雨のパレードが8月23日にメジャー3rdシングル「Shoes」をリリースする。
今作の表題曲は、テレビ東京系「ドラマ24」枠で放送中のドラマ「下北沢ダイハード」のエンディングテーマ。福永浩平(Vo)がこのドラマのストーリーから浮かび上がった“青春”や“少年心”というキーワードを歌詞やサウンドに落とし込んだ、ノスタルジックなナンバーに仕上がっている。音楽ナタリーでは初となるメンバー4人へのインタビューを行い、この曲の制作背景を中心に話を聞いた。
取材・文 / 石橋果奈 撮影 / 松木宏祐
「列伝」では広く感じていた赤坂BLITZ
──4月には東京・赤坂BLITZでワンマンライブツアー「Change your pops」の最終公演が行われました(参照:「列伝ツアー」から1年、雨のパレードが赤坂BLITZで観客と深いところへ)。雨のパレードは「スペースシャワー列伝15周年記念公演 JAPAN TOUR 2016 supported by uP!!!」からおよそ1年後、ワンマンで同じステージに立ったわけですよね(参照:雨パレ、マイヘア、夜ダン、フレデリックが踊った「スペシャ列伝ツアー」東京公演)。
福永浩平(Vo) すごいエモーショナルな夜になったんじゃないかなと思ってます。でも実際にステージに立ってみて、やっぱりまだまだだなっていうのを感じたし、いろいろな課題が見つかりました。最近さらによくなりそうな気がしているんで、次のワンマンでは格段にいいライブができるんじゃないかなと思っています。
──「まだまだだな」と思った部分とはどんなところですか?
福永 うーん……自分たちのオリジナリティをもっと出せたかなと思ってて。それは楽曲に関してではなくて、ライブの演出だったり見せ方だったり、自分たちに合ったパフォーマンスをもっと追求できるんじゃないかなという。
──でも前回のインタビューで言っていた通り、「feel」の演奏中に大澤(実音穂 / Dr)さんがドラムセットから離れてドラムマシンを使うという、新しい試みもありましたよね(参照:雨のパレード「Change your pops」インタビュー|多彩な楽曲群で“ポップスの概念を変える”)。
福永 そうですね。でも……まだまだですね。
──大澤さんは実際にドラムマシンをステージで使ってみていかがでしたか?
大澤実音穂(Dr) ボタンを押すだけだけど、ドラムに座ってるときとは全然違う緊張感がありました。間違えたらどうしようみたいな。
是永亮祐(B) 僕はもうライブが楽しくて、めちゃくちゃ気持ちよかったです。でもやっぱりお客さんをもっと楽しませないとダメだなとも思って。踊らせたいと言うか……。
山崎康介(G) 僕もけっこう自分のこととか、内側のことに意識が向きがちだったかもしれないです。もっと熱く、もっと外にわかりやすく提示できるようなパフォーマンスができるなって気付けたライブでもありました。あと最初ステージに上がったときは、「あっ意外とこのぐらいのサイズ感だったんだ」って感じて。「列伝」のときはそれよりもすごく広く感じていたので、感慨深かったですね。
自分たちのノスタルジックな要素を、より濃いめに出した
──今回のシングルの表題曲「Shoes」は、テレビ東京系「ドラマ24」枠で放送中のドラマ「下北沢ダイハード」のエンディングテーマです。この曲を書き下ろすにあたって、ドラマ側からはどのようなオーダーがありましたか?
福永 下北沢という町をテーマに書いてほしいって言われたけど、ガチガチに指定されていたわけではなくて。俺はドラマの内容を聞いたときに“青春”とか“少年心”をイメージしたので、そういうものをテーマにして自由に作らせてもらいました。自分たちはこれまで、けっこうノスタルジックな曲を出してきたと思うんですけど、「Shoes」はその部分をより濃いめに出した曲です。
──“青春”や“少年心”の中から、“Shoes”というモチーフが出てきたんですか。
福永 そうですね。「シューズ」というフレーズはシャワーを浴びてたら出てきて。
──そういうことがよくあるんですか?
