ナタリー PowerPush - angela

人々の声と思いの中に見出した グループのカタチと「ANGEL」のカタチ

今年デビュー10周年を迎えたangelaがニューシングル「ANGEL / 遠くまで」をリリースした。このシングルの表題曲は現在放送中のアニメ「COPPELION」のオープニングテーマ、カップリングの「遠くまで」は同アニメのエンディングテーマ。突如起こった事故で崩壊した旧首都を物語の軸のひとつに据えたアニメのテーマソングらしく、いずれもエモーショナルでダイナミックなメロディとatsuko(Vo)の叩きつけるようなハードな言葉の数々が特徴的な楽曲に仕上がっている。

そこで今回のインタビューでまずangelaの2人にこの10年を振り返ってもらうことで、angelaサウンドの制作スタイルを紐解いた。そして11年目第1弾シングル「ANGEL / 遠くまで」はどのような思いから、いかにして作られたのか。その制作秘話を大いに語ってもらった。

取材・文 / 成松哲

 
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検証「angelaサウンドはなぜカッコいいのか?」

──5月のデビュー10周年記念ライブ(参照:angela10周年記念ツアー初日、3時間で計30曲超をプレイ)とアニサマ(Animelo Summer Live 2013)を観ていて、angelaって不思議なグループだなって思ったんです。特にアニサマを観ていて印象的だったんですけど、実はお2人の楽曲ってイマドキのアニソンに比べるとBPMはそれほど速くはなくて、4つ打ちの曲も少ない。正統派でタイトな8ビートを刻む曲が中心で。だけどどのアーティストよりも盛り上げてみせる。angelaのカッコよさってイマドキのトレンドとはまた別の独自の美意識に裏打ちされているもののような気がしたんです。

KATSU(G, Key) 言われてみれば、確かに僕らはリズム感やテンポ感よりもメロディをキレイに聴かせることを大事にはしている気はします。僕とatsukoが作ったメロディを一番キレイに聴かせられるテンポはどのくらいか?っていうことを考えると、そうそう速くはできないんですよ。確かに僕らの曲もこのままテンポを速くしちゃえば最近のアニメソングみたいに聞こえるのかもしれないけど、それはなんかしっくりこないというか。この10年間リリースしてきた楽曲のようなテンポ感が一番気持ちがいいんですよね、聴いてて。

atsuko(Vo そのテンポ感やリズム感っていうのは自分たちが一番最初に音楽にハマった年代。たぶん80~90年代なんですけど、その頃の曲って全然速くないじゃないですか。すごくノリノリだと思っていた曲を今聴くと「えっ、こんなにテンポ遅いんだ」っていうのがけっこうあって。だからってノリノリじゃなくなるか、というとそうじゃない。そういう曲の影響もあるのかなとは思います。あとなんて言えばいいんだろう。ちょっとした80年代感というか、90年代感というか。言ってしまえばダサさ?(笑) なんか曲の中に一瞬のダサさがあるのが好きなんです。

KATSU 聴く人の印象に残りやすいんですよね。

atsuko 「ダサさを大事にしてる」っていうと、ダサい音楽をやってるみたいでイヤなんですけど(笑)、曲にせよ歌詞にせよ「あっ、ここちょっとダサいかも。でもなんか心に残るな」みたいなラインを考えながら書いていることはよくありますね。

「全部やりたかった」インディーズ時代

──その“ダサさ”って“キャッチーさ”って置き換えてもいいわけですよね?

atsuko あっ、そう言えばいいのか(笑)。そのキャッチーさは大事にしてるのかな、って思います。胡椒みたいなものというか。

──振らなくてもいいんだけど、振っておくとさらに味がよくなる、みたいな(笑)。

atsuko そうそう(笑)。

KATSU ただ意図的に胡椒を振っているというか、あえてキャッチーにしようとしているわけでもないんですよ。2人がメロディやリズムを作ると、今のangelaのような曲ができあがるというだけで。「テンポ感が今のアニソンとはちょっと違いますよね」って言われて改めて考えてみたら「こういうことなのかもしれないな」と気付いただけなんです。

atsuko だって私たち結成して20年なんですけど、最初の10年はかなり節操のない10年でしたし(笑)。

KATSU そのとき売れているものと似て非なるものを作り続け(笑)。

atsuko 「今売れてるジャンルの曲を作ればデビューできるんじゃないか」っていう浅はかな考えで(笑)。小室(哲哉)さんが流行ればハイハットをチキチキ刻んでみたりもしたし……。

KATSU その前には渋谷系ブームがあったじゃないですか。あの頃は超おしゃれにやろうとしたこともあったし、orange pekoeとかEGO-WRAPPIN'が出てきたときに、ちょっとそういうちょっとジャジーなことをやってみたり(笑)。

atsuko 私、Charaさんがヒットし始めたころはずっとウィスパーボイスで歌ってましたからね(笑)。

KATSU だからその頃オーディションに行くと「君たちは何をやりたいんですか?」ってよく言われてて(笑)。「何をやりたい?」って聞かれると「いいと思う音楽をやりたい」としか言いようがなかったんですよね。EGO-WRAPPIN'にはEGO-WRAPPIN'のよさがあるし、小室さんには小室さんのよさがあるわけで。それを全部やりたいんだもん、って。

atsuko 逆に言うとそのオーディションの審査員の方の言う通りで、何もなかったんですよ、ホントに(笑)。

angela(あんじぇら)

岡山県出身のatsuko(Vo)とKATSU(G, Key)による2人組ユニット。それぞれ音楽を志し上京したのち結成し、楽曲制作を続けるかたわら、2000年頃より代々木、池袋などで路上ライブを積極的に展開。そのライブを通じて多くのファンを獲得すると同時に、現在の所属レーベル関係者との出会いを果たし、2003年シングル「明日へのbrilliant road」でメジャーデビュー。シングル表題曲とカップリング「綺麗な夜空」がテレビアニメ「宇宙のステルヴィア」のテーマソングに起用されたこともあり、1stシングルながらオリコン週間シングルランキングで15位をマークし、瞬く間にアニメソングシーンで存在感を示すこととなる。以来、アニメ「蒼穹のファフナー」の主題歌「Shangri-La」や、アニメ「アスラクライン」主題歌「Spiral」、アニメ「K」主題歌「KING」など、多くの人気アニメのテーマソングを担当。また「Animelo Summer Live」やアメリカの「SAKURA-CON」、カナダの「CANADIAN NATIONAL EXPO 、フランスの「Japan Expo」、など、国内外の大型アニメ系イベントにも多数招へいされる。2013年4月にはデビュー10周年記念アルバム「ZERO」をリリースしオリコン週間アルバムランキングで10位を獲得。11月にはデビュー11年目の第1弾作品となる両A面シングル「ANGEL / 遠くまで」を発表した。