音楽ナタリー Power Push - 天月-あまつき-×はしやん×佐香智久
仲間と紡いだ箱庭の中身
天月-あまつき-がニューアルバム「箱庭ドラマチック」をリリースした。
音楽ナタリーでは今作の発売を記念して、天月-あまつき-本人のほかアルバムの制作に携わった佐香智久とはしやんを招いた座談会を企画。プライベートでも親しい仲にあるという3人に今作の制作の背景を語り合ってもらった。また特集後半では天月へのソロインタビューも掲載。こちらでは自作曲「グッバイドラマチック」に込めた思いや、彼がアルバムを作る中でリスナーに伝えたかった思いについて話を聞いている。
取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 佐藤類
天月-あまつき-×はしやん×佐香智久 座談会
プライベートでもしょっちゅう遊ぶ仲
──天月-あまつき-さんのアルバム「箱庭ドラマチック」発売を記念して座談会をセッティングさせていただきました。皆さん普段から仲がいいんですよね?
天月-あまつき- はい。プライベートでもしょっちゅう遊んでます。
はしやん 何をするでもないんですけどね。ごはん食ってしゃべる。
佐香智久 ただしゃべってるよね。
天月 Tくん(佐香)はいっつも花火を買ってウチに来るんですけど、ただ置いてくだけなんですよ(笑)。
佐香 コンビニ行くともう夏だから花火が売ってるじゃん? で、「あまお(天月)喜ぶかなあ、手ぶらで行くのも悪いしなあ」と思って、つい買っちゃう。
天月 花火を持ってきてもらっても、なかなか1人ではやらないから溜まってく一方なんだよ。
はしやん 手土産の選択として何か間違ってる気がする。
──一緒に花火をするわけではないんですね。
佐香 本当はやりたいんですよ! でもそういう流れにならなくて。
はしやん 近くに公園ある? 今度やればいいじゃん。
天月 家のすぐ横に公園があるから、みんなで花火やろうよ。というか、むしろやってほしい(笑)。
2人の書く詞は似てる
──今回リリースされる天月さんのアルバム「箱庭ドラマチック」には、佐香さんが作曲した「流れ星」が収録されています。この曲はどういうきっかけで生まれた曲なんですか?
佐香 実はこの曲は、僕がデビューする前に「デビューしたらこんな曲を歌いたいな」って考えながら書いた曲なんです。自分の中でもけっこう自信作で「絶対にデビューシングルにしよう」と思ってたんですけど、実際には別の曲でデビューしまして。それからずっと手元に置いていた曲だったんです。
はしやん いいの? そんな大事な曲を提供しちゃって。
佐香 新曲を書いてみたんだけど、なんだか「流れ星」に似た曲だったから。ずっと大事にしてた曲だけど……と思いつつ「流れ星」のほうがよく書けてたからこっちを送りました。
天月 メッチャ大事な曲をありがとう。
佐香 もしかしたらこのままお蔵入りになっちゃうかもしれなかったし。どうせなら天月くんに歌ってもらいたいなと思って。
──詞は天月さんと佐香さんの共作なんですね。
佐香 もともと書いていた歌詞もあったんですけど、どうせなら一緒に作りたいよねって話をしたんです。
天月 1回、Tくんの家で歌詞について話し合ったんです。その後はLINEで歌詞を送り合って作っていきました。
──具体的にはどのように作業を進めていくんですか?
天月 思い付いた言葉とかフレーズをLINEで送ってみて、その反応を見ながらもうちょっと変えようかとかそういう話をしてました。
佐香 曲を作るときもそうなんですけど、本気で考えまくって出てきたものがいい曲かって言われるとそうでもないことが多いと思っていて。だから今回は膝を突き合わせてじっくり歌詞を作る、みたいなことはしなかったんです。それと今回のように天月くんが歌う曲の場合は、天月くんから出てきた言葉を使うのが一番グッとくるはずですから。真剣には作っているけど入れ込みすぎず、天月くん中心に考えてもらったって感じですね。
天月 もともとTくんが書いたラフ段階の詞があったから、その世界観を崩さないように僕が思うことを書きました。
はしやん にしても2人が書く詞って似てるよね?
