ナタリー PowerPush - 阿部真央
なんで貴方居ないの? 恋愛の孤独を歌う新曲「ロンリー」
夏を感じさせる爽やかなサウンドの上で大切な人と会えない孤独感を歌う、阿部真央流ラブソング。春に開催された初の全国ツアーで先行披露され、さらにカルピスウォーターのCMソングとして大量オンエアされている新曲「ロンリー」が、いよいよニューシングルとしてリリースされる。
自らの思いをまっすぐに込めた楽曲同様、インタビューにおいても毎回、人としてアーティストとして赤裸々に思いを届けてくれる阿部真央。今回もまた、制作にまつわる話を通して、彼女自身の生き方やこだわりが明確に浮き彫りとなった。
取材・文/もりひでゆき
もっと高いところを目指したい
──少し前の話になってしまいますけど、初の全国ツアー「阿部真央らいぶNo.1」、めちゃくちゃ良かったです。ご自身でも大きな手応えがあったんじゃないですか?
そうですね。でも、まだ行きたかったなっていうのが正直あります。完成度だったり、もっとライブとしての出来というか。もっと行けたかなあとは思いますね。
──悔しい思いをすることもあった?
悔しい思いは今回、京都のライブあたりで声がつぶれちゃったことで、あとは全体的に楽しめたんですけどね。でも、やっぱ終わってみてから冷静になって考えたり、他の人の意見とかを聞いたりすると、「ああ、まだだったな」っていう印象があって。
──阿部さんが目指すところはまだまだ高いと。
そうですね。もっと高くありたいですね。
──でも、デビューから1年のアーティストが見せるライブとしてはほんと破格だと思いますけどね。最高にシビレましたから。
ですかねえ。でも、土俵は一緒ですからね。デビュー10年の人でもデビュー1年の私でも、そういうのをとっぱらった部分でのアーティストとしては一緒だから。もちろんすぐパンとそこまで行くのは無理なんですけど、でも、それぐらいの気持ちでいたいなっていうのがあって。デビューしてまだ1年の20歳の女の子のライブにしてはすごいというよりは、単純にすごいっていうほうに行きたいんですよね。
──なるほど。とは言え、この先も続く活動の中では大きな意味を持つツアーになったんじゃないですか。
それは間違いないですね、うん。そうだと思います。
恋をしてるときに感じる孤独感を歌う
──で、そのツアーでも披露されていた新曲「ロンリー」がニューシングルとしてリリースされます。これはいつ頃作った曲なんですか?
「ロンリー」は「いつの日も」の前。去年の1月、ちょうどデビューした時期に書いたんですよね。遠距離恋愛がきっかけで、会いたくて書きましたね(笑)。
──シンプルな動機で(笑)。
遠距離に限らず、つきあってる男女って、自分も愛すけど、それと同じかそれ以上のものを相手にも求めてしまうでしょう。そういう感情を歌ってる感じですね。
──つきあってるから幸せなはずなんだけど、でもそこで感じてしまう孤独感が歌われていますもんね。
そうそう。やっぱり、その人の心を自分だけで満たすことは不可能で。どうしてこの人の心を満たしてるのは私だけじゃないんだろう、みたいな。自分のものにもできないし、コントロールもできない。だからこそ、より求めたりするんですけど。恋をしてると、そういうのはよく感じますね。それに最近では恋以外でもよく思うというか。
──同じような孤独感を?
うん。要は、密な関係ほどそうなんだなっていう公式が私の中でできあがっていて。仕事であってもそうだし、友人関係でもそう。その分、人のことを求めたり思ったりできるようになったのかなとは思うんですけど。でも、あまり独占欲が強すぎても疲れちゃうし、疲れさせちゃうんで、その辺はバランスですよね。って頭ではわかってても理性が飛ぶときもあるんですけどね(笑)。ヒューズがパンッて。
──アハハ。でも、この曲ではその孤独感を相手に押しつけている印象はないですよね。どれだけ相手を思っているかっていうことがグッと伝わってくる感じで。
そうですね。ぶつけてる感じではないですもんね。どちらかと言うとぽつぽつささやいてる感じなんで。
阿部真央(あべまお)
1990年1月24日生まれ。大分県出身。愛称は「あべま」。2009年1月にアルバム「ふりぃ」でポニーキャニオンからメジャーデビュー。その後、3枚のシングルをリリースするほかライブを精力的に行う。2010年1月に2ndアルバム「ポっぷ」をリリース。