福永 そういうときもありますね。だいたいシャワーを浴びてるときに出てきたものはいい曲になるんですよ(笑)。で、「情けない自分に涙が出てきた 帰る場所はどこだっけ? 汚れてしまった僕のシューズ」というところまで、風呂場で全部固まって。「シューズ」っていう言葉は絶対入れたかったんですよね。
──それはなぜですか?
福永 いやー、なんでですかね?(笑) 歌詞にある「シューズ」とか、「フューチャー」とか、どれも絶妙ダサくてカッコいいなって。
──あ、「Give me a chance」というフレーズもありますね。
福永 そう。それも絶妙にダサくて、そこがよさだなと思って。
──確かに味がありますよね。
福永 アレンジでも、ちょっとクスッと笑ってしまうような、絶妙にダサいヤツをあえて今回いろいろやってます。
CDを買う世代の人たちを振り向かせたい
──ノスタルジックな要素を濃く出す、というところでそのダサさが重要だった?
福永 そうかもしれない。ノスタルジアを追求するうえで、クスッと笑っちゃうような歌詞やサウンドがハマりがよかったりして。今回はいい意味で力を抜いて作れたなっていうのがありますね。そういうノスタルジックな部分で、CDを買ってた世代の人たちを振り向かせたいなっていう作戦で。宇多田ヒカルさんとかが今CD出したら、数十万枚売り上げるわけじゃないですか。
──そうですね。
福永 でも今、バンドで数十万枚売り上げるっていったらすごい話になってくるわけで。だから今CDを再び買っている世代の人たちを振り向かせたいなって思ったんです。僕は歌詞もその世代の人にも強く響くようにしたつもりです。
──アートワークもそういうイメージですか?
福永 そうですね。CDの帯に自分で考えた「答えなんてない! でもじっとしていられない!」っていうキャッチコピーを、ちょっと斜めに配置しました。
──昔のアナログレコードとか、雑誌の「Olive」的な感じですね。
福永 ビクターのデザイン部の人にイメージを持って行ったら、「アホだねー」って言われました(笑)。
次のページ »
俺たちが生まれる前の時代をイメージした
- 雨のパレード「Shoes」
- 2017年8月23日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
-
初回限定盤 [CD+DVD]
2160円 / VIZL-1215 -
通常盤 [CD]
1296円 / VICL-37308
- CD収録曲
-
- Shoes
- Thunderbird
- Voice
- Hollow
- 初回限定盤DVD収録内容
-
Live at TOKYO-AKASAKA BLITZ 2017.4.14
- stage
- Count me out
- Hey Boy,
- epoch
- 1969
- new place
- speech
- free
- breaking dawn
- feel
- Tokyo
- Change your mind
- You
- Take my hand
- Petrichor
- ワンマンツアー2017「Untraveled」
-
- 2017年9月9日(土)宮城県 darwin
- 2017年9月13日(水)愛知県 ElectricLadyLand
- 2017年9月19日(火)福岡県 DRUM Be-1
- 2017年9月21日(木)大阪府 BIGCAT
- 2017年9月22日(金)石川県 Kanazawa AZ
- 2017年9月24日(日)東京都 新木場STUDIO COAST
- 2017年9月28日(木)北海道 Sound Lab mole
- 2017年10月21日(土)鹿児島 CAPARVO HALL(追加公演)
- 2017年10月29日(日)台湾 台北 The Wall
- 雨のパレード(アメノパレード)
- 2013年に結成された、福永浩平(Vo)、山崎康介(G, Syn)、是永亮祐(B)、大澤実音穂(Dr)からなるバンド。ポストダブステップ、80'sポップ、インディR&B、エレクトロハウス、アンビエント、トラップなどを取り入れた音楽性が持ち味で、アナログシンセサイザーやサンプラー、ドラムマシンなどによるバンド形態にこだわらないサウンドメイクで注目を集める。2016年3月に1stフルアルバム「New generation」でSPEEDSTAR RECORDSよりメジャーデビューする。同年7月にメジャー1stシングル「You」、12月に2ndシングル「stage」を発売。2017年3月には2ndアルバム「Change your pops」を発表し、8月にはテレビ東京系「ドラマ24」枠のドラマ「下北沢ダイハード」のエンディングテーマを表題曲とした3rdシングル「Shoes」をリリースする。