天月-あまつき-|あふれ出るクリエイティブな欲求

天月-あまつき-が6月27日にニューアルバム「それはきっと恋でした。」をリリースした。

昨年は「天月-あまつき-のやりたい放題TOUR」と題した全国ツアーを夏と冬に開催したほか、「ひきこもりたちでもフェスがしたい!」「Stars on Planet 2017」「COUNTDOWN JAPAN 17/18」といった多数のイベントに出演するなど、その活動に大きく注目が集まった天月-あまつき-。約2年ぶりのアルバムリリースとなる「それはきっと恋でした。」には、夏代孝明、佐香智久、まふまふ、Eveといった彼とイベントで競演する機会の多いアーティストたちによる提供曲のほか、渡辺翔、ハヤシケイ、宮田‘レフティ’リョウ、halyosy、みきとPといった作家陣が参加した曲、さらに天月-あまつき-本人が作詞作曲を手がけた楽曲など計16曲が収められる。

音楽ナタリーでは天月-あまつき-へのインタビューを実施し、ラブソングを軸に16曲を集めたという大ボリュームの今作がどのように作られていったのか、本人にじっくり話を聞いた。また8月23日に行われる東京・日本武道館公演「Loveletter from Moon」への意気込みを語ってもらった。

取材・文 / 倉嶌孝彦

ライブをしながらインプットも欠かさなかった

──昨年は全国ツアーがあっただけでなく、さまざまなイベントへの出演が多く、天月-あまつき-さんにとってはとにかくライブが多い1年だった印象があります。

そうですね。すごくたくさんライブをさせてもらいながらも、「Mr.Fake / ツナゲル」(2017年7月発売)といったシングルもリリースさせてもらったり、声優業もやるようになったり……それと曲作りをずっとやっていたのもあって、とにかく自分がやりたいことを増やしながら、それぞれにチャレンジしていく1年でした。それといろんなアーティストさんのライブを観させてもらったり、さまざまな芸術作品を観たり聴いたり読んだりとインプットも欠かさなかったから、今年はアウトプットを充実させたくて、アルバムリリースや武道館公演などが実現しているんだと思います。

──昨年の夏と冬に行われた「天月-あまつき-のやりたい放題TOUR」でも、さまざまな形でのライブに挑戦していましたね。

本当に自分のやりたいことを形にさせてもらったツアーでした。誕生日のときは特別なステージセットでライブをさせてもらったし(参照:天月-あまつき-“1000本のろうそく”吹き消した誕生日ライブ)、友達とアコースティックセットで歌った日もあって。同じ曲でもライブハウスとホールで披露するのでは全然雰囲気が変わるし、季節が回ると聴いてもらいたい曲も違うし、夏も冬もお客さんと楽しみながら勉強になるライブばかりでした。

──「DiVE!!」のインタビューで天月-あまつき-さんは「フェスに出てみたい」と話していました(参照:天月-あまつき-「DiVE!!」インタビュー)。その後「ちゃんげろソニック」や「COUNTDOWN JAPAN」への出演を果たしましたが、念願のフェスのステージはいかがでしたか?

やっぱりワンマンライブとは空気が少し違いましたね。僕のことを知らない人とか、名前だけ知ってる人とかが興味を持って観に来てくれている印象があって。僕の音楽を聴いたことがない人たちにライブを観てもらえる機会ってあまりなかったから、精一杯僕の歌を届けようって思いが強かったです。それとフェスっていろんなアーティストさんたちが“音楽でバトンをつないでいく場所”だと思っているので、いい意味でイベントの一部になれたらいいなと思ってステージに立ちました。

──今年の夏には「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」への出演も決まっています(参照:「RIJF」最終発表で大森靖子、欅坂、天月、BiSH、SHANK、娘。ら94組追加)。

いろいろなイベントに出させてもらってますが、屋内でライブをする機会のほうが圧倒的に多いので、野外のステージだったら何を歌おうかなっていろいろ考えてます。すごく楽しみですね。

ラブソングは面白い

──新作「それはきっと恋でした。」は「恋」をテーマに制作されたアルバムですよね。なぜこのテーマを選んだんでしょうか?

「箱庭ドラマチック」(2016年7月発売)で初めて作曲に挑戦して、その後曲作りをする中で自然とラブソングがたくさんできていって。僕、ラブソングってとても面白いなって思ってるんです。

──どういうところが?

