ナタリー PowerPush - angela

人々の声と思いの中に見出した グループのカタチと「ANGEL」のカタチ

「わりと協調性を大事にするタイプなんですよ」

──なぜ作曲に苦心なさったんでしょう?

KATSU 「COPPELION」の世界との距離観で悩んだ部分はありますね。最初に作ったいくつかのデモはもっとスタンダードなangelaって感じの楽曲だったんですけど、ハードな世界を扱う作品なんだからもっと冒険というか、強い音にしようっていう思いがあって。その音を探すのに時間がかかった感じなんです。あと、僕がロゴを見たときパッとイメージしたのは「錆びたスチール弦」だったから、ヘビーなギターロックを作っていたんですけど、原作者の井上(智徳)さんから「『COPPELION』を描いているとき頭の中にはピアノの音が鳴っているんです」って話を聞きまして。僕の中ではピアノのようなちょっと形式ばった楽器の音は鳴ってなかったんですけど、こういう場合は原作者の方の言葉が一番の正解なんですよね。生みの親がその作品の中から聴き取った音なので。だから、今僕が聴いている音の中に井上さんの聴いているピアノの音を入れようか?ということでリアレンジしたりもしたんですよ。

──アニメソングを手がけるときは、今回のようにアニメ本編の制作スタッフの意見にはけっこう耳を傾けるんですか?

atsuko そうですね。アニメ主題歌に携わるときの私たちって「原作者とか監督とかアニメに関わる方たちのいろんな意見を聞ける環境をいただいている」っていう感覚でいるんですよ。もちろんみんなの意見を全部鵜呑みにして小さくまとまるつもりはないんだけど「いろんな声を聞く中でどうやってangela感を出すのか」っていうことを考えるのが好きなので、積極的にお話させていただいてから曲を書き始めることは多いですね。

──ただ「ANGEL」って10周年を迎えたangelaの一発目のシングルでもある。記念碑的なシングルでもあるわけですよね。

atsuko わりと協調性を大事にするタイプなんですよ。皆様に支えられての10周年ですから(笑)。それは半分冗談、半分本気みたいな話なんですけど「私たちは私たちの音を作ればいいのよ!」とは思っていない。いろんな方とお話することで気付かされることも多々ありますし。「ピアノの音が鳴っている」っていうお話をいただいたから「ANGEL」は無骨なだけじゃなくて、その奥に希望や明るさを感じさせる曲になったんだと思いますし、その音が詞を作る上でのヒントにもなりましたから。

非現実の中にリアルな共感やリンケージを求める

──atsukoさんの詞も特徴的ですよね。抽象的なんだけど強い言葉をリズミカルに、でもヘビーに叩き込むというスタイルで。

atsuko 「COPPELION」っていう作品のことを考えるとドヨンとしたものは書けなかったというか。だからちょっと口が悪いというか(笑)、シャープで強く耳に残る口語的な言葉を詰め込んでおきながら、ただ口が悪いだけじゃない。あの作品の世界のこれからを歌うことや、あとアニメのオープニングテーマであるという事実も大切にしたかったんです。だから「荒廃した状況であっても生きていくんだ」っていう応援歌にしたかったし、聴いている人に「おっ、このアニメ観たいな」って思ってもらえるものにもしたかった。口の悪い言葉なんだけど、でも希望を感じさせる、けっこう考え抜いて書いた詞にはなりましたね。

──アニメに寄り添いつつも、きちんとご自身のメッセージも盛り込まれている、と。

atsuko 今回に限らず自然とそうなりがちなんですよね。デビューしてからずっとアニメのテーマソングを書くことが多いので「その作品のどの要素を切り口に詞を書こうか」って考えるのが得意というか。反対に「好きなものを作ってください」って言われたらテーマもジャンルも無限大すぎて困っちゃうんですよ(笑)。「私、何か言いたいことがあったかな?」って。アニメに自分の気持ちを重ね合わせるほうがより自由に表現できる感じはありますね。

KATSU そうだね。「ANGEL」だったら「COPPELION」的世界への悲しみや憤りや悔しさを音に乗せていますし。それはデビュー曲の「明日へのbrilliant road」の頃から同じなんですよ。もともと2人とも岡山出身で、その後別々に上京してきてからangelaを結成したんですけど、あの曲がオープニングテーマになった「宇宙のステルヴィア」もヒロインの女の子が親元を離れるシーンからスタートしていて。だからあの曲には音楽を志して岡山から東京に出てきたときの2人の感情も込められているんです。

atsuko 特に私の詞については、なんですけど、なぜそうやって非現実の中にリアルを盛り込むような作り方になったかっていうと、結成間もない頃、KATSUが言っていた言葉がすごく印象的だったからなんです。当時同じように地元で音楽をやっていた仲間たちが自分の身の回りのことや生活のことを歌っているのを聴いたとき「お前が四畳半でどういう生活をしているかなんて、そんな日記みたいな歌、面白くねえよ」ってポロっと言ってたんですよ(笑)。

KATSU 全然覚えてない。というかヒドいな、オレ(笑)。

atsuko でも私の中ではそのひと言がすごく印象に残っていて。私も実はそういうタイプなので、当時からangelaの曲はもちろんですけど、詞にもあまり日常感は乗せないようにしていたし、今となってはアニメの世界に寄り添った楽曲を中心に作っていて。でも、そういうアニメっていう非日常的な物語の曲の中にも聴いている方に「あっ、私もこの感覚知ってる」って思ってもらえるような感情を盛り込むことはできるはずなんですよね。そうやって皆さんと感情をリンクさせることができたらいいな、とはいつも思ってます。

angela(あんじぇら)

岡山県出身のatsuko(Vo)とKATSU(G, Key)による2人組ユニット。それぞれ音楽を志し上京したのち結成し、楽曲制作を続けるかたわら、2000年頃より代々木、池袋などで路上ライブを積極的に展開。そのライブを通じて多くのファンを獲得すると同時に、現在の所属レーベル関係者との出会いを果たし、2003年シングル「明日へのbrilliant road」でメジャーデビュー。シングル表題曲とカップリング「綺麗な夜空」がテレビアニメ「宇宙のステルヴィア」のテーマソングに起用されたこともあり、1stシングルながらオリコン週間シングルランキングで15位をマークし、瞬く間にアニメソングシーンで存在感を示すこととなる。以来、アニメ「蒼穹のファフナー」の主題歌「Shangri-La」や、アニメ「アスラクライン」主題歌「Spiral」、アニメ「K」主題歌「KING」など、多くの人気アニメのテーマソングを担当。また「Animelo Summer Live」やアメリカの「SAKURA-CON」、カナダの「CANADIAN NATIONAL EXPO 、フランスの「Japan Expo」、など、国内外の大型アニメ系イベントにも多数招へいされる。2013年4月にはデビュー10周年記念アルバム「ZERO」をリリースしオリコン週間アルバムランキングで10位を獲得。11月にはデビュー11年目の第1弾作品となる両A面シングル「ANGEL / 遠くまで」を発表した。