ナタリー PowerPush 天月-あまつき-

ニコ動の人気歌い手を支える「コールアンドレスポンス」

楽しく生きて、楽しく死にたい

──実際に期待の目を向けられることに戸惑うという感覚は、ネット出身がゆえかもしれませんね。

天月-あまつき-

ええ。しかも、ライブに出るようになって気付いたことでもあるんですけど、「歌ってみた」や僕のファンって10代の子が中心なので、特に不思議ではあるんですよ。去年の6月に「Melodic note.」っていう1stアルバムを出した後、買ってくれた人を対象に握手会とシークレットライブをやったんですけど、そのお客さんを見たら「ここにいる人はお小遣いを貯めて僕のCDを手にとって『ここに来たい』と思ってくれたんだよな」なんて考えちゃいましたし。逆にいろんな歌い手さんが出るオムニバスのライブなら、大勢お客さんがいても「みんな、ほかの歌い手さん目当てに来てるんだろうな」「この人たちにも楽しんでもらえたら勝ちだな」ってシンプルに考えられるんですけどね。

──やっぱりハートが強いなあ。その対バンの客の話もそうだし、ソロでの活動についても「不思議だなあ」って思いながらも、きちんと活動を続けてはいる上に、結果も残してきているわけだから。

確かに不安や不思議なことがあっても立ち止まりはしないかなあ。行動しながらでも考えることはできるし。とにかくたくさん楽しいことを経験して楽しく死にたいんで(笑)、不思議なことがあってもとりあえず動いてはみます。あと、確かに基本的には受け身、誰かの誘いに乗って始めた音楽活動ではあるものの、その誘いに乗ってみたら意外と楽しいことが待っていることはもうわかっているので、積極的に乗るようにしてますね。

──「誘われるままに活動している」って言うと主体性がなさそうだけど、実は主体的に誘いに乗っている、と。

去年の11月に「シュガースポット」というお芝居にも出演したのも、そういう思いからですね。演技経験なんてなかったんだけど、せっかく声をかけてもらったことだし、面白そうかな、って。

ニコ動では聴けないアルバム作り

──今回の2ndアルバム「君ヲ想フ月」はどのようなものにしようと考えたんですか?

天月-あまつき-

一番考えたのは、ニコニコ動画では観られないものや聴けないものを作ろうってことですね。お芝居はまさにそうだし、音楽にしてもボカロ曲をバンドアレンジしてみたり、オリジナル曲を作ってみたりとか。ネットでは観られない新しいものじゃなきゃCDを買ってもお客さんは楽しくないだろうし、僕自身もネットでできることをCDでやっても面白くないので。

──今作は1stアルバムやニコニコ動画の投稿動画同様、ロック系のボカロ曲のカバーを中心に構成されていますが、大きな違いもありますよね。前作では2曲だった書き下ろし曲が4曲になって、バンドアレンジ曲も増えています。これもその「ニコニコ動画とは違う天月-あまつき-像」を見せるため?

そうですね。1stアルバムを出したあたりから「もっと自分にしか出せない色を強くしたいな」って思っていたので、制作の打ち合わせに入る前から書き下ろし曲を増やすつもりではいました。で、今回2曲から倍の4曲に増えたので、3枚目では8曲に(笑)。

──そして4枚目は書き下ろし曲16曲のフルアルバムに(笑)。

もちろん半分冗談ですけど、本当にそうしてみても面白いかもしれない(笑)。で、バンドアレンジを増やしたのは、ライブでやることを意識してアルバムを作りたかったからですね。ライブに来てくれたことや、盛り上がってくれることに当然「ありがとうございます」っていう気持ちがありますし。ライブは僕にとってリスナーさんとの接点だから、CDを作るときにもその雰囲気やノリを大事にしたかったんです。なので、選曲と曲順も「ライブでやったら盛り上がるだろうな」っていうことを意識してみました。

──とはいえ、全編バンドアレンジにはしていませんよね。

そこはもうワガママというか(笑)。「この曲は原曲のオケがいいな」って思った曲はそのまま歌わせてもらってますし、ライブでやって楽しかった曲はそのときと同じバンドアレンジにして。で、書き下ろし曲は曲を作ってくださった方のオケのままやらせてもらいました。

──じゃあここで言う「ライブ感覚」っていうのは、単に「ロックのライブをシミュレートする」という意味だけでなく「天月-あまつき-さんの“生”の感覚」という意味も含まれている?

そういう感じですね。実際に自分で歌ったり聴いたりしたときの気持ちのよさを盛り込むようにはしています。ライブのときもそうなんですけど、自分が楽しく歌えているときのほうがお客さんも盛り上がってくれるので。

2ndアルバム「君ヲ想フ月」 / 2013年2月27日発売 / 2000円 / Bellwood Records / BZCS-5027
「君ヲ想フ月」
収録曲
  1. START / レフティーモンスターP feat.天月
  2. 影踏みエトランゼ / Substreet feat.天月
  3. - EARTH DAY - / はりー feat.天月
  4. ハートフルエッジ / TOKOTOKO(西沢さんP) feat.天月
  5. アブラカタブラ! / Shusui feat.らむだーじゃん×天月
  6. 1/6 -out of the gravity- / ぼーかりおどP feat.天月
  7. こちら、幸福安心委員会です。/ うたたP feat.しゃむおん×コニー×天月
  8. 月光戦争 / Last Note. feat.天月
  9. HELLO / GOM feat.天月
  10. ネトゲ廃人シュプレヒコール / さつき が てんこもり feat.melost(はしやん×天月)
  11. え?あぁ、そう。/ 蝶々P feat.甘党加湿器(伊東歌詞太郎×天月)
  12. Calc. / ジミーサムP feat.天月
  13. 恋愛勇者 / Last Note. feat.天月
  14. Voice Letter Vol.2(Bonus Track)
天月-あまつき- 初ワンマンLIVE
「君ヲ想フ唄」
  • 2013年5月31日(金)大阪府 大阪BIG CAT
    OPEN 17:00 / START 18:00
  • 2013年6月8日(土)東京都 Shibuya O-EAST
    OPEN 17:00 / START 18:00

料金:3800円(ドリンク代別)
出演:天月-あまつき-
※ゲストあり

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天月-あまつき-(あまつき)

天月-あまつき-

ネットを中心に活動する男性ボーカリスト。2010年初頭より、ニコニコ動画「歌ってみた」カテゴリーにボーカロイドナンバーをカバーした楽曲の投稿を開始する。力強くもどこか少年らしさを感じさせるハイトーンのボーカルを武器に、ネット上での活動はもちろん、ライブイベントや演劇などでも活躍。2012年6月リリースの1stアルバム「Melodic note.」はオリコン週間インディーズアルバムチャートで1位を獲得し、2013年2月27日には2ndアルバム「君ヲ想フ月」を発表した。