佐香 僕は天月くんの詞はロマンチックだなって思う。
天月 Tくんはロマンチストだなって言おうとしてた(笑)。
──お互い似てるんですね。
佐香 天月くんは発想がちょっと女の子っぽいんですよ。恋愛観もどっちかっていうと女の子っぽい考え方なのかなって。
天月 それでいうとTくんは“キラキラ度”がすごいですね。
はしやん あ、それすごいわかる。
佐香 本当に? やったー。
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- ニューアルバム「箱庭ドラマチック」 / 2016年7月27日発売 / キングレコード
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 2900円 / KICS-93374
- 通常盤 [CD] / 2200円 / KICS-3375
CD収録曲
- シューティングスター
[作詞・作曲:レフティモンスター / リアレンジ:沼能友樹、棚橋UNA信仁] - 虹の向こうへ
[作詞:天月-あまつき-、タルタノリキ / 作曲:タルタノリキ / 編曲:佐々木裕] - LIFE!!
[作詞:富田京子、天月-あまつき- / 作・編曲:ゆりん] - 流れ星
[作詞:佐香智久、天月-あまつき- / 作曲:佐香智久 / 編曲:堀江晶太] - ナノレンズ
[作詞:渡辺翔 / ラップ作詞:はしやん / 作曲:渡辺翔 / 編曲:中山真斗] - ミカヅキリサイズ
[作詞・作曲・編曲:まふまふ] - 星月夜
[作詞:長谷川澪奈、天月-あまつき- / 作曲:KoTa、原田雄一 / 編曲:佐々木裕] - 愛鍵
[作詞・作曲・編曲:まふまふ] - 地球最後の告白を
[作詞・作曲:kemu / リアレンジ:佐々木裕] - お邪魔チックLover
[作詞・作曲・編曲:TOKOTOKO(西沢さんP)] - はじまりのうた
[作詞:天月-あまつき- / 作曲:伊東歌詞太郎 / 編曲:棚橋UNA信仁] - 気まぐれメリーゴーランド
[作詞:佐香智久、天月-あまつき- / 作曲:佐香智久 / 編曲:Saku] - White Line
[作詞・作曲・編曲:halyosy] - サマータイムレコード(カバー ※通常盤のみ収録)
[作詞・作曲:じん / リアレンジ:棚橋UNA信仁] - グッバイドラマチック
[作詞・作曲:天月-あまつき- / 編曲:佐々木裕]
初回限定盤DVD収録内容
- 流れ星Music Video+メイキング映像
天月-あまつき-(アマツキ)
ネットを中心に活動する男性ボーカリスト。2010年初頭より、ニコニコ動画「歌ってみた」カテゴリーにボーカロイドナンバーをカバーした楽曲の投稿を開始する。力強くもどこか少年らしさを感じさせるハイトーンのボーカルを武器に、ネット上での活動はもちろん、ライブイベントや演劇などでも活躍。2012年6月リリースの1stアルバム「Melodic note.」はオリコン週間インディーズアルバムチャートで1位を獲得した。2014年7月にKING RECORDSからアルバム「Hello, World!」を発表し、メジャーデビュー。2015年2月には、はしやんとのユニット・melostとしてアルバム「Melody Stock」をリリースした。同年6月に発表した天月-あまつき-名義でのライブDVD「Hello, World! TOUR 2015~春、君と見つける扉の向こうのお伽話~ FINAL LIVE at Zepp Tokyo」がDVDのオリコンウィークリーチャートで1位を獲得するなど注目を集める。2016年7月、メジャー2ndアルバム「箱庭ドラマチック」を発表した。
はしやん
ラッパー。VOCALOID曲に独自のアレンジを加えたカバーを発表しているほか、オリジナル楽曲の制作も行う。2015年2月には天月-あまつき-とのユニット・melostとしてアルバム「Melody Stock」をKING RECORDSよりリリースした。音楽活動のほか、ライトノベル「ハロー・デッドライン」の著者として文筆業も行っている。
佐香智久(さこうともひさ)
1991年北海道生まれのシンガーソングライター。中学時代に初めてアコースティックギターを手にし、高校入学後、作曲活動を開始。2009年に「少年T」名義で動画共有サイトにオリジナル楽曲の投稿をスタートする。2012年のシングル「愛言葉」でのメジャーデビュー後は、アニメ「君と僕。2」のオープニングテーマ「ずっと」、「絶園のテンペスト」エンディングテーマ「僕たちの歌」など話題作を続々と発表。また2013年夏には舞台「タンブリングvol.4」で役者デビューも果たしている。そして2015年4月、アニメ「ポケットモンスター XY」のオープニングテーマ「ゲッタバンバン」をリリース。さらにアニメ「ポケットモンスター XY&Z」キャラソンプロジェクトの総合プロデューサーに就任し、数々の楽曲を番組に提供している。2016年8月、最新シングル「いつか君はそいつと別れるに決まってる」を発表する。