「ラブソング」とひと言で言っても、例えば片思いをしているときの歌だったり、付き合っている最中の歌だったり、失恋したあとの歌だったり、それぞれ種類があるわけですから。アルバムを作るにあたってラブソングというものをいろんなアプローチで作ってみたかったんです。「恋をテーマにしてる」と言ってもかなり幅広い楽曲が集まったと思っています。

──天月-あまつき-さんはシンガーとしての印象が強いので、クリエイティブな視点でラブソングを捉えているのは意外でした。

「箱庭ドラマチック」のときに初めて自分で作った曲を発表させていただいて、その後ずっと曲作りに挑戦していく中で、僕の中での意識が変わったのかもしれません。自分で曲が作れるようになったことで、表現の選択肢が1つ増えた感覚がありますし。

──話を聞いていると、天月-あまつき-さん自身の表現欲が強くなっているように感じます。

それは確かにあると思います。それにただ挑戦するだけじゃなくて、「箱庭ドラマチック」のときよりも少し大人になったと自覚しているんです。もともと僕はいろんなことに興味を持って「あれもやりたい」「これもやりたい」って目移りしちゃうタイプなんですけど、今回はやりたいことがたくさんある中でちゃんと取捨選択をして、1つの作品を作れるようになった。そういうところは成長できたのかなって思っています。

天月-あまつき-

「ここまで曲の指定をしてくる人は珍しい」

──アルバムの資料をいただいて、まず収録曲の多さに驚きました(笑)。

16曲も入れるアーティストさん、なかなかいないですからね(笑)。これだけでワンマンライブができるくらい、曲数が増えました。実はアルバム用に作っていたんですけど、結局入らなかった曲もまだまだあって……。

──ということは20曲くらい候補があったわけですね。

はい。すでに動画で公開されている曲をアルバムには入れないで全部新曲にすることも考えたんですけど、僕自身がリスナーとしての立場であれば、アルバムに知ってる曲が入っている構成のほうが好きなんですよね。それにこのアルバムで僕のことを知ってくれる人もいると思うので、「やっぱり天月-あまつき-と言えばこの曲」みたいになりつつある既存の曲は外せなくて。ドラマ「#(ハッシュタグ)」で流れた「きみだけは。」とか、ライブでいつも歌ってる「アストロスト」はそういう意図で入れています。

──アルバムには天月-あまつき-さんが聴き手に呼びかけるパートがあったり、コール&レスポンスが盛り込まれていたりと、ライブを意識した曲も多いですよね。

去年の「COUNTDOWN JAPAN」に出演させてもらったとき、ステージダンサーとしてめろちんさんやATYの明香里さんに入っていただいて、一緒にダンスを披露したんです。以前からライブで軽く踊ることはあったんですけど、本格的にダンスレッスンを受け始めて、もっとお客さんを盛り上げる演出をいろいろやってみたいと思うようになって。ダンスはその手法の1つだし、コール&レスポンスを取り入れた楽曲や、お客さんが参加してくれることによって完成する楽曲も作ってみました。

──halyosyさん作曲の「Sing! Swim! Swing!」は、一風変わったコール&レスポンスが入っていて、ライブで再現されるのが楽しみな曲ですね。

「Sing! Swim! Swing!」はまさにhalyosyさんと「コール&レスポンスを付けた曲がいいよね」って話をしながら作ってもらった曲です。ちょっとミュージカル調の曲なんですけど、それは作ってるときに話題になってた映画「グレイテスト・ショーマン」の影響で。halyosyさんとも映画の話をしながら、「ああしたい」「こうしたい」って僕がいろんなワガママを言って。halyosyさんには「ここまで曲の指定をしてくる人は珍しい」って言われちゃいました(笑)。

──発注する段階で天月-あまつき-さんには完成形のイメージが見えているんですね。

そうですね。「マリオネットラヴァーズ」もhalyosyさんに書いてもらった曲なんですけど、「EDMっぽい曲調で、セリフを入れて……」みたいに細かくお願いしてました。「こういう曲だったらこの人に作ってもらったら最高だよな」っていうのがすぐ浮かんでくるんです。ある意味ファン目線みたいな感じだと思います(笑)。

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今の自分と昔の自分

天月-あまつき-「それはきっと恋でした。」
2018年6月27日発売 / KING RECORDS
天月-あまつき-「それはきっと恋でした。」ラブレター盤

ラブレター盤 [CD+DVD]
2900円 / KICS-93731

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天月-あまつき-「それはきっと恋でした。」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
2900円 / KICS-93732

