AI|みんなで笑顔になるために歩んできた20年間

AIが20周年記念ベストアルバム「感謝!!!!! -Thank you for 20 years NEW & BEST-」を11月6日にリリースした。

11月にデビューから丸19年を迎え、20周年イヤーへと突入するAI。それを記念して作られた本作には、安室奈美恵「Baby Don't Cry」をサンプリングした「Baby You Can Cry」をはじめとする新曲3編に加え、「ハピネス」「Story」など代表曲のゴスペルアレンジバージョン、そしてゴスペルシンガーのフレッド・ハモンドのカバー「No Weapon」という全9曲が収録されている。さらにアルバムの初回限定盤にはキャリアの中から17曲をピックアップした特典ディスク「Best Song Selection」が付属する。

音楽ナタリーでは本作の内容と共に、この19年間でのさまざまな変化についてAIに話を聞いた。

取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 映美

曲は人生そのまんま

──11月にデビュー20周年イヤーに突入されますが、ここまでの長い時間を振り返るといかがですか?

私は全然長いと思ってなくて。ここまでホントにあっという間だったし、自分としてはまだまだこれからだなって感じ。いつまでも新人みたいな気持ちでいますから。だってね、上には上の先輩方がたくさんいるわけじゃないですか。そういう人たちは音楽に関してはもちろん、物事に対しての考え方や動き方、人との接し方なんかがもうホントにすごい。そこと比べれば活動19年の私なんかは、しょぼしょぼってことですよ(笑)。

──とは言え、これまでに積み上げてきたもの、築いてきたものは確実にあるわけで。ご自身の生み出してきた作品群に関してはどう感じます?

まあ、この期間の中にはいろんなことがあったし、いろんな曲を作ってきたなとは思いますよね。昔の曲からずっと眺めてみれば、私自身の動きも見えてくるというか。急に恋愛の曲ばっか書き始めたなと思ったら、それは実際の私も恋愛していた時期だったりするし、逆に別れの曲が生まれれば、実際の私も別れているという(笑)。

──すべての楽曲にAIさんの人生が投影されているということなんでしょうね。

そうそう。ホントにそのまんま。子供が生まれてからは、気持ち的に次のステージに進んだところがあったから壮大な曲が作れるようにもなったしね。若いときは「みんなで盛り上がろう! チェイチェイ!」みたいな曲が多かったけど(笑)、いろんな人と出会い、環境が変わったりすることで、自分自身も変化したし、それによって音楽も変わっていったっていう。こないだ(青山)テルマが2001年くらいの私のインタビュー記事を送ってきてくれて。「あんたのこのポーズ、ヤバいよ」って言うから見てみたら、ホントにヤバかった(笑)。なんだか会議室でグラビアみたいなポーズしてるし、発言もいちいちヤバくって。今じゃ考えられない感じで。

──若気の至りみたいな部分は誰にもありますから(笑)。でも、そういったさまざまな変化がある一方で、一貫して変わらないこともあるんじゃないですか?

ああ、それは歌うのが好きっていうことですね。そこは昔からずっと変わらず今もそう。だから、その過去のインタビューを読んでも、言葉使いとかはもう全然ダメで敬語がまったく使えてなかったりはするんだけど(笑)、話の芯にある言いたいことは今の私と同じというか。「ああ、わかるわかる」という感じではありますよね。

AI

世界中の人たちに仲良くなってほしい

──AIさんは現在、20周年を記念したAIdea(アイデア)というプロジェクトを展開中で、そこには“音楽で、世界をもっと良くしよう。”というテーマが掲げられています。その思いもまた、ご自身の根底にずっとあり続けているもののような気がしますよね(参照:AIデビュー20周年スペシャルサイト)。

うん。私が音楽をやっている一番の目的でもありますからね。困った人たちがいたら助けるっていうことはちっちゃい頃から教えられてきたから、私にとってはすごく自然なことなんですよ。だから私は音楽でそれをメッセージしたいし、実現していきたいなって思う。AIdeaの活動の一環として作らせていただいた「ラフィン・メディスン」(病気の子供とその家族を支援する「ドナルド・マクドナルド・ハウス」のチャリティソング。楽曲売り上げの一部が寄付される)なんかはまさにそういう思いが詰まった曲ですね。私は昔からずっとグラミー賞を取りたいとか言ってるけど、それもグラミー賞自体が欲しいというよりは、それを取ることで生まれる説得力が欲しいという部分のほうが大きかったりするので。

──自分の意志やメッセージに説得力を持たせたいと。

そうそう。私はホントに世界中の人たちに仲良くなってほしいから、そのために音楽でできることをしていきたいんですよ。そういう気持ちもあって、最近は海外の人たちとコラボレーションを積極的にやったりもしていて。台湾のアーティストであるMJ116と一緒に演った「You Never Know」もそうだし、こないだはラテン系の方と曲を作ったりもしたし。

──世界のことを視野に入れつつも、AIdeaではファンの結婚式に出向いて歌ったり、家族をライブに招待したりと、身近なところからAIさんの思いを広めていこうとしているところも素晴らしいですよね。

世界のことを大きな視点で見たとしても、結局は個人がどうあるべきかということだったりしますからね。それに突き詰めて考えると、こういうことをしてるのは私自身が幸せになりたいからでもあって。周りの人がみんな笑顔になって「楽しいね、最高だね」って言っていれば、私もうれしいし最高の気持ちになる。じゃ、そうなるためにはどうすればいいのかっていうことで。「VOICE」(2013年リリースの25thシングル表題曲)ではその思いを強いメッセージとして書いたりもしたんですけどね。

──聴き手の不安や迷いを取り払ってくれる楽曲が多いのも、そういったAIさんの思いが反映されているからなんでしょうね。

「ハピネス」(2011年リリースの24thシングル表題曲)とかね、そういったポジティブな曲をなるべく書こうとは常に思ってるかな。私自身、すぐポジティブじゃなくなってしまうタイプではあるから、自分の曲を歌うたびに「ああ、そうだな」って気付けるように。