天月-あまつき-|あふれ出るクリエイティブな欲求

今の自分と昔の自分

──アルバムの1曲目は宮田‘レフティ’リョウさんによる提供曲「アストロスト」です。「アストロスト」は昨年行われたライブイベント「Stars on Planet 2017」で最初に歌われた曲でもあり、オープニングにピッタリのナンバーだと改めて感じました。

逆に「アストロスト」ってオープニング感がありすぎて、セットリストとかでいつも悩むんですよ。最初に歌うか、アンコールの頭で歌うかくらいしかなくて(笑)。

──役割がしっかりある曲、ということですね。

アルバムの告知動画も「アストロスト」の歌い出しで始まるんですけど、聴き手をハッとさせる曲だと思ってますから。一気に曲の持つ世界観に引き込むパワーを持った曲ですね。アルバムのどこに入れるか悩んだんですけど、やっぱり行きつくところはオープニングかなってことで、1曲目に入れています。

──レフティさんとのコラボ曲のうち「イデア」はアルバムのための新曲ですよね?

はい。もともとアルバムの中で核となる曲を作りたいなって思いが強い中で、レフティさんには物語調の楽曲を作りたいって相談して。話しているうちに今回は「星の王子さま」をテーマに曲を作ることにしたんです。

──この曲の作詞には天月-あまつき-さんも参加しています。「星の王子さま」という名作をテーマに据えつつ歌詞を書く作業は新鮮だったのでは?

特定の作品とか景色をイメージしながら歌詞を書くことはあるんですけど、ここまで明確にテーマを打ち出したことはなかったので確かに新鮮でした。「星の王子さま」は主人公と王子様が出会って、純粋な王子様がいろんなことに気付いて成長していくって物語なんです。今回僕は作詞をするにあたって、自分の過去の音源や自分が書いた過去のブログに改めて触れたんですけど、過去の純粋な自分がまぶしく見える瞬間がいっぱいあったんですよね。時間が流れることで「大人になってしまったなあ」と思いながら、今の自分と昔の自分の対比を「星の王子さま」という作品に照らし合わせて歌詞を書きました。

──天月-あまつき-さん自身が王子様のことを「成長していく」と表現したように、天月-あまつき-さん自身も成長しているんだと感じますが。

僕自身、別に大きく変わることはないと思っていたんですけど、自分のやりたいこととか、自分がやるべきこととか、過去の自分がどうだったのかと照らし合わせていくと、やっぱり無邪気だった昔の自分よりかは大人になったなと思うんです。もちろん、大人になることが悪いことだとは思ってないですけど、過去の自分が純粋な存在だったことはちゃんと覚えておきたいなって、「イデア」と向き合ったときに思いました。

作りたいMVのイメージが先にあった

──今作にはイベントで競演する機会も多い天月-あまつき-さんの友人たちからの楽曲提供が多数あります。アルバムの2曲目に収録されている「きみだけは。」は、プライベートでも交流がある夏代孝明さんが作曲した楽曲です。

「きみだけは。」は、夏代くんと遊んでるときに「最近曲作りをがんばってるから、1曲書かせてよ」って言ってくれたのがきっかけで作ってもらった曲ですね。ちょうど夏の「やりたい放題ツアー」を準備しているときだったから、ツアーで歌いたい曲をリクエストして。歌詞も一緒に書いたんですけど、友達と一緒に曲を作るのってすごく楽しいんです。

──「きみだけは。」は、ドラマ「#(ハッシュタグ)」の主題歌としてもオンエアされた楽曲ですが、タイアップはあとから決まったんですね。

はい。ありがたいことにドラマの監督さんに気に入ってもらえたようで、主題歌のお話をいただいたんです。夏代くんもメチャクチャ喜んでました。「俺たちすごすぎじゃね?」って。

──3曲目「きっと愛って」も、同じく天月-あまつき-さんとプライベートで親交の深い佐香智久さんの提供曲です。こちらはどういうきっかけで作った曲ですか?

「きっと愛って」はちょっと変わってて、僕の中で作りたいMVのイメージが先にあって、それをもとにTくん(佐香)に楽曲をお願いしたんです。

──どういう映像のイメージがあったんですか?

今まで僕が発表してきた実写のMVって、ロック調のものが多くてカッコいい映像ばかりなんですけど、もうちょっとストーリー性があって、コメディタッチな映像も作ってみたかったんです。Tくんはもともとラブソングをたくさん作ってる人だから、「愛ってなんだろう」ってテーマと映像のイメージを伝えたら、すごくキャッチーな曲を書いてくれて。

──天月-あまつき-さん自身が主役ではなく、盛り立て役に徹しているMVも珍しいですよね。

そうなんです。今回のMVの舞台は結婚式場なんですけど、僕はあくまで結婚を祝う側に立っていて。ただ何かしらのアクシデントがあって新婦が逃げ出してしまうので、僕が探偵になって探しに行く……というストーリーですね。「きっと愛って」という曲を作るに当たって、僕自身も「愛ってなんだろう」って考えてみたんです。いろんな方に愛や結婚について質問もしてみて、既婚者の方には「どんなときでも、周りのすべての人から裏切られようとも、最後までそばにいてくれる人ができるのが結婚だよ」って教えてもらったりもして。この曲の中ではあくまで「愛ってこういうものじゃない? 君はどう思う?」って問いかけで終わっているんです。MVを観たり、曲を聴いたりして、みんながそれぞれ感じる愛について考えてくれたらうれしいですね。

僕とまふくんは似てる

──収録曲の中でも異彩を放っている「ヒロイックシンドローム」は、まふまふさんの提供曲です。この曲に関しては、まふまふさんとはどんな話を?