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天月-あまつき-「それはきっと恋でした。」通常盤

通常盤 [CD]
2200円 / KICS-3731

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CD収録曲
  1. アストロスト[作詞・作曲・編曲:宮田‘レフティ’リョウ]
  2. きみだけは。[作詞:夏代孝明、天月-あまつき- / 作曲:夏代孝明 / 編曲:渡辺拓也]
  3. きっと愛って[作詞:佐香智久、天月-あまつき- / 作曲:佐香智久 / 編曲:佐々木裕]
  4. 月曜日の憂鬱[作詞・作曲・編曲:HoneyWorks]
  5. DiVE!![作詞:宮田‘レフティ’リョウ、天月-あまつき- / 作曲:宮田‘レフティ’リョウ / 編曲:中山真斗]
  6. Mr.Fake[作詞:渡辺翔、天月-あまつき- / 作曲:渡辺翔 / 編曲:中山真斗]
  7. マリオネットラヴァーズ[作詞・作曲・編曲:halyosy]
  8. かいしんのいちげき![作詞・作曲:天月-あまつき- / 編曲:久寝くうすけ、kain]
  9. ヒロイックシンドローム[作詞・作曲:まふまふ / ラップ作詞:nqrse / 編曲:堀江晶太]
  10. 僕のことなら忘れてくれていいよ[作詞・作曲:Saku、天月-あまつき- / 編曲:Saku]
  11. ガラクタモンスター[作詞・作曲:Eve / 編曲:Numa]
  12. Sing! Swim! Swing![作詞・作曲:halyosy / 編曲:佐々木裕]
  13. Flight Light ~星くずと Boeing~[作詞・作曲・編曲:みきとP]
  14. ツナゲル[作詞・作曲:ハヤシケイ / 編曲:棚橋UNA信仁]
  15. イデア [作詞:宮田‘レフティ’リョウ、天月-あまつき- / 作曲・編曲:宮田‘レフティ’リョウ]
  16. 君が僕の心に魔法をかけた[作詞・作曲:天月-あまつき- / 編曲:渡辺拓也]

Bonus track

  1. Voice letter
ラブレター盤付属DVD収録内容
  • 「君が僕の心に魔法をかけた」Music Video
  • 「君が僕の心に魔法をかけた」Making of Music Video
  • お楽しみ映像「天月-あまつき-の男子力向上委員会」
  • 「ツナゲル」Music Video
  • 「DiVE!!」Music Video
  • 「Mr.Fake」Music Video
  • 「アストロスト」Music Video
  • 「きみだけは。」Music Video
  • 「マリオネットラヴァーズ」Music Video
  • 「イデア」Music Video
初回限定盤付属DVD収録内容
  • 「やりたい放題ホールツアー Winter 2017~2018」厳選ライブ映像(2018/1/8 神戸国際会館)
    • 「DiVE!!」
    • 「StarMan!!!」
    • 「ベリーメリークリスマス」
    • 「プレゼント」
  • 「やりたい放題ホールツアー Winter 2017~2018」ツアードキュメンタリー

天月-あまつき-「Loveletter from Moon」

  • 2018年8月23日(木)東京都 日本武道館
天月-あまつき-(アマツキ)
ネットを中心に活動する男性ボーカリスト。2010年初頭より、ニコニコ動画「歌ってみた」カテゴリーにボーカロイドナンバーをカバーした楽曲の投稿を開始する。力強くもどこか少年らしさを感じさせるハイトーンのボーカルを武器に、ライブを精力的に実施。舞台への出演や声優を担当するなど活動の場を広げながら、ネットへの歌唱動画の投稿も引き続き行っている。2012年6月リリースの1stアルバム「Melodic note.」はオリコン週間インディーズアルバムチャートで1位を獲得。2014年7月にKING RECORDSからアルバム「Hello, World!」を発表し、メジャーデビューを果たした。2016年7月にはメジャー2ndアルバム「箱庭ドラマチック」をリリース。2017年には「ちゃんげろソニック2017」「COUNTDOWN JAPAN 17/18」といったフェスにも出演するなど、さらにその知名度を高めている。2018年6月にメジャー3rdアルバム「それはきっと恋でした。」をリリース。同年8月には初の東京・日本武道館単独公演「Loveletter from Moon」を開催する。