以前描いていたような美しい未来じゃなくなってきた

──今は次の制作に入っているということでしたが、そのいきさつを教えてください。

はい、今は2枚目のフルアルバムを作ってます。当初はミニアルバムの予定だったんですけど、3人になったから、俺たち止まってないよ、前に進むんだよって主張したくて、あえてフルアルバムで行こうって話になって。

──なんか逆みたいに思えるんですけど。普通は3人しかいないから、とりあえずシングルにしておこうって思うんじゃないですかね。1stアルバムのリリースからまだ半年も経っていないわけですし。

いやー、こういうときだからこそ、ちょっとでも前進したいなと思って。本当は7月の河口湖のスタジオがミニアルバム用の合宿だったんですけどね。それがまさかのライブリハになり。本当そこからここまでの2カ月間、もう目まぐるしすぎて何が何だかっていう感じですね。

──レコーディングはもうちょっと待って、岡庭さんが戻ってからにしようという発想はなかった？

それは一回も思ったことないですね。待っててもいいことが降ってくる気もしないので、じゃあやりに行こうっていう感じです。

──じゃあこのままの状態で進んでいく覚悟が出来た？

いろいろ将来のこと考えると、じゃあギタリストはどうしようとかいろいろ考えてるんですけど。今は地べたを這いずり回りながら考え続けてるって感じですね。

──今はまだわからない？

全然わかんないですね。単純にこう、4人でメジャーデビューしてこういう風にいけたらいいねって描いてたような、美しい感じの未来じゃなくなってきたので（笑）。

──あはは（笑）。

まあ、それでも背負っていこうと思ってるんです。俺ら、人からよく「トントン拍子だね」って言われてたんですけど、もう誰が見てもそうじゃないですからね。たまたまこのタイミングでこうなっちゃったんですけど、でも自分がやるべきことをやるって気持ちだけは変わってないので、それに嘘をつかなければやっていけるだろうと思ってます。

次の作品では俺たちの芯の部分が太く出るはず

──では最後に、来たるべき2ndフルアルバムはどういう作品になりそうですか？

うーん、やっぱり俺たちの決意が見える作品になると思います。もう歌詞がすごくそういう感じになっちゃってるんで。この事件があったからこそ自分たちのありのままの姿がバレバレになったと思うし、その姿を見せてももう全然恥ずかしくない。だからすごく、3人の芯の部分が太く出るはず。前よりたぶん濃いと思います。

──そういえば10月には初の東名阪クアトロツアーもあるんですよね。活動のペースを落とさないどころか、さらにペースを上げている感じで、正直「今やらなくてもいいんじゃないの？」と思うんですが。

そこは自分が力強い人間だからですって言いたいんですけど、正直強がってる部分は否めないと思うんですよ。やっぱり石井と渡邊のおかげなのかな。ライブもレコーディングも立ち止まりたくないんです。立ち止まってバイトしながら岡庭が帰るのを待ってても仕方ないし。そうじゃなくて音楽をやって、a flood of circleのスタート地点に立って、そこからいろんなことを進めていきたいって思ってるので。

──こういう言い方は不謹慎かもしれないですが、今回の事件があったおかげで、逆にバンドの今後が楽しみになってきたという気持ちもあるんです。さっき佐々木さんが言っていたような、トントン拍子できれいな未来が待っているバンドにはあまり興味を持てなくて、そうじゃない人たちが作る音楽にこそ、思いもよらないすごいものが出てくる可能性があるような気がするので。

そうですね、俺もそう思います（笑）。結局何が起こるかわかんないから、それはすごく楽しみだし。生き急いでるのかもしれないけど、そうやって生き急いでいかないと、後で何も残らない気がしてるんですね。