まふくんとはこの曲を作るときに「僕とまふくんって似てるよね」という話をしたんです。彼が作る音楽と僕がやっている音楽はジャンルで言えば違うところにあると思うんですけど、交友関係とかの中で人間としての考え方?でけっこうわかり合うことが多いんです。「ヒロイックシンドローム」の主人公はすごくネガティブなんですけど、ある意味開き直って「手札はこれぐらいしか持ってないけど勝負する」って立ち向かう人なんです。そういうところ、僕とまふくんに共通してるなって。

──お二人共、外から見るとすごく器用になんでもこなしているように見えますが。

そう見ていただいているのはありがたいんですけど、根っこの部分でネガティブなのは昔から変わってなくて。コンプレックスがあるからこそ力を発揮できてる、みたいな意味合いのほうが強いかもしれません。

──この曲の編曲はPENGUIN RESEARCHの堀江(晶太 / B)さんが手がけています。

これはまふくんの希望ですね。ずっと一緒にやりたかったらしいんですけど、なかなか自分の曲ではそういう機会がなかったみたいで、今回の「ヒロイックシンドローム」でやっと彼の願いが叶った形なんです。nqrseくんにもラップを入れてもらっているし、僕としてもすごい布陣で曲作りができて光栄でした。

天月-あまつき-「それはきっと恋でした。」
2018年6月27日発売 / KING RECORDS
天月-あまつき-「それはきっと恋でした。」ラブレター盤

ラブレター盤 [CD+DVD]
2900円 / KICS-93731

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天月-あまつき-「それはきっと恋でした。」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
2900円 / KICS-93732

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天月-あまつき-「それはきっと恋でした。」通常盤

通常盤 [CD]
2200円 / KICS-3731

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CD収録曲
  1. アストロスト[作詞・作曲・編曲:宮田‘レフティ’リョウ]
  2. きみだけは。[作詞:夏代孝明、天月-あまつき- / 作曲:夏代孝明 / 編曲:渡辺拓也]
  3. きっと愛って[作詞:佐香智久、天月-あまつき- / 作曲:佐香智久 / 編曲:佐々木裕]
  4. 月曜日の憂鬱[作詞・作曲・編曲:HoneyWorks]
  5. DiVE!![作詞:宮田‘レフティ’リョウ、天月-あまつき- / 作曲:宮田‘レフティ’リョウ / 編曲:中山真斗]
  6. Mr.Fake[作詞:渡辺翔、天月-あまつき- / 作曲:渡辺翔 / 編曲:中山真斗]
  7. マリオネットラヴァーズ[作詞・作曲・編曲:halyosy]
  8. かいしんのいちげき![作詞・作曲:天月-あまつき- / 編曲:久寝くうすけ、kain]
  9. ヒロイックシンドローム[作詞・作曲:まふまふ / ラップ作詞:nqrse / 編曲:堀江晶太]
  10. 僕のことなら忘れてくれていいよ[作詞・作曲:Saku、天月-あまつき- / 編曲:Saku]
  11. ガラクタモンスター[作詞・作曲:Eve / 編曲:Numa]
  12. Sing! Swim! Swing![作詞・作曲:halyosy / 編曲:佐々木裕]
  13. Flight Light ~星くずと Boeing~[作詞・作曲・編曲:みきとP]
  14. ツナゲル[作詞・作曲:ハヤシケイ / 編曲:棚橋UNA信仁]
  15. イデア [作詞:宮田‘レフティ’リョウ、天月-あまつき- / 作曲・編曲:宮田‘レフティ’リョウ]
  16. 君が僕の心に魔法をかけた[作詞・作曲:天月-あまつき- / 編曲:渡辺拓也]

Bonus track

  1. Voice letter
ラブレター盤付属DVD収録内容
  • 「君が僕の心に魔法をかけた」Music Video
  • 「君が僕の心に魔法をかけた」Making of Music Video
  • お楽しみ映像「天月-あまつき-の男子力向上委員会」
  • 「ツナゲル」Music Video
  • 「DiVE!!」Music Video
  • 「Mr.Fake」Music Video
  • 「アストロスト」Music Video
  • 「きみだけは。」Music Video
  • 「マリオネットラヴァーズ」Music Video
  • 「イデア」Music Video
初回限定盤付属DVD収録内容
  • 「やりたい放題ホールツアー Winter 2017~2018」厳選ライブ映像(2018/1/8 神戸国際会館)
    • 「DiVE!!」
    • 「StarMan!!!」
    • 「ベリーメリークリスマス」
    • 「プレゼント」
  • 「やりたい放題ホールツアー Winter 2017~2018」ツアードキュメンタリー

天月-あまつき-「Loveletter from Moon」

  • 2018年8月23日(木)東京都 日本武道館
天月-あまつき-(アマツキ)
ネットを中心に活動する男性ボーカリスト。2010年初頭より、ニコニコ動画「歌ってみた」カテゴリーにボーカロイドナンバーをカバーした楽曲の投稿を開始する。力強くもどこか少年らしさを感じさせるハイトーンのボーカルを武器に、ライブを精力的に実施。舞台への出演や声優を担当するなど活動の場を広げながら、ネットへの歌唱動画の投稿も引き続き行っている。2012年6月リリースの1stアルバム「Melodic note.」はオリコン週間インディーズアルバムチャートで1位を獲得。2014年7月にKING RECORDSからアルバム「Hello, World!」を発表し、メジャーデビューを果たした。2016年7月にはメジャー2ndアルバム「箱庭ドラマチック」をリリース。2017年には「ちゃんげろソニック2017」「COUNTDOWN JAPAN 17/18」といったフェスにも出演するなど、さらにその知名度を高めている。2018年6月にメジャー3rdアルバム「それはきっと恋でした。」をリリース。同年8月には初の東京・日本武道館単独公演「Loveletter from Moon」を開催する。