1枚を……って今、思い付きました

──そしてシングルと同時発売されるアイテムの1つ、ベスト盤の「宝箱2 -TREASURE BOX II-」なんですけど、実は単に周年イベントの一環でリリースしたわけじゃないんじゃないかっていう気がしていて。

atsuko　そうですか？

──1枚目のベスト盤「宝箱 -TREASURE BOX-」のリリースは2007年。デビュー4周年のときですから。ぶっちゃけキリが悪いんです（笑）。

KATSU　5周年ならまだしも（笑）。

atsuko　確かに「宝箱 -TREASURE BOX-」のリリース時期は関係しているかも。最近、アニメ系のフェスやイベントが増えていて、そういうところに出演するときって物販コーナーにCDを並べたりするんですけど、別のアーティストさんや声優さんを目当てに観に来た人にとってはベスト盤って一番手に取りやすいんですよね。

──入門編としてはうってつけですよね。

atsuko　しかもフェスやイベントで歌う曲ってやっぱり最近の曲だったりするじゃないですか。でも前のベストには「gravitation」（2007年5月リリース）までしか入ってないわけですし。だからこのタイミングで出せたらきっといいんじゃないかって……今、思い付きました（笑）。

──あはははは（笑）。でもすごく腑に落ちました。アニソンシーンに限らず、音楽業界全体でフェスやイベントは増えているし、どのアーティストにとっても一見のリスナーと接触する機会は増えているわけだから。

atsuko　イベントで手にしてほしいっていうのは今思い付いたことですけど、そういう気はするんですよ。ただ「宝箱 -TREASURE BOX-」から6年も経ってるからホントに困って。angelaってアニメのオープニングとエンディングの両方を担当させてもらうことが多いんですけど、それ全部入れたら5枚組だよ！って（笑）。

──選曲の基準は？

KATSU　ライブやイベントでよく演奏するものと、あとファンの方から「好きです」ってお便りをいただくものを中心に選んでみました。

「おどろおどろしいこと歌ってるなあ」「面倒くさい録り方してるなあ」

──改めてこの6年のカタログをご自分たちで聴いてみた印象って？

atsuko　言っちゃいけない気もするんですけど「これ、もう1回歌い直したい」っていう曲はやっぱりありますよ（笑）。

──当時と今とではご自身の気分も違うでしょうからね。

atsuko　歌い方についてもそうですし、歌詞も改めて冷静に見てみると今の自分と違っていて。まあそれが面白いんですけどね。「蒼穹」の「死者の上に立っているようなものさ」とか、「KINGS」の「血を見るまで容赦はしないの」とかおどろおどろしいこと歌ってるなあって（笑）。間違いなくそのときの私が感じていたことなんですけど、時間を置いて聴いてみると、ビックリしますよね。

KATSU　うん、ビックリはある。当時はレコーディング環境も僕自身の作曲や編曲のために組み上げたシステムも作曲方法も違いますから。聴いてると「ストリングス、キレイに録れてるなあ。あの環境で」って思ってみたり、「なんかコイツ面倒くさい録り方してるなあ」って驚いてみたりして（笑）。で、曲とともに記憶が蘇るのってたぶん僕らだけじゃないと思うんですよ。確かに入門編的なベストではあるんだけど、ファンの方が聴いても、当時の記憶が蘇ってきたり、収録曲がテーマソングになっていたアニメのことを思い出せたりして、やっぱり面白いんじゃないかな、って思いますけどね。

スゲー長い打ち合わせの末に完成したバラード集

──「宝箱2 -TREASURE BOX II-」は2枚組。DISC 1はベスト盤で、DISC 2はバラードコレクションになっています。なぜバラードを集めようと？

atsuko　これは今思い付いたわけではなく（笑）、イベントやワンマンライブの影響ですね。特にイベントの場合、セットリストをアップテンポなものに寄せることが多いんですよ。ワンマンライブでもバラードは20数曲中、まあ3曲か4曲か。でもバラード曲が不人気かって言われると、おかげさまでそうではなくて。最初のアルバム（2003年12月リリース「ソラノコエ」）に入っている「幸せの温度」っていう曲は「自分たちの結婚式のBGMに使いました」って声をよくいただくくらい愛されていたりはしていて。だからangelaのアナザーサイドっていうのを見せられたらいいなっていうことで。でも、これがまた選曲が大変で。

──まあどう考えてもバラード曲がこの11曲しかないわけじゃないですしね（笑）。

atsuko　だから私とKATSUとマネージャーとプロデューサーとで、赤坂のルノアールに……何時間いたっけ？

KATSU　スゲー長く（笑）。

atsuko　「宝箱 -TREASURE BOX-」にも入っていたバラードは今回のコレクションに入れていいのか？とか、angelaの代表曲を集めたって言ってるのに、この曲が入ってないのは違うんじゃないのか？とかっていう話があったから、すごく時間がかかったんですよ。あと2人とも推したい曲があったし。

KATSU　僕は「Darling」を推して。ウチの母親もやっぱりangelaを聴いていてくれて、その影響で母親の友達も僕たちのことを知っていたりするんですけど、その母親や友達が「Darling」が一番好きだって言ってたんですよ。普段アニメを観ないような人たちが好きだって言ってくれるのは、単純に曲としていいからなんだろうっていう思いがあってゴリ押ししました（笑）。実際スゲーロマンチックな曲だと思ってますし。

atsuko　私は「Proof」か。もう10年くらい前に「蒼穹のファフナー」っていうアニメのイメージソングとして書いた曲なんですけど、これまでのangelaの曲の中でも特に歌詞の内容とメロディラインのハマり方がいいな、と思っていて。すごくいいことを歌えているし、よく作れている曲だな、と思ったので。